養蚕 絹 シルク 繭 カイコ

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養蚕重宝記(養蚕重宝記)
成立:天保十一年庚子正月改板(1840年)
口述:中村彌七郎(小縣郡上田在マイタ邑)
筆記:小松屋壽惠藏(佐久郡中山道芦田宿峠)
撰:南向堂清重(小縣郡上田在まいた)
底本:『重宝記資料集成・第30巻』(香川大学附属図書館神原文庫蔵の影印本)
# 上記を底本とし、早稲田大学古典籍データベースで閲覧できる資料を参考に入力した。

入力と註:ちんじゅう/ブログにて御意見をくださった方に感謝します。
行番号と余計な註解のないバージョンは>こちらをクリック

 同じ文字を繰り返す記号は「ゝ」「ゞ」にした。例:つゝむ、かゞる # 但し手が勝手に補完して繰り返し記号を使わずに書いてしまった部分があるかもしれない。

 同じ複数の文字を繰り返す時は、横書きでは読みにくくなるだけなので記号を用いなかった。例:一人\/ → 一人一人

 カタカナともひらがなとも取れる文字が混在している文章で、カタカナにする意味のないものはすべてひらがなに統一した。例:くハ(桑) → くは

 一ツ 二ツ のような助数詞はカタカナのまま残した。# 但し手が勝手にひらがなに改めてしまった部分があるかもしれない。

 解読に自信のない文字と、まったく読めなかった文字は[ ]でくくった。

 読みやすくするために句読点を打つべきか迷ったが、切れ目の違い出意味が変わる恐れを考慮して打たなかった。

 同様に濁点・半濁点も打つか迷ったが打たず、分かりにくいところに註を加えた。

 当方は古文書解読暦10日くらいの初心者です。また、養蚕も少しかじったことがある(祖母がやっていたのを幼児期に見ていた程度)です。解読違いなど多数あると思いますので、学術にご利用の方は原典をご確認の上、自己責任でお願いいたします。当方は一切の責任を負いかねます。

 解読の間違いなど発見された方は下記までお知らせください。
ブログ:新・珍獣様のいろいろ
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※このページは等幅フォントでごらんになることをお勧めします。



□□□扉:001:日本無二養蠶秘密
□□□扉:002:蠶はき立傳授の書
□□□扉:003:南向堂先生撰
# 002:はき立 孵化したばかりのお蚕を最初の餌に刷毛で掃くようにして移すこと。また、お蚕を飼うこと。
# 十二丁裏:194 に「はきおろし」も見える。
# 十八丁表:254 に「蚕はきかけ置」がある。

□一丁表:004:神蠶の由来を尋るに[頂][は]
□一丁表:005:人王廿二代雄畧天皇の御后唐土より常陸の国
□一丁表:006:着舟の官女に習えたり自養蠶したもふ也
□一丁表:007:夫より普くふゑん事潮の満るにひとし然と云とも
□一丁表:008:其手たで疎にしていかてか[得利]をえんや第一蚕は
□一丁表:009:家内安全にしてしづめはく事秘傳也常躰
□一丁表:010:五常の道を専[貴]道一ツかくる時はあやうかるへし
□一丁裏:011:然れはむつましくして他の[戻]りに至るとも御油断
□一丁裏:012:すべからす何事も[個度残]す時は事ととのへ家も
□一丁裏:013:整ふなり
□一丁裏:014:虫守て養蠶する時は更に違ふといふ事
□一丁裏:015:なし疑ふへからす神の徳也 [穴][質]
□一丁裏:
□一丁裏:
# 004:[頂][は] その頂点は、一番最初は、ルーツは、というような意味か。
# 007:夫より=それより 
# 008:其手たで 原文のまま。手だて?
# 008:[A]にして 缺にして(不足して)かとも思うが字形が合わない。 これは解決。疎だった。
# 008:[得利]をえんや 儲けを得るという意味だが、特利、得利、徳利など、どれも字形が合わない。
# 009:しづめはく事 「鎮め掃く」か?「はく」はお蚕の「掃き立て」から来た言葉と考えられる。この書では「育てる」くらいの意味。
# 009:[常][B] [B]が読めないので[常]も確定しない。
# 009:常躰 普通であること。普通の人のこと。
# 010:五常の道 儒教で人が守るべき五つの道のことを五常というらしい。
# 010:専[貴]道一ツ [貴]は[其]にも見えるので判断に迷うところ。
# 常盤潭北の『百姓分量記』に「五常といふ名を聞ては夥しく思はれ、聖人,賢人のみ務、常体の者は及ぬ事のやうに心得らる、方も多らんが、左様にてはなし」がある。
# 011:[戻]り 歌舞伎で悪役が善心に帰って本心を打ち明ける演出を「戻り」というらしい。
# 012:[個度残]す 不明。
# 013:違ふ 養蚕に失敗すること。成功はあたり。
# 015:[穴][質] 不明。二文字に見えるが、一文字ならば寳(宝)かもしれない。

