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和名 ギシギシ
別名 ウマスイバ(馬酸葉、馬酢葉)
ウマダイオウ(馬大黄)
シブクサ(味がえぐいことから?)
シノネ
学名 Rumex japonicus(日本のスイバ)
 など、Rumex 属の総称?
科名 タデ科
沖縄口  
アイヌ語  
中国名 羊蹄(根の形から)
牛舌葉(葉が牛の舌に似ているから)
禿葉(禿瘡という皮膚病を治すことから)
山大黄(タデ科のダイオウの代用になることから)
大黄(タデ科のダイオウの代用になることから)
英名 dock(ギシギシやスイバのたぐいを指す)
curly dock(葉にフリルがあることから?)
エスペラント  
その他  
初夏
原産地 ヨーロッパ
 
 
ギシギシにまつわるいろいろ
 ギシギシはどこにでも生えている草なので、名前は知らなくとも見たことがある人は多いはず。学名でいうと Rumex japonicus のことだが、同じタデ科のスイバ(スカンポ、ソレルともいう Rumex acetosa)によく似ているので見分けていない人もいるかもしれない。(参考>植物園へようこそ・ギシギシスイバ)。

 他にも、

Rumex conglomeratus アレチギシギシ
Rumex obtusifolius エゾノギシギシ、ヒロハギシギシとも
Rumex crispus ナガバギシギシ
Rumex nipponicus コギシギシ(絶滅危惧種らしい)
などがあるが、たがいに交雑して区別しにくく、一般にはどれもギシギシと呼んでいるような気がする。

 食用にするのは若い芽と葉。蓚酸が多いので、茹でて水にさらし、アクを抜いてから使う。または、天麩羅でも食べる。真夏に育ちきったギシギシの葉を茹でて食べてみたことがあるが固くて不味かった。

 本田勝一氏の本にスイバのつもりでギシギシの茎をキャラブキのようにして食べたらジンマシンが出たという話があったような気がする。茎が立ち上がるほど育ちきったギシギシはアクが強いのかもしれない。食用にするなら、春先か秋ごろに出てくる芽を摘んで食べるのがいいと思う。

 ところが、若い芽を選んで摘んでもあまり美味しくないギシギシがあるような気がする。ひょっとすると種類による違いかもしれないが、たまたま出来の悪いのに出会っただけかもしれない。

 ギシギシは薬にする植物としても古くから知られている。根を掘り出してすり下ろしてしぼった汁を皮膚病につけると治ると言われている。便秘の時は根を干したものを煎じて飲む。根の形を見るとスイバとの違いがはっきりするというが、掘ったことがないのでよくわからない。

ギシギシにまつわる言葉
壱師(いちし)
 万葉集に出てくる植物で、ギシギシ、イタドリ、イチゴ、エゴノキ、ヒガンバナなど候補がいくつかあり何を指しているかはっきりしない。
 問題の歌は柿本人麻呂のもので「道の辺の壱師の花のいちしろく人皆知りぬ我が恋妻は」とある。壱師の花のようにいちしろく(はっきりと)、わたしの恋しい人のことを皆に知られてしまいました、という意味なので、地味なギシギシよりはヒガンバナかエゴノキあたりが妥当と考えられる。

ギシギシ
 京都の方言に由来するとか、茎と茎をこすりあわせるとギシギシ言うからという説もあるが、ハッキリしない。

Rumex japonicus
 ギシギシの学名。Rumex はある種の槍を意味する単語で、スイバのたぐいの葉の形を言いあらわしたものだと言う。 japonicus は日本の、という意味。

Rumex nipponicus
 コギシギシの学名。nipponicus は、日本の、という意味。学名の二語目には、地名がくることも少なくないが、「日本の」を意味する単語には japonicus(japonica)と nipponicus(nipponica)の二系統ある。

Rumex conglomeratus
 アレチギシギシの学名。conglomeratus は集団の、球状のといった意味。

Rumex obtusifolius
 エゾノギシギシ(=ヒロハギシギシ)の学名。obtusifolius は、鈍い(尖っていない?)の葉という意味だが、何と比べてどのあたりが鈍いのかよくわからない。

Rumex crispus
 ナガバギシギシの学名。crispus は、縮れた、シワがある、という意味。

Rumex acetosa
 スイバ(=スカンポ)の学名。acetosa は酸っぱいという言いで、スイバという植物そのものも指す。

  
 
珍獣様が食したギシギシ