座繰りというのは蚕の繭から糸をとる方法のひとつですが、今回はほんの予行演習のつもりでカメラの前で座繰っていました。カメラを通すとどう見えるのかは、撮影してみないと想像しにくいので。
予行演習とはいえ、一度引き始めたら最後まで引いちゃわないといけないので、糸車をがらがら回しつづけました。単調な作業なので、途中でついよそ見してしまいます。
すると突然、ブチッと糸が切れました。
あー、と思った時はもう遅いです。水分を含んだ絹糸は、テンションが切れるとピュンと糸車に巻き取られて、そのまま貼り付いて糸端が見えなくなってしまうのです。
お蚕たちが吐く糸は、セリシンという物質に包まれています。この物質で糸どおしがくっつくので繭になります。繭を茹でてセリシンをやわらかくして繭から糸をほぐして絹糸を作ります。セリシンがやわらかい間は糸と糸が簡単にくっつきます。
切れた糸端は糸車にまきとられた糸にペタッと貼り付いて離れなくなってしまうのです。
うーん、うーん、面倒くさいなあ。もういっそ、このまま中にLED電球かなにか入れてオブジェにしたい(たぶんきれいだし)。でも座繰り用の糸巻きはこれ1個しか持ってません。ほどかないわけにはいかないのです。
そういえば岡谷のシルクファクトで、糸端がなくなっちゃったら糸巻きをお湯につけて探せばいいって教えてもらったことがあります。繭をほぐすのと同じですから、理屈ではうまく行くはずです。今こそそれを試す時だ!
しかし、現実はそううまくはいかないのでした。糸は数十個の繭(今回は40個)から1本ずつ集めて合体させて紡ぎます。40本のうち1、2本切れるなんてことはしょっちゅうで、そのたびに繭から糸端をひろって合流させてやります。セリシンがあるのでちょっとなで付けるだけで簡単に貼り付きます。
つまり、糸巻きに巻き取った糸というのは、全体としては1本ですが、細かい糸端が沢山あるわけです。それをお湯につけるわけですから、複数の細かい糸端が出てしまい、求める正しい糸はしなんか見つかりゃしないわけです。うわあ。
それでも、どうにかこうにか「これじゃない?」という糸端をみつけて、二度と見失わないようにはしっこに目印をつけたのですが、そこで疲れ切ってブログを更新しはじめて現在に至る。
動画? さあ、何の事だったかな。
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