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             珍獣の食卓2             

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 一週間後に、などと予告したような気がするのですが、真桑瓜に
新たなハプニングが勃発したので早めにお伝えします。

 前回は「真桑瓜を買ったら、ガリっというほど固くて、甘くもな
いし、これのどこが果物?」というお話でした。

 真桑瓜に関するアンケートを実施したところ、

Q.真桑瓜(まくわうり)を食べたことがありますか?
 よく食べる-------------------------------7%
 前に食べたことがある--------------------27%
 食べたことがない(名前は知ってる)------29%
 食べたことがない(聞いたことすらない)--37%
 栽培してます/販売してます---------------0%

このような結果になりました。

 コメントボードにもいくつか書き込みをいただきました。食べた
ことがあるという方の書き込みは「自分が食べたのは甘かった」と
いう意見ばかりでした。

◎コメントボード
http://clickanketo.com/cgi-bin/cb.cgi?q0002234232
 珍獣様が怒りをぶちまけているので他の方のメッセージがうもれ
ぎみです。ごめんなさい。閲覧も書き込みも、まだしばらくできる
と思います。

 こうなってくると、珍獣様が食べた固くて甘くない物体はなんだ
ったのかという疑問がわきあがります。そこで、真桑瓜を販売して
いた東急ストア金町店に話を聞きに行ってみました。

 インフォメーションの人に「先月ここで買った真桑瓜は固いし甘
くないし、あれはなんなの?」というような話を切り出そうとした
ら、話を途中で制止して「担当のものを呼びますので」と、売り場
の責任者を呼んでくれました。

 以下は担当さんとの会話の記録ですが、珍獣様は途中からかなー
りキレぎみになっているので、担当氏の発言が脳内変換されて必要
以上に失礼に聞こえているかもしれません。実際にはもうちょっと
紳士的に応対してくれてたかもしれないと、いちおうフォローしつ
ついってみます。

珍獣「先月の中頃に、ここで(と売り場を指さし)真桑瓜を買った
のですが」
店員「今週も入ってますよー!」
珍獣「あ、そうなんですか。で、その真桑瓜なんですけど、私は初
めて食べたんです。話に聞いてたものは甘い果物なのに、こちらで
買ったのは、まるで甘くなくて、かじるとガリって音がするほど固
かったんですけど」
店員「はあ。それは何日かおいていただければ甘くなると思います
が。メロンと同じですね」

 珍獣様はこのあたりで微妙にキレはじめました。メロンと同じと
いうけれど、そこらにある安いメロンだって、もうちょっと甘いし、
あそこまで固くはないんですよ。

珍獣「何日かおけば追熟するということですか」
店員「はい」
珍獣「それは常温でおけばいいのですか。何日ぐらいで食べ頃にな
りますか」
店員「 3 日くらいですかねえ」

 この発言がすでに信用できない気がするんです。たしかに常温で
置いてみるべきだったとは思うのですが、あれだけ固くて甘みのな
いものが、はたして 3 日おいたくらいで甘くなるものなのかなぁと。

珍獣「はあ、すると、即日で食べてはいけないものだったのですか。
ならば、どうしてその旨を説明する張り紙なり、メモなりを置いて
くれないのですか。真桑瓜なんて、普通に食べられるものじゃない
ですよね。食べたことがない人のほうが多いと思うんですよ。みな
さん食べ方を知らないと思うんですけど…」
店員「ある程度ご年配の方ならご存じなのですが」

 ダメです。わたくし完璧にキレました。

珍獣「残念ながら私はご年配の方ではないのでそんなことは知りま
せん。こちらの商品はご年配の方だけに買ってほしいということで
すか」
店員「い、いえ。そういうことでは」
珍獣「私が知ってるのは真桑瓜が甘くて美味しいものだってことで
す。こちらのは甘くない。固かったんです」
店員「どうしても甘くないということでしたら、漬け物などで食べ
ることもできますが」
珍獣「するとなんですか。ここの真桑瓜は果物ではなく野菜として
売られているものだと」
店員「そうです。基本は野菜ということで」

