桑を食べるのをやめて、あとは繭になるだけ、という状態のお蚕のことを、専門用語では熟蚕とか言います。読み方は「じゅくさん」とか「じゅくこ」とか「じゅっこ」とかじゃないかと思います。群馬のほうではこれを「ずぅ」とか「ず」とか言ってました。「このお蚕さんは、もう”ずぅ”になったよ」とかです。なぜそういう言い方をするのかは良くわかりません。子供の頃に、意味のわからない変な言葉だと思った記憶があります。
養蚕用語は古くからあるものですから、きっと地方ごとにいろんな言い方をすると思います。子供の頃にお年寄りがどんな言葉を使っていたか覚えている人は、それがどこ地方のことなのか、どういう状況をこう言いうのだ、という記録を忘れないうちに日記にでも書き留めておくといいですよ。また、各地で養蚕にまつわる展示をしている博物館さんは、そういう言葉にも注目するといいです。
さて、うちの大食いさんたちも、やっと「ずぅ」になり始めました。もう桑さがしをしーなーくーてーいーいーんーだー\(ToT)/
ずぅになるといっても、沢山いるお蚕が一斉にそうなるわけじゃなくて、成長の早いお蚕から、一頭、二頭と変化が始まります。そのうち、次から次へとみんな変わって行くのですけどね。
ずぅになると、体が少し黄ばんで透けてきます。上の写真を良くみると、片方が黄ばんでいて、もう片方は青白いと思います。黄ばんでいるほうがずぅです。黄ばんで透けるだけでなく、体が少し縮んだりもします。
▲ずぅになると桑を食べるのをやめて歩き回ろうとする。よく見ると口から糸を吐いている。。
いつものお蚕は逃げ出さないものですが、ずぅになると繭を作るのに都合のよい場所を探して歩き回ります。飼育箱のすみっこで勝手に繭を作り始めるお蚕もいるでしょう。
そういう状態になったら「簇」というものにたけてやれば、そこで繭になります。簇は「ぞく」か「まぶし」と読みます。これは繭を作るための土台というか、足場というか、そういうものです。昔の特撮映画が好きな人だと、モスラが東京タワーの足元に繭を作ってたのを覚えてるかもしれませんが、ああいう状態をイメージしてください。お蚕は、平らなところでは繭を作りにくいです(無理やり作らせると平たい繭ができあがる)。壁と地面みたいなL字の内側みたいなところに糸をかけて繭を作ります。
養蚕農家だと何千頭ものお蚕を飼うので、専用の蔟を沢山用意しておくものです。蔟にも種類がいろいろあって面白いんですが、話が長くなるので今回はやめときます(「簇」で検索するといろんな人が書いているでしょうし、わたしが書き散らかしたものもヒットするかもしれません)。
今回は数が240頭くらいなので、葦(あし)をとってきて乾かしたものを、束ねて簇にしてみました。最後に「葦に繭が成ったぞー」という状態になったら面白いかと思ったんですが、食べ残しの桑をかぶせたりしてるうちになんだかよくわからない物体になりました。ここに240頭は収容しきれないと思うので、手狭になったら残りはトイレットペーパーの芯にたからせようと思います。
◎趣味の盆蚕・ずぅ(繭になる直前のお蚕)はこんな感じ
http://okaiko.hatenablog.com/entries/2013/06/22
前にはてなブログってところでわたしが書いたものです。ずぅになったお蚕と、そうでないお蚕に光りを当てて撮影した写真などを貼ってあります。
さっき撮影した動画です。胸のあたりが透けてるのがわかるかなあ。
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