葛飾区の広報にこんな記事が掲載されてるのに気づきました。どうも、選挙の開票作業は参観(見学)できるらしいです。公職選挙法の第六九条「選挙人は、その開票所につき、開票の参観を求めることができる」という条文にのっとったものなので、たぶん全国の市町村区で有権者が参観できるはずです。
葛飾区では奥戸にある総合スポーツセンターの体育館で開票作業をしています。昨日の参院選は20時に投票が締め切られ、20時45分に開票作業が始まるということでした。
わたしは20時半ごろ体育館に到着しました。普段は駐車場が有料なのですが、開票作業中は無料で開放されていました。でも、ぞくぞくと集まってくる車は一般車ではなくて、ほとんど全部がタクシーかハイヤーです。フロントガラスに(選)のマークをつけています。どうやら投票箱を運んでいるようでした。宅配便とかじゃなく、タクシーを使うんですね。これは知りませんでした。たぶん、宅配便だと人は運べないので、スタッフの移動を考えるとタクシーのほうが効率がいいんだと思います(たぶん)。
そんなわけで、体育館のまわりには人が沢山いるのですが、ほとんど関係者みたいです。参観するのは初めてで、勝手がさっぱりわかりません。入り口で聞いてみたら、特になんの申し込みも必要なく、参観席は2階ですよと通してくれました。このへんの対応は、ひょっとすると市町村区によって違うかもしれません。法律によれば、選挙人がその地域の開票を見られる、という決まりらしいので、建て前上はよその地域の開票は見られないはずですから。
さて、体育館内は土足禁止なので、途中でスリッパと靴を入れる袋をもらいました。先に進むと、ふだんは観客席として使われてる場所が参観用に開放されていました。柱に「携帯電話は禁止」と書いてありましたが、撮影機材等の持ち込みについては、禁止されてはいないようです。
参観席にいるのはほとんどマスコミ関係者でした。NHKなどの腕章をつけてる人が多いです。それも、そんなに大勢はいなくて、5〜8人くらいだったかなあ、という感じ。
わたしのような一般の参観者は、いないこともないのですが、わりと短時間でチラ見して帰っちゃうみたいでした。
▲参観席から見下ろした開票所の様子。まだ投票箱が開いていない。
開票所にはテーブルが沢山あり、手前のテーブルには、まだ紐のかかった投票箱が置かれています。中ほどのテーブルには投票用紙を仕分けるための機械が置いてあります。奥のテーブルは、どうやら人力での仕分け作業のためのスペースのようです。さらにその奥には、開票作業の立会人とおぼしき人たちの席があります。
ただいまより開票作業を始めます…というようなアナウンスがあると、手前のテーブルの人たちが投票箱を開き始めました。投票用紙をテーブルにすっかり出してしまうと、空っぽになった箱は向かって左側の壁際にはこばれて、蓋をあけたまま並べられていました。
投票用紙は、まず人力で上下・裏表をそろえて束にします。この作業は、年齢も性別もばらばらで、ラフな普段着を着たスタッフがやっています。どうやらアルバイトの人みたいです。
その作業を、テレビ局の腕章をつけたマスコミの人たちが参観席から双眼鏡で見おろして、バードウォッチングみたいにカチカチカウントしています。得票数の予想を立てているのでしょうか。一般の参観でもオペラグラスかなんか持って行くと用紙に何が書いてあるか見えて楽しそうですね。たぶん無効票が面白いんじゃないかと激しく予想します(笑)
そうそう、投票用紙についても書いておきましょう。たいていの人は、用紙に名前を書くと、折ってから投票箱に入れます。開いたままだと誰に投票したのか横から見えちゃいますからね。でも、折った紙を一枚ずつ手で開くのは大変なんです。なんせ何万枚もあるわけですから。
ところが今どきの投票用紙は特殊な紙で出来ています。ポリプロピレン樹脂で出来ていて、折り曲げても手を離すと元通り開く性質があります。つまり投票箱の中で勝手に開くんです。この紙にはユポと言う名前があるそうで、昨日twitterで選挙の話題を検索して知りました。ユポが導入される前の開票は、大変だったらしいですよ。
さて、束ねられた投票用紙は、数字のゼッケンをつけたスタッフが回収して歩きます。それを、まずは中ほどのテーブルにある機械にかけて仕分けるようです。遠いのでよくは見えないのですが、ものすごいスピードで紙が通り抜けてるのはなんとなくわかりました。
さらに、奥のテーブルには人力で仕分け作業をやってる人たちもいます。たぶん機械で集計したものを、さらに目で見て確認してるんじゃないかと思うんですが、なんせ遠くてよくわかりません。
ほかに、写真には写ってないですけど、向かって右にも完全に手作業で仕分けてる人たちがいました。これもあくまで「たぶん」ですけど、期日前や不在者投票、遠隔地からの投票を開いてるんじゃないかと思うんです。用紙などの形式が一定ではないので機械にかけられないんじゃないのかな。
そうこうしているうちに1時間くらいたち、得票数の中間発表がありました。21時半の時点で、開票率が1%ちょっと、各候補者の得票数は、○○党ダレソレ1000、××党なにがし1000…という感じで、千票を越えた人のみ読み上げられてたような気がします。こういう中間発表が、約30分おきにあって、同じような報告が葛飾区のサイトにも掲載されてたようです。
やがて、手前のテーブルから投票用紙がすっかりなくなりました。中ほどの仕分け機もいくつかを残して止まってるようです。それが22時ごろ。手前のテーブルの人たちはそれで仕事が終わったようで、開票所から撤収してました。一番奥と、右はしのテーブルでは、手作業での仕分けがずっと続いています。
ここらで投票用紙をカウントしてたテレビ局関係の人たちがいなくなりました。ひとりノートパソコンで何か書いてる人が残っただけです。一般の参観もわたしと連れのおともだちだけになってしまいました。
22時、再び中間発表です。この時点での開票率は5%ちょっと。各候補の得票率も発表されます。共産党ダレソレ3000、民進党なにがし3000、公明党…、自民党…、といった具合です。発表は多い順ではなくて届け出順かなんかですね。
会場は空調が効いてて気持ちが良く、このまま眺めていたいような気もしましたが、夜も遅いので帰ることにしました。
開票作業は夜を徹して続いたようで、葛飾区のサイトによれば選挙区(個人に投票するやつ)は3時半くらいに終わったようです。比例区(政党に投票する)は、5時47分の状況がPDFであがってるだけで「最終確定」したかどうかは書かれてないです。もしかすると夜が明けてもまだ作業が続いているのかもですが、よくわかりません。
そんなこんなで、初めての開票参観、なかなか面白かったですよ。開票所のお近くに住んでる方は、ぜひ見に行ってください。
なお、開票作業の人集めは、人材派遣会社に委託されているらしく、アルバイト情報誌や、情報誌の公式サイトで検索すると見つかるようです。時給も良さそうだし、経験も特に必要ないみたい。大学生のみなさんなど、こういう作業を一度やると、おこづかいも稼げて選挙に興味がわいちゃったりするかもしれないですよ?
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