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和名 ピーマン・トウガラシ・シシトウ
別名  
学名 Capsicum annuum
科名 ナス科
沖縄口 こーれーぐす(高麗薬 トウガラシのこと)
 唐辛子を泡盛につけたものを言う場合もある。
中国名 青椒 柿子椒(ピーマン)
辣椒(トウガラシ)
英名 green pepper(緑のピーマン) red pepper(赤ピーマン)
pimento(ピーマン)
red pepper(赤トウガラシ)
chili pepper(赤トウガラシ)
エスペラント dorc^a kapsiko(ピーマン「甘い辛子」の意)
kapsiko(トウガラシの総称)
その他 poivron , piment(仏)
pimento , pimiento(西)
peperone(伊)
Paprika , Paprikaschote(独)
夏〜秋
原産地 南米

 
 
ピーマンは甘い唐辛子?
 緑色のピーマンのことを、英語では green pepper と言う。pepper は唐辛子のことだから、つまり緑の唐辛子という意味である。実は、ピーマンと唐辛子は学名で言うとCapsicum annuum という植物で、辛いものを唐辛子、辛くないものをピーマンと呼んでいる。同じ植物といっても品種が違うので、ピーマンと唐辛子が同じ木になったりはしない(あたりまえだが)。南米で発見されたトウガラシが、ヨーロッパに伝来して改良されたのがピーマンに、日本に伝来して改良されたのがシシトウになった。

 欧米各国の言葉では、ピーマンと唐辛子を明確には呼び分けず、甘い唐辛子とか、緑の唐辛子とか、適当な呼び方をしているらしい。そんなんじゃ不便だろうと思うのだが、以前クロアチアの人にピーマンをなんというのか聞いたら同じような説明をしていたので、やっぱり本当なのかもしれない。

 中国語でも緑のピーマンを青椒というが、「椒」は胡椒や山椒など辛いもののことを言うときに使うから英語の pepper と似たような感覚なのだろう。

 一方、日本ではCapsicum annuum をさまざまに呼び分ける。辛いものを唐辛子、唐辛子のようで辛くないのをシシトウ、アマトウ。辛くない丸いのをピーマン。ピーマンみたいで大きくて肉厚なのをパプリカ。みんな同じ植物からわかれた品種である。

 唐辛子の辛み成分をカプサイシンといって、殺菌作用、健胃作用、体を温める作用があると言われている。食物としてとりこめば脂肪を燃焼させるというのでダイエット補助食品などに配合される。また、昔から寒い日には靴の中に鷹の爪(乾燥した唐辛子)を入れておけば足が温まるとされる。現在でも靴下などの衣料品に唐辛子成分を織り込んだ商品が販売されている。

ピーマンにまつわる言葉
 
ピーマン頭
 ナスもトマトも中に実がつまっているが、ピーマンときたら皮だけで中はスカスカ。そのため、考えの足りない人のことをピーマン頭といったりする。ピーマンのように頭の中がスカスカだというわけ。

pepper(ペッパー)
 英語でコショウ(胡椒)のこと。ピッパリーというサンスクリット(インドの古語)が語源(参考>エスピー食品株式会社「スパイスの語源」)。ヨーロッパ人が南米で唐辛子に出会った時に胡椒の一種だと勘違いしていたことから名前が混乱しているらしい。

pimento(ピメント)
 スペイン語やフランス語で唐辛子を意味する言葉。なぜ唐辛子の仲間をこう呼ぶのかはよくわからないが、こちらはテンニンカ科のピメント Pimenta officinalis と発音がぶつかっているので紛らわしい。テンニンカ科のピメントは果実を香辛料にするが、その香りがいくつかのスパイスを混ぜたようなのでオールスパイスと呼んで混同をさけている(参考>平凡社『花ことばicon(下)』)。

 
 
珍獣様が食されたさまざまなピーマンたち