この旧家の正門にしか見えないのが、野田市郷土博物館の入り口。キッコーマンを作った茂木家の邸宅だったそうです。もう使わないからって野田市に無償で提供されたものだとか。
この門の中に、大正の頃からある茂木さんちが古い建物のまま残っていて(見学無料、予約不要)、同じ敷地内に昭和30年代に建てられた博物館(入館無料)もあります。
ガイドさんの話が面白くて写真を写す暇がなかったんですが、郷土博物館の建物は京都タワーなどを設計した人が作ったそうで、今見てもモダンな建物でした。中は1階部分が企画展示で、今は白黒アートというテーマで市民から募ったアート作品を展示してました。2階部分は規模は醤油製造に関する展示になっていて、醤油専門の博物館は全国を探しても野田市と小豆島にしかないはず、とガイドさんが言ってました。ただ、野田市のは展示の規模は小さいです。
茂木家の庭園。庭からだと建物がうまく写らないです(笑)茂木さんちはものすごいんです。かつては皇族の方々が御休憩に来ちゃうような家だったそうです。このあたりが田舎で料亭などもなかったせいだろうってことなんですが、都会の料亭とくらべても茂木家の受け入れ態勢が落ちるとは思えないくらい、なんかすごいんです。
だってね、この家、大正時代の建物なのに当時から便所が水洗だったんですよ? 茂木家は醤油屋さんなので、昔は江戸川の水を汲んで使ってたらしいんですが、水質が悪化してからは茂木家で水道業務を始めて地域に給水してたそうです。野田市の水道は市や町ではなくて茂木家が創業したってガイドさんが言ってました。そんなこんなで便所も当時から水洗だったとか。そんな建物東京にだって滅多にないですよ。
さらにすごいのは、風呂場の近くに「床屋と歯医者」を呼ぶための部屋があって、今は撤去されてるけど、床屋用、歯医者用の椅子が設置されてたそうです。茂木家では髪の毛を切りたくなったら床屋が出張してくるし、歯が痛くなったら歯医者が往診にすっとんで来たそうです。お金持ちっぷりが半端じゃありませんよ。
この写真は台所です。台所も古いまま残ってます。ここは先日終わった『天皇の料理番』でロケに使われたそうですよ。
茂木家邸宅、かなーり面白かったです。ガイドさんの話が面白いと聞いてしまって写真をとらないので、ろくな写真がないんですが、気に入りました。ちなみにお座敷は有料で貸しきりにできるそうです。市民だと1部屋1時間200円。市外からの利用ならば1時間400円とのこと。安いよねー。コスプレして撮影会に使う人もいるそうです。ほんものの旧家でおりがみの会とか開いたら気分がいいだろうなあ。
ガイドさんが「時間があったらキッコーマンの工場見学にも行くといいですよ」って言うので、そっちもまわることにしました。工場見学は、サイトを見ると予約が必要ってことになってるんですが、団体での利用で埋まってなければいつ行っても見られるらしいです。
そういうことならダメ元で、と出かけてみたら、入り口で名前を書くだけで入れました。見学自体は無料です。
ここがキッコーマンの野田工場。あたりには酒饅頭を蒸した時のような甘い香りがただよっています。醤油は大豆と麦と麹菌・酵母菌・乳酸菌をまぜて醗酵させて作るので、その醗酵臭なんだと思います。
奥に見えるのは「もろみ」を熟成させるためのタンクで、1つのタンクに1リットル瓶にして33万本のもろみが入るそうです。そのタンクが300本?いや600本だったかな。とにかくすごい数のタンクがあるらしいですよ。規模が大き過ぎて数字を覚えられません(笑)
中に入るとまずこんな場所に出ます。キッコーマンの商品を買える売店と、醤油を使った軽食を食べられるカフェがあります。ここにしかない限定商品も。
工場見学は、こんな感じで1時間ごとにやってます。次の回まで時間があったのでカフェも覗いてみることに。
カフェの食券販売機。夏休みということもあって子連れのお客さんがたくさんいてカフェ自体は写せなかったんですが、こういうものが食べられます。せんべい焼き体験が面白いですよ。テーブルに煎餅をあぶる装置がついてて、キッコーマンの醤油をつけながらせんべいを焼けます。
わたしは醤油入りのソフトクリームを買ってみました。片方は豆乳で作ったソフトクリームで、もうひとつは普通の牛乳で作ったやつだそうです。両方とも醤油が混ざってます。
アイスクリームに醤油だなんて…と思うでしょうが、これがなかなか、美味しいです。しょっぱくなるほど入ってません。言われなかったら変わった味だなあと思う程度で、醤油だとは気付かないかもしれません。じゃあなんの為に醤油なんか入れるのか。どう表現すればいいのか悩むんですが「上品になる」「甘みに深さが出る」とかかなあ。牛乳のより豆乳のソフトクリームに醤油があいますね。
実は昔からアイスクリームに醤油をたらして食べる人はけっこういます。スイカに塩と同じ理屈で甘くなるんだってよく言いますが、甘みよりうま味が増すというか、味が深くなるというか、口で説明するのは難しいです。市販のバニラアイスに醤油をたらして混ぜるだけで味わえるので、興味がある方は騙されたと思ってやってみてください。ぜんぜんゲテモノじゃないので「なんだ普通じゃないか」って逆にがっかりするかもしれませんが(笑)
こんなのも頼んでみました。生醤油をかけただけのうどん。これも美味しかったなあ。醤油の香りがすばらしくて、お店の人に「市販の醤油ですか?」と聞いてしまいました。うどんに使ってる醤油は、1瓶2000円くらいする特別なやつで、販売はしてるそうですが今年の分は売れちゃったそうです。
そしてお楽しみの工場見学ですが、これがですねー、写真がほとんどありません。というのも、機械は撮影禁止だったし、映像の類いもお断りしてますってことだったし、それ以外の場所は見学者がぞろぞろ歩いてる通路しかないからです(笑)
おまけに、見学コースのある工場では醤油の瓶詰め工程など動きのある機械がほとんどなくて、工場見学なのに見てるのはほとんどパネル展示とガイドのお姉さんばっかりでした。でも、お姉さんの話は面白かったです。
見学の最後にお土産で醤油をもらいました。なあにちゃんが印刷されてる見学コース限定醤油瓶です。
そんなこんなで、野田市郷土博物館・茂木家邸宅・キッコーマン工場見学でした。売店でものを買わないかぎり全て無料です。
◎野田市郷土博物館・茂木家邸宅
http://noda-muse.or.jp/
◎もの知りしょうゆ館(キッコーマン野田工場)
http://www.kikkoman.co.jp/enjoys/factory/noda.html
工場見学は、建て前上は予約が必要ってことになってます。確実に見たい場合は予約してください。飛び込みで出かけて断られたらあきらめること。工場見学がいっぱいでも、売店とカフェは予約なしで入れるかもしれないので「カフェだけ」「売店だけ」いいですかって聞いてみてください。
わたしが出かけた時は海の日で休日だったんですけど、平日に行くと「御用蔵」の見学もできるらしいです。キッコーマンは昔から皇室に醤油をおろしてます。その醤油は、国産の材料だけを使って、今でも木の樽で作っているそうです。その醤油を熟成させてる蔵を見られるらしいですよ。
この日まわった場所は東武野田線、野田市駅の近くです。
カテゴリー:
ピンバック: キッコーマンの工場見学(おかわり) | 超・珍獣様のいろいろ