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苗を買った |
4月11日
昼前に雲が出てきてすっかり曇ってしまった。風も強いし、ソメイヨシノがだいぶみすぼらしくなってきた。 木立性のチョウセンアサガオのことを、学名の最初の語をとってブルグマンシアと言う。昔はダツラ属に入れられていたけれど、今では別の属に分類しなおされている。そうはいってもブルグマンシアなんて呼び名では、この花の素敵さが伝わらない。貴婦人の絹のハンカチを、真ん中のところでちょんと摘んで、そのまま木の枝に縫いつけたみたいな不思議な花なのだ。 マックス・クリンガーというドイツの画家は『ドルチェ・ファル・ニエンテ』というタイトルのエッチングに木立性のチョウセンアサガオを描き加えている。参考>画像あり
なお、チョウセンアサガオは食えませんので、珍獣様が育てているからといって口にしないようお願いいたすのです。食うとヤバイ夢がみられるかもしれませんが、それっきりあの世に行かないとも言えませんのでひとつよしなに。 |
学名について |
ブルグマンシアは一種類ではなく、写真のものがなんという種(品種ではなく)なのかはちょっとわからない。
今回あらためて調べてみたら、学名の綴りが、各サイトでめちゃくちゃで、burgmansia とするもの、brugmansia とするものの両方が存在している。日本でも、外国でも同じような状況だ。どっちが本当だかまるでわからない。ここでは brugmansia で統一しておく。 また、和名にも謎が多い。 コダチチョウセンアサガオ(Brugmansia arborea)
というのがあるらしく、どちらも漢字で書けば木立朝鮮朝顔で同じものになってしまう。これがそのブツだという写真を見ると、どちらも木立性で花が下をむいてぶら下がる種類である。 もともと和名などは通称みたいなものだから輸入物の植物については厳密ではないのかもしれない。これは想像だが、ブルグマンシア属のいくつかの総称を木立朝鮮朝顔といって、その読み方は二種類あるというだけなのではないのだろうか? さらによくわからないことに、この名前も形もよく似た二種を別属として扱っているサイトもあって謎が謎呼ぶ殺人事件(いや、まだ誰も死んでない)。 こうなってくると種を見分けるどころか、ブルグマンシア属とダツラ属の見分けすらあやしくなってくる。ちゃんと調べきっていないので個人的なメモの域を出ないのだけど、南米原産で、木立性で、花が下を向いてぶら下がるのがブルグマンシア (brugmansia)属で、アジア原産で、背が低く、花がぶら下がらないのがダツラ(datura)属ではないかと思うんだけど、どうよ? …と思ったけど、ケチョウセンアサガオ(アメリカチョウセンアサガオ)というのは、アメリカ原産だけど木にはならず花が上を向くのでダツラ属っぽい。原産地とは無関係なのか?
あちこちのサイトをまわったり、図鑑を見たりした結果、やはり背が低く、花が垂れないのがダツラ、高い木になって花が下に垂れるのがブルグマンシアとするのが信憑性ある感じ。原産地についてはどこのサイトもあやふやなことが書いてあってよくわからない。でも、ブルグマンシアは、ほとんど南米のもののような…(いや、やっぱり違うかもしれん)。 というわけで、キダチチョウセンアサガオ(B.suaveolens)をコダチチョウセンアサガオ(D. or B.arborea)とあえて別属に分類しているサイトは、書いた人の勘違い、もしくは参考にした本が複数あり、それぞれの本に片方ずつしか載ってなくて、しかも分類法が違ってたのではないかと想像(…お気の毒に)。 ダツラとブルグマンシアの違いはこんな感じだとして、ダツラ属だけを見てもあれとこれが同じだとか、いや違うとか、しっちゃかめっちゃかになっているみたい。かなり目立つ花を咲かせる植物なのに、どうしてこんなに混乱しているのか不思議だ。これぞチョウセンアサガオの分類であると、きれいに整理した人はいないのだろうか。
【主なダツラ属】 チョウセンアサガオ(マンダラゲ) Datura metel
ケチョウセンアサガオ=チョウセンアサガオ=D.matel とするサイトが複数あるが、珍獣は眉唾だと思っている。思っているだけでウソかもしれないが、ケチョウセンアサガオ≠チョウセンアサガオとするサイトも複数ある。珍獣はこちらを支持したい。ケチョウセンアサガオには名前のとおり全体に毛が生えている(実物を知っている)。チョウセンアサガオは無毛だと聞く(実物は見たことがない)。 ケチョウセンアサガオ=アメリカチョウセンアサガオ=Datura inoxia とするサイトも複数ある(珍獣はこの説が一般的だと思っていた)。けれど、ケチョウセンアサガオとアメリカチョウセンアサガオを別種とするサイトもある。これは否定しにくい。 ヨウシュチョウセンアサガオ(フジイロマンダラゲ) Datura tatula
たぶんダツラ属にはもっと沢山の種があるのではないかと思うが代表的なのはこのくらいだろうか。
