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太陽の内暈 22度ハロ
英:22° halo
中:小暈
エスペラント:Haloo en la 22 gradoj

 太陽や月に薄く雲がかかった時にできる円形の虹を暈(かさ)と言います。白虹(はっこう)とも呼ばれています。半径22度のところに出るのを内暈(ないうん、うちがさ?)と言い、半径45度のところに出る大きな暈を外暈と言います。残念ながら外暈は見たことがありません。

 半径22度といってもピンと来ないでしょうが、実際に見ると意外に大きいんです。半径22度なら直径は44度です。目の高さから頭のてっぺんまでは90 度ですから、その約半分くらい。内暈とはいえ、見た目にはかなり大きく感じられます。この点でも光環(光冠)とは別の現象とわかります。
 
 また、光環の彩りは内側が紫で外側が赤ですが、暈の虹は内側が赤で外側が紫です。

 昔から「お天道さん(あるいはお月さん)が暈(笠)をかぶったら翌日は雨」と言われていますが、雨の前だけでなく、曇りから晴れに変わる時にも出ます。

太陽の内暈
▲2008年6月6日お昼すぎ
葛飾区水元にて撮影

太陽の内暈
▲上と同じ写真、コントラストを少し上げたもの。
内側が赤く、外側が紫です。

太陽の内暈
▲上の写真よりも少しあと、修正なし。

太陽の内暈
▲太陽を手で隠して撮影、修正なし。

 この日はたしか、朝方はまだ曇っていたと思います。前日まで雨だったかも知れません。地面が湿っていて、気温が上がってくると水蒸気がもわっと立ちのぼ り、不思議な気分になる日でした。午前中は水元公園を散策し、その帰り道(お昼頃)、見上げた太陽に暈がかかり、この現象は数時間続きました。

その2
太陽の内暈
▲2011年4月7日11時ごろ
葛飾区金町にて撮影
太陽の内暈
太陽の内暈
▲大きさがわかるように建物も入れてみたけど、
やっぱり目で見た感じと違うね。
太陽の内暈
▲葛西神社の杜から暈の部分だけを撮影、
コントラストを強めに修正したら幻想写真に。
太陽は左下、木の陰にある。

太陽の内暈
▲12時半ごろ
フレスポ八潮(埼玉県八潮市)にて。
買い物をしているうちにすっかり晴れた。
太陽を指で隠して撮影。

太陽の内暈
▲13時半ごろ
戸ヶ崎交差点(埼玉県三郷市)のローソン前で。
太陽は右下の屋根の向こうにある。

 午前中は空全体が雲に覆われて、雲の薄い部分からうっすら太陽が見える感 じだった。買い物している間に空が晴れてきて、午後からは気温が上がりました。結局14時近くまでうっすらと見えてたと思います。

 この日の深23時40分ごろ、宮城県沖を震源とした大きな「余震」があり、東京もかなり揺れました。わたしが住んでいるところは葛飾区でも北のほう、地 盤の弱い地域なので本棚が倒れそうな勢いでした。仙台では変電所がどうにかなって、また停電したようです。

 太陽の暈が地震に関係するとは思いにくいのですが、中国で2008年の四川省大地震の前に環水平アークらしき五彩の雲が目撃されたことや、安政の大地震 の前に「空が近く見え、星の光が倍になる」現象があったとも言われています。わたくしこと珍獣様による博物誌は、科学的に正しいことばかりを取り上げるも のではありませんから、いちおう記録しておきます。

 翌朝はまた曇りで気温が高く、強風が吹きました。

その3
太陽の内暈
2011年4月11日11時50分ごろ、足立区中川にて撮影。
太陽の内暈
太陽を手で隠して撮影。
太陽の内暈
上の写真を修整。コントラストと彩度を上げたもの。

 東日本大震災からちょうど一ヶ月。前日は分厚い雲に覆われていましたが、夜が明けると雲が切れて気温が上がりました。短時間ですが太陽に内暈がかかり、それからまた雲って夕立がありました。17時16分ごろ、福島県の内陸部を震源とする大きな地震がありました。震源地付近では震度6弱を記録し、葛飾区・足立区でも震度4以上の揺れが記録されています。内陸で発生した地震であるにもかかわらず津波も観測されました。これ自体が大地震なのに東日本大震災の余震だそうです。
 