 すでに話がちがっとるじゃないか。最初の話では、追熟させれば
甘くなるってことだったぞ。

店員「摘果メロンというやつです。若いうちにとってしまって漬け
物にするメロンですよ」

 知ってるー。メロンを作るときに、たくさん成ったのを若いうち
に間引いて、間引いたやつを奈良漬けにしたりすんの。でも、そう
いう漬物用のものを店で売る時は、漬物用だって書くのが親切でし
ょ。少なくともスーパーみたいにいろんな世代の人が買い物に来る
場所だったら。

 それから店員さんは摘果メロンについてだらだらと説明をしてま
したが、途中で話をさえぎって、

珍獣「でも、ここにあるのはメロンじゃなくて真桑瓜」
店員「メロンもマクワウリも同じです」

 そう来るか。こっちもだてに瓜食ってないぞ。

珍獣「知ってます。メロンとマクワウリは同種です。でもメロンは
メロンでマクワウリはマクワウリでしょう」
店員「同じです」
珍獣「ええと、いわゆるメロンは、マクワウリと西洋種のメロンの
合いの子なんですよね。知ってますよ。だからメロンとマクワウリ
は別のものでしょ。なんでマクワウリが摘果メロンなんですか」
店員「摘果メロンというのはたとえで申し上げただけで」
珍獣「つまり、ここにあったのは摘果マクワだといいたいわけですか」
店員「そうですそうです」

 摘果マクワというのが本当ならば、たくさん成ったマクワウリを
間引いたものだってことになります。だとすれば果物として出荷す
るために甘くなるまで熟させたマクワウリがあったっていいはずじ
ゃありませんか。

珍獣「私は甘い真桑瓜を食べたいんですけど、こちらで売ってるの
は野菜として作られた摘果マクワなんですね?」
店員「そうです。そもそも産地の龍ヶ崎でもあまりたくさん作って
いません。当店に入ってくるのは野菜にするものばかりです」

 あのさあ、さっき追熟させろって言ってたよねえ。
 果物として出荷してるんだけど、輸送の問題とかあって未熟なう
ちにとってますっていうんなら追熟すると甘くなるんだと思うのよ。
 でも、そうじゃなく若い時期にとっちゃったのって、ほんとに甘
くなるもの?(やってみたことないので珍獣様には自信がない)
っていうか、この人、追熟させて食べたことあるのかな。

珍獣「…だいたい話はわかりました。つまり私が買ったのは野菜に
するために未熟なうちにもいだものってわけですね」
店員「そうです」
珍獣「ところで、ついでだから聞いてみたいんですけど、マクワウ
リにもいろいろ品種があるんでしょう。こちらのはマクワウリの何
なんですか?」
店員「はあ…マクワウリです」
珍獣「そうじゃなくて、マクワウリというのはメロンの変種で、マ
クワウリ自体にも地方により、いろんな色や形の品種があるのでし
ょう?こちらのはなんですか?」
店員「ええと、龍ヶ崎で真桑瓜という商標をとっているもので、当
店には真桑瓜という名前で入ってきています」
珍獣「商標?」
店員「そうです。真桑瓜という商標のものですから、別の地方では
同じものでも真桑瓜という名前で出せないこともあります」

 マクワウリの本場って岐阜県真桑村(今の真正町)よね。ほんと
に龍ヶ崎で「真桑瓜」の商標なんか持ってるのかな。なんにしても
商標と品種名は別の話。

 なぜ品種名にこだわるかというと、もしかすると龍ヶ崎のマクワ
ウリは最初から甘くならない漬物用の品種なんじゃないかって思っ
たからなんです。もしそうなら、追熟させれば甘くなる、なんて会
話がすでに無駄だったわけで。

珍獣「今週も入ってるっておっしゃってましたが、店頭には出てな
いのですか?」

 もう一度買ってかえって追熟させてみようと思ったのです。

店員「一日に 5 個くらいしか入らないもので、みなさん待ちかまえ
て買って行かれるほどですよ」

 待ちかまえて買ってく人たち全員が漬け物にするとはとうてい思
えないのですけど。みなさん追熟させて食べておられるのでしょう
か。

珍獣「JA龍ヶ崎に問い合わせたら、品種のことなどは教えてもら
えるでしょうか」
店員「農協さんは栽培農家さんから品物を集めて出荷するのが仕事
ですから、出荷してるものが何かってことは、知ってる人もいるで
しょうが、知らないかもしれません。こちらで栽培農家の方に連絡
をとって聞いてみることはできますが…」
珍獣「だいたいわかりました。どうもありがとう」

