壱師(いちし)
万葉集に出てくる植物で、ギシギシ、イタドリ、イチゴ、エゴノキ、ヒガンバナなど候補がいくつかあり何を指しているかはっきりしない。
問題の歌は柿本人麻呂のもので「道の辺の壱師の花のいちしろく人皆知りぬ我が恋妻は」とある。壱師の花のようにいちしろく(はっきりと)、わたしの恋しい人のことを皆に知られてしまいました、という意味なので、地味なギシギシよりはヒガンバナかエゴノキあたりが妥当と考えられる。
ギシギシ
京都の方言に由来するとか、茎と茎をこすりあわせるとギシギシ言うからという説もあるが、ハッキリしない。
Rumex japonicus
ギシギシの学名。Rumex はある種の槍を意味する単語で、スイバのたぐいの葉の形を言いあらわしたものだと言う。
japonicus は日本の、という意味。
Rumex nipponicus
コギシギシの学名。nipponicus は、日本の、という意味。学名の二語目には、地名がくることも少なくないが、「日本の」を意味する単語には
japonicus(japonica)と nipponicus(nipponica)の二系統ある。
Rumex conglomeratus
アレチギシギシの学名。conglomeratus は集団の、球状のといった意味。
Rumex obtusifolius
エゾノギシギシ(=ヒロハギシギシ)の学名。obtusifolius は、鈍い(尖っていない?)の葉という意味だが、何と比べてどのあたりが鈍いのかよくわからない。
Rumex crispus
ナガバギシギシの学名。crispus は、縮れた、シワがある、という意味。
Rumex acetosa
スイバ(=スカンポ)の学名。acetosa は酸っぱいという言いで、スイバという植物そのものも指す。