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アイヌ刺繍(その一)

 アイヌには昔から興味があってアイヌの民話やアイヌ語の入門書などは読んだことがあったのだが、ある日とつぜんアイヌ刺繍をやってみようと思いたってやりはじめた初期の頃の作品。といっても、継続してずーっとやってるわけじゃないのでぜんぜん上達していないのだが。

 アイヌ刺繍には魔よけの意味があるのだそうで、着物の袖口、裾、襟ぐりなど、穴のあいてる部分に必ず刺繍とアップリケが施される。これがけっこう可愛くて、日常生活に取り入れたら素敵なんじゃないかと思う。アメリカインディアンっぽいデザインがたまに流行ったりするのと同じで、アイヌもいけるんじゃないかと思ったわけ。

 身近に先生がいるわけじゃないので、最初は民族衣装の写真集を片手に刺繍の図案を作った。上の写真は樺太アイヌのテクンペ(手甲)にほどこされていた刺繍を練習用にまねしてみたもの。写真集の解説によれば、アイヌ刺繍に使われる図案は、そんなに沢山はなくて、簡単な模様の組み合わせで複雑な模様を作っているんだそうだ。やってみると思ったより簡単にそれっぽい幾何学模様が描ける。けっこう面白い!

 図案ができたら縫い方だが、これも大したバリエーションはなくて、チェーンステッチとコーディングステッチ(コーチンクステッチとかコーティングステッチと訛った表記をしてる本が多い)が基本。それさえ覚えれば問題ないらしい。うむ、そのくらいならわたくしでもいける。

 ついでにいえば、博物館などにあるアイヌの民族衣装を見ると、模様がかなりいびつで、決して精密なものじゃなかったりする。でも、そこが逆に力強い味わいをかもし出しているので、失敗を恐れずにザクザクやるのがよさそう。うむ、ますます珍獣様むきの手作業だ。
 
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