近縁種のアズキ(小豆)に似て少し小さく、鮮やかな緑色をしている。味もアズキに似ており、茹でて潰せば緑色の餡になる。
縄文時代の遺跡からもリョクトウとおぼしきものが出るというから、日本ではそうとう古い時代から食べられていたと考えられる(参考>舞鶴のあゆみ2・原始)。しかし、今日ではリョクトウを発芽させたものをモヤシとして食べるほか、春雨の原料にするのがほとんどで、豆そのものを食べることはあまりない。
中国では米と一緒に煮て、かすかに甘く味をつけてお粥にする。米も緑豆もなかば潰れてスープ状になり、夏などは冷やして食べると美味しい。お粥というよりはデザート感覚だ。リョクトウには体の熱を下げ、乾きを癒す作用があると言われている。
沖縄では緑豆を脚気(かっけ)の薬として食べる。モヤシとしても食べる。モヤシのことはマーミナ(豆菜)という(参考[広告]>『聞き書沖縄の食事』)。
インドではムングといって、ポタージュ状のスープにしたり、カレーに入れたりする。また、米とムングを柔らかく茹でて塩とクミン(香辛料)で味をつけたものをケジャリといい、夏バテで食欲のないときに効く。
また、韓国ではリョクトウの粉を水で溶き、加熱しながら練り、型に流して固めたものをムッといい、醤油やごま油などで味付けして食べる(参考[広告]>『マメな豆の話』)。
春雨はリョクトウからとった澱粉(でんぷん)で作る。澱粉を水にとき、加熱して糊のように練ったものを、小さな穴が沢山あいた容器に入れ、煮え立った鍋の上で押し出して茹でる。湯だったものを乾燥したのが粉絲(粉条)で、日本では緑豆春雨という。この方法で作ったものは糸のように細い春雨になるが、中国には板状のものや、葛餅風の分厚いものなどもある。
しかし、日本で製造されているものの中には、サツマイモやトウモロコシからとった澱粉を使った春雨もある。こちらは、茹でたものを凍結し、解凍することによって水分を抜く(参考>農林水産消費技術センター)。緑豆で作ったものより腰がなく煮くずれしやすいとも言われる。
水でふやかしたリョクトウを洗って水加減した米に好きなだけ加え、好みでほんの少量の塩を加えて炊飯器でふつうに炊くと赤飯ならぬ緑飯のできあがり。これが意外と美味しい。