右の小さいのは普通の繭です。左の丸くて大きいのは、玉繭といって、中に蛹が二個以上入ってるはずです。
お蚕は一頭で一個の繭を作るのが普通です。でも、ときどき二頭以上で一個の繭を作ってしまうことがあります。不思議な現象として昔から知られていますが、狭いところに二頭つっこんで繭を作らせると、かなりの確立で玉繭になります。今回はテトラ簇に二頭入れて作らせてみました。成功率は五割くらいでしょうか。ひしゃげた小さな繭が二個になってしまうことも多いです。
玉繭は複雑にからみあっているので、実は糸をとるのが難しいそうです。昔はこういうのができると不良品扱いだったみたいですね。
ただ、絶対に糸にならないかっていうと、そんなこともなくて、現在ではわざと玉繭ばかりで糸をひいて、独特の風合いを楽しむことがあるそうですよ。
長野県の岡谷市に、シルクファクトおかや という博物館があります。現役の製糸工場とくっついてる施設で、女工さん(って今は言わない?)が糸を紡いでるのを目の前で見ることができます。
ここで女工さんが引いているのは玉繭でした。現在は、普通の生糸は機械だけで引けるらしいですけど、くせのある玉繭は手作業がいいのかもしれません。玉繭から引いた糸は、ランプシェードなどを織るのに使うそうです。シルクファクトの人が言うには玉繭になりやすいお蚕の品種があるってことなんですが、なんという品種かは聞き漏らしました。
◎関連記事:岡谷で途中下車:繭から絹糸を作る作業を間近に見られる博物館へ
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