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芋茎(ずいき)というのはサトイモの茎のこと。芋幹(いもがら)とも言う。っていうか、いもがらという言い方のほうがひょっとしたら本来の呼び名なのかな。だって、芋茎のどこをどうひっくりかえって見ても「ずいき」なんて読みが出てこないし。やっぱり随喜(ずいき)にかけてるのよね?? 緑色のと白いのと、赤いがある。緑色のものは茎を食べるために育てられている品種で、白いのは日に当てずに育てたもの。赤いのは海老芋(エビイモ)や八頭(ヤツガシラ)という芋も食用にする品種の茎であることが多い。写真のものはなんの茎かちょっとわからない。写真のものは生だけれど、普通は乾燥させたのを売ってることが多い。 ここで注意が必要なのは、すべてのサトイモの茎が食べられるわけじゃないってこと。普通のサトイモの茎はアクが強く、食べるとピリピリするから要注意。
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どうでもいいけど細長いものってどうやって写すとカッコイイ? 思い余って切り口から迫ってみたけどなんだかよくわからない物体になってしまったわ。 なお、夜のお道具である肥後芋茎(ひごずいき)もサトイモの茎を乾燥させたものです。食べるんじゃなくて殿方に縛り付けて使うであります。こけしの形に加工されたやつは戦争未亡人とかが愛用したそうでございます。サトイモのアクがピリピリしてよい具合になり随喜の涙となるのでございます。残念ながらわたくしは使用したことがございません。※意味のわからない良い子のみんなは学校の先生やお父さん、お母さんに「ねえねえ、肥後芋茎ってなに?美味しいの?」と純真無垢な瞳で質問してみてください。 さて、どんな風に料理するか。 まず生でかじってみた。以前、ふつうのサトイモの茎を生かじりして悶絶したことがあるけれど、食用の芋茎は辛さや渋さはほとんど感じない。生の芋茎の調理法を検索してみると、皮をむく、ゆでる、水にさらしてアクを抜く、という工程をあげてるサイトが多いけれど、特に何もせず調理してもいいんじゃないかという気がした。 うちでは見慣れない野菜は「豚肉と炒める」のが定番なので、皮をむかず、アクも抜かずに豚肉と一緒に炒めてみた。味付けは醤油、みりん、胡椒といった感じで。ふむふむ、うまいよ。別に味も変じゃないし。皮も気にならない。運がいいだけ? 芋茎はスポンジみたいに味をよく吸うので中華風旨煮とかにも似合うかもしれない。そのときは皮をむいたほうがいいかもしれないけど。 次に、甘酢漬けにするというサイトがたくさんあったので、皮をむいて、ゆでて、水にさらしてみた。甘酢に漬ける前にかじってみた。ありゃ、ほのかに刺激があるよ。料理によっては気になるかもしれないからしつこくアク抜きしたほうがいいかもしれないなあ。
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どぅるわかしー(沖縄料理) 情報提供者:ひろこ様 材料:芋茎(生)、サトイモ、豚肉切り落とし、椎茸、さやいんげん(冷凍)、黒豆(水煮) 調味料:ごま油、塩、砂糖、醤油、酒 1. 芋茎は茹でて皮を剥き、水にさらしてアク抜きする。一口大に切って軽く潰す。 2. サトイモを茹でて皮を剥き、潰す。 3. 椎茸は賽の目に切る。さやいんげんも1cmくらいの長さに切る。豚肉は細かく切る。 4. フライパンでサラダ油を熱し、3を炒めて調味料で味付けする。1と2を加えて加熱しながらよく混ぜて水分を飛ばす。しつこいくらいに加熱するのがいい。 これが異様に美味いのよ。芋茎を潰しちゃってるから食感が残らないんじゃないかと思ったけど意外と大丈夫。サトイモのねっとり感と芋茎のしゃきしゃきした歯ごたえがたまらないのです。しつこく火を通すのは大量に作って日持ちさせる手だと思うんだけど、しっかり火を通すことでコクのある旨みに仕上がるみたい。野菜は冷蔵庫にあるものを適当に入れていいです。酒はあれば泡盛がよくて、なければ日本酒。安い料理酒を使ったら混ぜ物のせいか変なクセが出てちょっと失敗だった。 沖縄ではターンム(田芋)と呼ばれる品種を使って作る。芋茎のことはムジとかタームジなどと言う。
赤芋茎の甘酢漬け
生の芋茎なら何色のものを使ってもいいけど、赤芋茎だと酢漬けにしたとき赤くなってきれい。皮を剥いてから茹でるのと、茹でてから皮を剥くのと両方やってみたけど、後者のほうが発色がいいみたいだった。気のせいかな。 和歌山在住のひろこさん情報によると、和歌山では生の芋茎が主流で、お盆には欠かせない食材だそうである。芋茎といえば夏というイメージがあるとのこと。
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高知で栽培されているハスイモ。これも芋茎と呼ばれるものだけど、上に紹介した赤芋茎と違って「芋茎だけ」を食べる品種だそうで、学名を調べると芋を食用にするいわゆるサトイモとは同属の別種にあたる。沖縄の田芋はハスイモと同種である。沖縄から高知へ伝わったということで、地元ではリュウキュウと呼ばれるそうだ。 サトイモ(ヤツガシラ、エビイモ、セレベス…その他もろもろ、南洋のタロイモも)
ハスイモ、田芋
田芋を「タロイモに近い品種」だという人もけっこういるみたいなんだけど、学名を調べるとタロイモと田芋は別種っぽいんです。田芋もタロイモも水田のようなところで栽培するので、分類的に近いのではなく栽培方法が近いという意味かもしれない。 ハスイモを農作物として栽培しているのは高知などの南の方の県が多いようだが、東京でも観賞用(食用もかねているかも)に栽培している家を見たことがある。玄関先の花壇に生えているので珍しいと思い「サトイモですか?」とたずねたら「ハスイモといって芋茎を食べるサトイモの仲間です」ということだった。
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切り口を見ると無数の穴があり、ハスに似ていることからハスイモと呼ばれている。赤芋茎の茎にも穴があるけれど、こんなに大きくはないと思う。 |
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調理法を記載したラベル。端から手で皮を引くように剥き(フキの筋を引くような感じで)、茹でて絞るか塩でもんでから塩抜きをしてあくを抜く。酢の物・炒め物・サラダ・お吸い物の具などに使うと良いとのこと。食感はシャキっとしており、無数の穴がスポンジのように味を吸い込むので汁気多目の炒め物や汁物に良く合う。もちろん酢の物にも。赤芋茎より上品な味がする。 |
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