和名 アメリカシロヒトリ(アメリカ白火取 または 白灯取)
別名  
中国名 米國白蛾
科名 ヒトリガ科
学名 Hyphantria cunea
出現期 年 2 回 6〜9 月
(だけど、もっと発生してそうな気さえする)
食草 サクラ・ポプラ・プラタナス・ミズキ・クワなど、広葉樹ならほとんどなんでも
採集地 東京都葛飾区


 
 毛虫って似たようなのが多いので、実はよくわかんないんだけど、たぶんこいつがアメリカシロヒトリっていう有名なアレ。

歩き回る毛虫
1999年10月4日撮影

 幼いうちは、こんなふうに、蜘蛛の巣みたいな網をはって、その中で寄り添って生活している。こういう巣の中にいるうちに枝ごと切り取って燃やしてしまうのが、手っとり早い退治法である。

 このまま巣の中で三回くらい脱皮すると、この巣から這い出して単独行動をはじめる。単独行動開始後があぶない。窓辺の枝からぼとぼと落ちて、部屋の中まで入ってきてしまうのだ。
 さすがの珍獣様も、毛虫はあまりお得意ではないので、ひとつひとつつまんで外へ出す。毛虫になら何にでも毒があると思っている人は多いが、毒があるのはごく一部で、アメリカシロヒトリの毛虫には毒はない。こんなのに毒があったら、珍獣様は大変なことになっていたはずだが、なんともないところを見ると、やはりないのであろう。

 蝶や蛾の幼虫というのは、好き嫌いがはげしく、どの植物につくかだいたい決まっている。けれど、ヒトリガ科はえり好みしない子が多く、アメリカシロヒトリにいたっては100種類以上もの植物の葉を食べることが確認されている。何でも食べられるくせに、そこらにあるもので一番美味しそうなのを選んで卵を生むようだ。特に、サクラやクワが好きらしく、桜並木や桑畑のように同じ種類の木ばっかりはやらかすと、とてつもない大発生になる。名前の通りメリケンな虫なので、日本にはこれといって天敵もいないらしい。記録によれば昭和二十二年ころ日本にやってきて、我が物顔で大暴れし続けているらしい。荒ぶる毛虫様であらせられる。

 もっとも、最近はシロヒトリの被害もだいぶ減ってきているらしい。街路樹などに同じ種類の木ばっかり植えなくなったせいだとか、さすがに五十年も日本にいれば、こいつを食ってみようという鳥や虫も増えたのだろうとか言われている。もっとも、今でも水元公園あたりへゆくと、ポプラやハンノキにたくさん発生して、ぼたぼた降ってくるので、まだまだ威力は失せていないように見受けられる。

 ところで、お子さまは有名なのに、アメリカシロヒトリの親御さんの顔を知ってる人はすくないのではなかろうか。親御さんは夜行性の蛾なので、いまいち知名度が薄い気がする。

 

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