熱帯アフリカ原産のマメ科植物。豆といっても蔓にはならずエンジュのように高い木になる。実はぷっくりふくらんだサヤになる。成熟するとサヤは固くなり、これを割って、中の果肉を食べる。
果肉は酸味のつよいものと、甘いものがある。甘いものは果物としてそのまま食べる。酸っぱいものは調味料としても使われる。また、酸味の強い青汁で金属を磨くとぴかぴかになるという。
実には便秘を解消する効果があり、ビタミンやカルシウムも豊富である。マルコ・ポーロは『東方見聞録』の中でタマリンドの効果を次のように記録している「インドグジャラート地方の海賊は、商人を捕らえるとタマリンドと海水を混ぜたものを飲ませる。するとたちまち腹を下すので、海賊達は下したものに宝石類が含まれていないか調べる。商人は賊に襲われると貴重品を飲み込むと信じられているからだ」
タイでは象が病気のときにタマリンドの実を与える。タマリンドを食べた象は賢くなるとも言われている。
果肉の中にはいびつで真っ黒な豆があり、この種も炒ってから粉にして、小麦粉と混ぜてパンにする。殻がはじけるまでよく煮て食べることもある。ピーナッツに似た風味だという。また、食品の増粘剤の原料にもなる。漬物、佃煮、塩辛、たれ、ドレッシングの離水防止、分離防止に使われている。強力な接着剤の原料にもなる。タイの農村では食糧難のときにモヤシにして食べるという。
タマリンドの葉や実は染料としても使われる。木材は固いのでまな板や農耕具の材料にされる。
タマリンドと似たものでビロードタマリンドまたはベルベットタマリンド(Dialium
cochinchinensis)というものがあるが別種である。