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珍獣の食卓2
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キュウリに蜂蜜をかけるとメロンの味、なんてことを申しますが、
キュウリとメロンは同じ cucumis 属の仲間なので味が似ているのも
当然といえば当然のお話。
今宵わたくしの食卓に登場する真桑瓜(まくわうり)は、岐阜県
真桑村(現在の真正町)の名産品だったことからその名があるウリ
科植物で、分類学的に言えばメロンの変種。甜瓜の別名を持つあまー
い瓜なのです。
…というのは、本などで得た知識。わたくし、真桑瓜ってやつを
食べたことがございません。古い図鑑などを読むと「日本全国で栽
培されている」なんて書いてあるけど、八百屋さんでもスーパーで
も見たことないし、一体どのあたりの「全国」で栽培されてますの
ん??
少々調べてみたところ、1960 年代以降、真桑瓜と西洋のメロンを
交配させてメロンの新品種が盛んに作られるようになると、甘みが
強く栽培しやすいメロンに押されてマクワウリそのものは次第に消
えてしまったようなのです。
食べられないと思うと食べてみたくなるでしょう。ああ、真桑瓜、
マクワウリ。果肉は固いのかしら、やわらかいのかしら。どんなふ
うに甘いのかしら。食べてみた〜い。
その思いが天に通じたのか、ついに真桑瓜と対面する日がやって
きたのです。なんと近所のスーパーで普通に売られてました。
最近は各地で伝統野菜の復活をめざしているらしいんです。ほら、
スローフードってのが流行してるでしょ。地元産の野菜を手間暇か
けて美味しく食べようってやつ。中国から入ってくる安い野菜に対
抗するためにも、日本古来の農作物が注目されているというわけ。
◎真桑瓜
./melon01a.jpg
これがスーパーでみつけた真桑瓜。形は洋ナシに似て、黄色い皮
がたいそう美しく、見た目だけで好きになってしまいそう。ああ、
うっとり。値段は一個 150 円くらいだったかなあ(メモしわすれた
ー)。
◎切ってみました
./melon01c.jpg
これぞまさしく瓜ふたつって書きたかったのに、微妙に中心を外
して包丁を入れてしまいました。失敗。
さあ、ついに実食の瞬間がやってまいりました。
あこがれのマクワウリです。ちと緊張ぎみであります。
食べ方はメロンと同じように皮をつけたまま縦に四つ割にして、
スプーンで…
…あら、果肉が固くてスプーンが入らない。
そういうことならかぶりついてみましょうか。
せーの、がぶりっ。
ボリボリ…バリバリ…
あの〜、これマジで生食するような代物ですの?
とにかく甘くないんです。ぜんぜん甘くない。
品種改良が進む前の古い作物でしょうから、メロンのような甘み
を期待してるわけじゃないんですけど、残念ながらお世辞にも甘い
とは言いにくいです。キュウリにくらべればいくらか甘みを感じる
程度。
かといって不味くはないです。サラダにしたり、和え物にしたり、
野菜として使うなら美味しいと思う。でもこれはフルーツだって言
われると、ちがうでしょって言いたくなる。これが真桑瓜本来の味
なのかしら。ガッカリだわ。まあ、世の中にはトマトをフルーツだ
と言い張って決してゆずらない人もいるから、こういうのもありな
のかもしれないけどね。でも甘くない。かなり不満。
それでも半分くらい丸かじりしました。メロンとちがって皮が薄
くて、皮ごと食べられます。っていうか、果肉が固いので皮との境
目がみつからず、食べかけで包丁を持ち出すのも面倒くさかったか
ら、皮も一緒に食べてしまったのです。
二個買ったので、残りは冷蔵庫で三日くらいおいてみました。あ
いかわらず固いままだし甘みもありません(追熟を期待するなら常
温に置くべきだったかも)。
仕方がないのでサラダにしました。
◎真桑瓜のサラダ
./melon01e.jpg
薄く切ってマヨネーズベースのドレッシングで和えただけです。
野菜としてなら美味しく食べられます。シーチキンや蒸し蛸と一
緒に和えてもよさそう。
こうして、初めての真桑瓜体験は終わったのです。
夢破れて山河あり。
懲りない珍獣様はチャンスがあったら中国のハミ瓜を食してみた
いです。
果物の輸入業者の方、珍獣様にハミ瓜を貢いでみませんか。通販
サイトの広告もしていいですよん。真桑瓜リベンジをはかる業者様
も募集中でーす(こんな弱小メルマガ絶対見てないだろうな)。
なお珍獣様へのメールは今見ているメルマガに返信すると届きます。
ってなわけで、次回もまた一週間後くらいに。
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