 暈を見た日に大きな地震というパターンが二度続いたので、2008年6月6日の観測のあとに何か起こっていないか調べたのですが、一週間後の6月14日に岩手・宮城内陸地震が発生していました。偶然とは思いますが気になる話です(何度も書きますが、珍獣様の博物誌は科学的に正しいことだけをとりあげるものではありません、念のため)。
 
 暈の出る原因が地震だなんてことはもちろん思いません。しかし、地震の影響で暈が出やすい環境が整うとは考えられないのでしょうか。
 
 安政の大地震のおりに、夜空が近く見え、星の光が普段の倍になる現象があったと記録されています。それについて昔の人は、陽の気が大地に渋滞して出ることができないと、餅を焼いたときにふくれるように大地が膨張して地震になると説明しています。その際、天が近く見えるのは雨の降り始めに山が近く見えるのと同じ理屈だというのです。現在でも阪神大震災の直前に夜明け前なのに空が明るくなったと言われていますし、地震のエネルギーが大気になんらかの影響を与え、普段とは違う光学現象が発生しやすくなる……なんてことは、やっぱりない? 本当にない??

その4
太陽の内暈
2011年4月15日14時ごろ、葛飾区水元にて。
太陽の内暈
上の写真にアンシャープマスクをかけたもの。
 この日は夕方に環天頂アーク(逆さ虹)も出ました。連日の光学現象に、さすがのわたしも「偶然偶然、地震とは無関係、春はかすみの季節だからね」とひとりごちたのですが、翌日の11時過ぎに栃木県南部で震度5強を記録する地震が発生し、東京でも震度4くらいだったそうです。わたしは移動中で揺れには気づかず、ラジオでニュースを聞いて絶句しました。気象庁によるとこの地震は東日本大震災ではなく、別の地震だそうです。地震のあった16日にも暈が出ました。さらに17日にも薄く暈が出ました。
 
 はたして大気中の光学現象と地震は関係があるのでしょうか。
 
 京都の民間地震研究家で椋平広吉(1903-1992)という人が、ある種の虹を見て何度も地震を予知しています。彼が地震予知に使ったのは雨上がりに出る虹ではなく、彩雲のようなものだったと考えられています。予知に成功する一方ではずれることも多く、科学というよりは占いの一種だとも言われていました。
 
 しかし、過去の大地震で、空が明るく輝く現象があちこちで目撃されています。安政の大地震の時には星の光が普段の倍になるような現象もあったそうです。もしかすると断層から出るなんらかの力が大気中の水蒸気や氷晶に作用して、さまざまな光学現象があらわれやすい条件がそろうのかもしれません。あくまで「かもしれない」という話ではありますが。
 
 この記事を書いている現在、毎日のようにどこかで震度5クラスの地震が発生しています。春は靄(もや)と霞(かすみ)の季節だから、暈などの光学現象がもともと出やすいのかもしれません。これらの関係は、今のところ偶然の域を出るものではありません。
 
 よしんば占いのたぐいであっても気をつけるに越したことはないと思います。日常の些細なことにふと心が止まったら、身の回りを点検して備えるべきでしょう。落ちたら危険なものを高いところに置かないとか、家具が倒れてきても下敷きにならない場所に寝るとか、改善できる小さなことは沢山あると思います。

 2011年は頻繁に内暈を見ました。あまりしょっちゅう見るので写真すら撮りそびれたり、撮ってもブログに貼り忘れることもありました。地震があった日もあれば、まったくなかった日もあります。そもそも、気づいてないだけで毎年このくらいの頻度で出現するのかもしれないですしね。
 
内暈
2011年5月9日葛飾区水元にて。
 
内暈
2011年5月31日葛飾区金町駅前にて。
 
内暈
2011年6月15日葛飾区亀有駅前にて。

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