 農家の人に連絡をとってもらってもいいけれど、その農家の人た
ちは農協から種を仕入れて作付けしてたりするような激しい悪寒
(某掲示板用語をわざわざ使いたくなるほどの強烈な予感)がする
ので話を切り上げて帰ることにしました。

 ここまでの要点を整理すると、珍獣様が東急ストア金町店で購入
した真桑瓜は「龍ヶ崎産のもので漬物用の野菜として出荷された未
熟なもの」だったということのようです。

 さて、店員さんをへこませて遊ぶのが目的ではないので次のステ
ップに進まなくてはならないんです。珍獣様があこがれているのは
未熟な摘果マクワじゃなく、甘くて美味しい果物のマクワウリなん
です。

 まずは産地の農協に問い合わせてみようと思い、JA龍ヶ崎のサ
イトを探しました。問い合わせ先として、住所や電話番号はなさそ
うでした(あっても電話代がもったいないのでかけたくはないんで
すけどね)。メールフォームがあるので質問を送ることにしました。

・東急ストアで「真桑瓜」は龍ヶ崎で商標登録してると言ってまし
  たが本当ですか?
・龍ヶ崎で作っているマクワウリの品種名(商標ではなく)はなん
  ですか?
・その品種は熟せば糖度のあがる果物用の品種ですか?
・果物用だとして、熟したマクワウリはどこで買えますか(通販で
  きますか)?
・東急ストアに出荷している真桑瓜を常温で何日くらいおいたら甘
  くなりますか?

というようなことを文章にして、名前書いて、メールアドレス書い
て、送信ボタンをぽちっとな。

 …not found

 「./cgi-bin/ なんとかかんとか.pl」がないってエラーが出てし
まいました。こういうエラーがブラウザのせいとは思えないけれど、
いちおう、別のブラウザなんかも使ったりしてみましたが改善しま
せんでした。よく見ると、このサイトは通販コーナーなども全部何
かの理由で止まってるんです。開設準備中のサイトなのかしら。し
かし、他に問い合わせる宛もありません。

 仕方がないので目先を変えて、龍ヶ崎以外のところでマクワウリ
の通販をしていないかと思い、あちこち検索してみましたが、どう
もぱっとしません。北海道の士別市でマクワウリ(品種は甘露?)
を作ってる人がいるらしいので、士別市の農協を探しましたが、こ
ちらは公式サイトがなさそうでした。メールで連絡の付かないとこ
ろへの問い合わせは予算の関係でやめとこうと思います。

 マクワウリの産地といえば岐阜県真桑村(真正町)なので、町役
場のサイトを見に行きました。どうやら地元の農協で 8 月中旬まで
販売しているらしいのですが、これまた農協のサイトがありません
でした。これは手強いなあ。地方発のめずらしい野菜や果物への欲
求は、珍獣様にかぎらずいろんな人が持ってると思うのだけど、産
地にはニーズに応えるほどの受け皿がないのではないかという印象。
こんなことで日本の農業は中国産の安い輸入野菜に勝てるんでしょ
うか。

 ところで、マクワウリには別名がいくつかあります。本によって
は「アジウリ(マクワウリ)」と書いてある場合もありますから、
こちらでも検索してみました。北海道空知郡の農園で「一株 1000
円でアジウリのオーナーになりませんか」という魅力的な呼びかけ
をしているのを見つけて飛びつきそうになりましたが、収穫時に現
地まで取りに来られる人のみだそうです。わーん、北海道なんて遠
いところまで行けなーい(そもそも苗から育てるんじゃ季節的に手
遅れ)。

 というわけで現在この件に関しては挫折中です。珍獣様が正しい
マクワウリを食べるのはいつの日か?!

 新たな情報としては、マクワウリの別名はアジウリといって、北
海道では甘露という品種が盛んに栽培されているらしいこと。甘露
は俵型で皮が緑色をしているようです。

 また、マクワウリの名前のもとになった岐阜県真正町(旧真桑村)
では、マクワウリから作ったマクワインという商品も販売中だそう
です。でも、ほしいのはワインじゃなくて生マクワ。
 


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