□二丁表:016:(挿し絵)絹笠大明神
□二丁表:
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□二丁表:
# 向かって右の膝をたて、同左手に枝(桑)を持つのは、全国にある姥神様の像に似ている。

□二丁裏:017:     目録
□二丁裏:018:一 上ゝの種吉凶を知る事 二丁
□二丁裏:019:一 種目方 并あたへ桑多少の事 三丁
□二丁裏:020:一 中種かえ方の事 同丁
□二丁裏:021:一 上種かえ方の事 同丁
□二丁裏:022:一 極上ゝ種かえ方の事 四丁
□二丁裏:023:一 下種かえ方の事 同丁
□三丁表:024:一 蚕はき立の事 同丁
□三丁表:025:一 蚕はき立次第の事 五丁
□三丁表:026:一 蚕はき立二度休の事 六丁
□三丁表:027:一 同二度休より吉凶を知る事 同丁
□三丁表:028:一 蚕六七分の当りにて吉凶を知る事 七丁
□三丁表:029:一 蚕ちゞれ次第の事 同丁
□三丁表:030:一 蚕死ぐもりの事 同丁
□三丁裏:031:一 同四度の休の事 八丁
□三丁裏:032:一 庭休より吉凶を知る事 同丁
□三丁裏:033:一 四度の休より上ゝ蚕桑付の事 同丁
□三丁裏:034:一 蚕七八分あたりの事 九丁
□三丁裏:035:一 蚕十分あたりの事 同丁
□三丁裏:036:一 蚕間どり置場傳授の事 十丁
□三丁裏:037:一 居宅方角の図の事 同丁
□四丁表:038:一 傳授ゆるしの事 十一丁
□四丁表:039:一 種かえ取かこへやうの事 同丁
□四丁表:040:一 蚕はき立時候の事 十二丁
□四丁表:041:一 種はきおろしの事 同丁
□四丁表:042:一 弐番休の事 十三丁
□四丁表:043:一 桑くれやう 并桑付かごわりの事 同丁
□四丁表:044:一 休に桑とめの事 同丁
□四丁裏:045:一 蚕をき中桑入れる事 同丁
□四丁裏:046:一 蚕八九分通りをきこしりを取事 十四丁
□四丁裏:047:一 桑昼夜くれ方 并二ツ休かごわり
□四丁裏:048:  桑とめ桑付の事 同丁
□四丁裏:049:一 桑付 并舟休かごわりの事 同丁
□四丁裏:050:一 舟休庭やすみかごわりの事 十五丁
□四丁裏:051:一 庭休桑付次第の事 十六丁
□四丁裏:052:一 庭をきより桑くれやう 并あがりかごはりの事 十七丁
# 018:種 たね。お蚕の卵のこと。蚕種で「こだね」と読む。
# 019:并=並びに
# 020ほか:かえ方=飼ひ方 本文では「かひ方」と表記される。
# 「飛(ひ)」のくずし字に読めなくもないが「え」を残すことにした。
# 026:二度の休 お蚕の二眠のこと。弐番休、四度の休などの用語も同様。
# 眠(休み)は脱皮前にお蚕が動かなくなること。通常は四度ある。
# 絹笠姫の伝説になぞらえて、一眠を獅子休み、二眠を鷹休み(あるいは竹休み)、三眠を舟休み、四眠を庭休みとも呼ぶ。
# 039:かえ取=飼ひ取 本文では「かひ取」と表記される。
# 039 かこへやう=かこひやう(囲ひやう) 本文では「かこひやう」と表記。
# 043 桑くれ お蚕に桑をやること。桑付けと同義。
# 045:をき=起き 本文では「おき」と表記される。お蚕が眠から目覚めること。
# 046:こしり=蚕尻 お蚕の糞や、食べ残しのこと。
# 050:舟休 お蚕の三眠のこと。参考>#026
# 051:庭休 お蚕の四眠のこと。
# かごはり=籠割り 本文その他では「かごわり」と表記されている。時折このような表記のゆれがある。

# 序文とと目録が終わり、ここでまた一丁から始まる。
□一丁表:053:養蠶重寶記
□一丁表:
□一丁表:
□一丁表:054:一 世にいずれの名人養蚕記をいたしあり
□一丁表:055:  といへども男女童子ともに[至]り文字の
□一丁表:056:  よろしきかたき事にてはわかりかねる
□一丁表:057:  ゆへに文字のつたなきにかゝわらず
□一丁裏:058:  心にかなへるのみ第一に書しるすべく候
□一丁裏:059:  [事]
□一丁裏:060:    信州小縣郡上田在まいた
□一丁裏:061:          南向堂重清
□一丁裏:
□一丁裏:
□一丁裏:
# 053:養蠶の「蠶」は、原典では神かんむりに虫の字。
# 058:書きしるすべく候 決まり文句なので崩れ方がはげしく知らないと絶対に読めない。
# 059:[事] 御中の二文字も似たようなくずし方をするが、こういった文章の最後を御中で締めるものかか迷い、[事]にしてみた。
# 060:まいた 地名。長野県小県郡に明治まであった舞田村のことか。