【主なブルグマンシア属】 コダチチョウセンアサガオ Brugmansia arborea
arborea というのが木立性のという意味なので、コダチだのキダチだのいうのはこの種につけるべき和名ではないかと思う。ところが、B.suaveolens をキダチの和名をつけて呼び分けているサイトが大量にあるので、ひょっとしたらこの紛らわしい呼び分けが本当になされているのかもしれない。どうも眉唾な気がするのだけど。 ブルグマンシア・ヴェルシコロル Brugmansia versicolor
ブルグマンシア属にも、このほかにもたくさんの種があると思うんだけど、ぱっと見つかるのはこのくらい。Brugmansia x Candida という交配種もあっちこっちに出てくるのだけど何と何の交配種なのかよくわからない。 で、うちの子はいったいどれか、花でも咲かないとわからない。いや、咲いてもわからないかもしれない。 |
チョウセンアサガオには毒がある |
5月23日
曇り。 本格的に虫の季節だ。
アブラムシも沢山いる。チョウセンアサガオについているのは、幼体は全身が濃い灰色。翅のある成体は頭が黒くて体が黄色っぽい。中華セロリにもビッシリ とアブラムシがついている。こっちは成体も幼体も黒っぽい。ひとくちにアブラムシといっても随分と種類があるようだ。アブラムシばかり集めた図鑑があった ら面白そうなのに。そんな渋い本は普通の人には売れないから誰も作らないのかもしれないが。 チョウセンアサガオといえば大量に食べると気が狂うという毒草だ。芋虫にしてもアブラムシにしても、よくこんなものを食べて平気だと思う。スコポラミンは虫には作用しないのだろうか。それともブルグマンシア属(木立性のもの)には大した毒がないとか? # いや、そんなことはないと思う。毒はあると思うから絶対に食べないこと。 昔のお医者さんが麻酔薬に使ったマンダラゲはダツラ属のチョウセンアサガオで、こちらはものすごい毒性があるらしい。
いくらなんでも 11 日も代謝されずに人を狂わせるというのは大げさな気もするが、一時的には文字通りの症状が出ても不思議はない。ダツラに含まれる毒はスコポラミンといって、一部の車酔いの薬にも含まれている。酔い止めの薬には他の成分も含まれているのでスコポラミンだけの効果ではないが、飲むと感覚が鈍くなり、判断力が極端に落ちる気がする。 ダツラ属のケチョウセンアサガオらしきものならそこいらに自生している。こちらはそろそろ花の時期らしく、昨日見たらつぼみができていた。つぼみは袋に
包まれていて、これを破って花を咲かせる。
話を珍獣様のベランダにもどすと、うちにあるのは木立性でブルグマンシア属だが、思ったより成長が遅い。買ってきたときよりは葉が茂っているが、こんなんで秋に花を咲かせるのか心配だ。 |
虫 |
5月25日
チョウセンアサガオを食い荒らす虫はヨトウガの仲間かもしれない。イチモンジヨトウの幼虫に雰囲気が似てる。
5月30日
チョウセンアサガオにまた穴が増えてた。見ると芋虫が 2 匹も!
[追記]6月2日 曇り。このまま梅雨に突入するのだろうか。 いたるところに芋虫がいる。ゼラニウムにも芋虫、チョウセンアサガオにも芋虫、ニンジンにも芋虫、芋虫ごろごろ、ぜーんぶヨトウムシ。木立性チョウセンアサガオはヨトウムシに食われて穴だらけ。
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やられた |
7月3日
木立性チョウセンアサガオにやっとつぼみがついた。ところが今朝見たら、丁寧につぼみだけもぎ取られてた。 8月1日
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虫ふたたび |
8月5日
今度はニジュウヤホシテントウにやられた。葉っぱ穴だらけ。ニジュウヤホシテントウはナス科植物の敵。 |
ついに花が! |
9月6日
7 月につぼみをもぎ取られてしまい今年はもうダメだろうと思っていたら、八月の下旬くらいに小さなつぼみがつきはじめた。前回の失敗をふまえて、今度は鉢の置き場をかえて、人間だけでなく虫や鳥にやられる可能性もふくめてよく見ていたけれど、今度は鳥も虫も人間もよってこなかったらしく、やっと花がみられそうな気配。 下の写真はもうだいぶ大きくなって、つぼみの先が割れてきたところ。 9月9日 チョウセンアサガオのつぼみは薄い袋をかぶっている。袋をやぶってつぼみが出てきてからも、しばらくは花びらが緑色をしていて咲く様子はない。 |
花の色はうつりにけりないたづらに |
9月10日
咲きそうで咲かない日々がつづき、ついに最初の花が開きはじめた。開きかけた花は下の写真のように黄色い。チョウセンアサガオは夜咲く花なので、昼間はこんなふうに閉じたままだった。 9月11日 ゆうべはうっかり夜の写真をとりそびれてしまった。朝になると、昨日の花はピンク色に変化して、しぼみかけている。 うまくすると、この調子で断続的に秋じゅう咲きつづけるはずだけど、今年はこの花が最後だった。 |