俗名 | ムギワラトンボ(麦藁蜻蛉) |
和名 | シオカラトンボ(塩辛蜻蛉)
シオカラトンボのメスのことをムギワラトンボという。 |
中国名 | 白尾灰蜻 |
科名 | トンボ科 |
学名 | Orthetrum albistylum |
出現期 | 夏〜秋 |
食性 | 幼虫は水中でボウフラやイトミミズ、小さな魚などを食べる
成虫は飛びながら虫を捕獲して食べる |
採集地 | 東京都江戸川区 |
ある日、道ばたにトンボが落ちていた。
黄色っぽい体に黒い斑文のあるムギワラトンボ(シオカラトンボのメス)だった。まるで逆立ちをしているように、シッポを空にむけて、ただまっすぐに立っている。 トンボが逆立ちするには大きな頭が邪魔なはず。一体どうやって立っているのかと近付いて見ると、そのトンボにはは頭がなかった。 大事な頭をどこに落としてきたかわからない。本来そこに頭があるべき部分を地面に密着させて、うまいぐあいにバランスをとり、空にむかって尾を立てていた。 とてもきれいな死体だった。まだアリも集まっていなかった。あまり美しいので、長い尾にそっとふれてみたら、死んでいるとばかり思っていたトンボが足を動かして嫌がった。 頭のないトンボは生きているのだろうか、それとも死んでいるのだろうか。痛みや苦しみはあるのだろうか。そもそも昆虫に意識などあるのだろうか? そんな思いをよそに、頭のないムギワラトンボは、ただ立ちつくす。逆立ちのままで。そのまま立ち去ったので彼女がいつまでそうしていたかわからないし、写真もない。 |
2003年8月22日撮影 ムギワラトンボというのは正式な和名ではなくて、シオカラトンボのメスのことを昔からそう呼ぶことに決まっている。 シオカラトンボはオスとメスとでまるで違う姿をしている。オスは青白く、粉をふいたような色をしているが、メスは上の写真のように黄色っぽい。ムギワラトンボの名は、色が麦藁(むぎわら)を思わせるところからつけられたようだ。 |
2003年8月27日撮影 トンボの大きな目は複眼といって、ごく小さな目が集まってできている。ムギワラトンボの目は緑と青のまじった沼のような色をしている。この大きな複眼のおかげで、トンボは前だけでなく横や後も一度に見ることができる。 また、写真では見にくいけれど、複眼と複眼の間にも単眼が三つある。単眼は明るさを感じる程度でものを見る力はないと言われている。もっとも実際にどんな景色が見えているかなんて、トンボに聞いてみなければわからないが。 |
2003年9月2日撮影 |
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