□二丁表:062:夫國中にいかなる家なりといへともその
□二丁表:063:元をあらため見るに吉日吉方をゑらみ
□二丁表:064:立る家なれは是蚕あたらぬといふ事
□二丁表:065:なし
# 062:夫國中に=それ国中に

□二丁表:066:一 [実]にたとへ日に三度のめしたきそこのふと
□二丁表:067:  いへども水かけんのしさいなり「蚕かひ
□二丁表:068:  そこのふといへどもようき取ちがへのしそ
□二丁裏:069:  んじなりいかなる家にても夫ゝに季
□二丁裏:070:  こうをかんかへ「かひ立るならばちごうと
□二丁裏:071:  いふ事なし
# 062:夫國中に=それ国中に
# 069:夫ゝに=それぞれに
# 069〜070:季こう=季候 四季と七十二候のこと。
# 070:かんかへ=かんがえ(考え)

□二丁裏:072:一 上ゝの種はき度おほしめしある人は種を
□二丁裏:073:  心えて見るべし即心えて見るといふ事は
□二丁裏:074:  蚕は神のごとくなるゆへに第一我か心正直
□二丁裏:075:  にして蚕のあたり上中下是ありといへども
□三丁表:076:  種の直段にかゝはらずいつわりなく只正直に
□三丁表:077:  心にかけ上種をもとむる事是自然の
□三丁表:078:  じゆうあひなり
# 072:種 蚕の卵のこと。
# 072:種はき度=種はきたしと 申度儀などと書けば「もうしたきぎ」と読む。
# 072:おほしめし=おぼしめし 四丁裏:100 にも「おん方お損」と蚕飼に対する敬語が見える。
# 076:直段=値段
# この段、お蚕を神聖なものと見て、蚕種を人の欲で選ぶ後ろめたさをふまえての文章かと思う。

□三丁表:079:一 種壹枚と申は目方十八九匁より廿匁なりまづ
□三丁表:080:  下種のかひ方種壹枚はき「桑十駄也 但し壹駄と申は五尺なわ六把也
□三丁表:081:  是をあたへまゆ八斗程取 但京ます也 蚕母壹人にて
□三丁表:082:  かひ此故手入に是まゆ下品に出来蝶少し
□三丁裏:083:  出種小粒にてしまりゆるく出来るを下種と
□三丁裏:084:  いふなり
# 079:種壹枚 お蚕は紙の上に卵を産ませる。この紙を蚕種紙(さんしゅし)などと言いう。
# 蚕種紙一枚につき、二十四~三十頭ほどのお蚕を産卵させる(何頭分かは時代や地方により違う)。一頭が数百個の卵を産む。
# この段以降、蚕種紙一枚につき、どのくらいの桑と人手が必要かの説明になる。
# 080:はき(はく) 「飼う」「育てる」などの意味で使っている。参考># 002
# ほぼ同じ文章が下種、中種、上種、極上ゝ種と続くが、極上ゝ種だけ「はき」ではなく「に付」を使っている。
# 080:但し壹駄と申は[C][D]… 駄という単位を定義しているが読めなかった。解決
# 080:但し壹駄と申は五尺なわ六把也 駄という単位を定義している。
# 081:但京ます也 直前の斗という谷を定義している。京ます=京桝
# 081:蚕母 ここでは蚕の世話をする者のこと。養蚕は主に女の仕事だった。
# 082:手入に 「手入ふ」にしか見えないが、文脈から「手入れをするに」の意味にとった。
# 083〜:蝶少し出… 自分で育てた繭から出た蛾(蝶)を交尾させ種をとるので、羽化率やその種の品質まで気にしている。

□三丁裏:085:一 中種のかひ方は種壹枚はきくは十五駄をあたへ
□三丁裏:086:  蚕母弐人にて「かうまゆ壹石三斗程取蝶の
□三丁裏:087:  せいぶんますゆへに種よろし是を中種といふ也
# 085:くは=桑
# 086〜087:蝶のせいぶん 成分ではなく精分であろう。十八丁裏:260〜 「せいぶんつよくしてさかんなり」
# 前段の下種とくらべて餌の量が増えている。お蚕一頭が食べる餌の量に個体差はあまりないような気がするから、卵の数が多いと考えられる。
# 一頭が沢山の卵を産むのが良い蚕ということだろうか。卵の数が増えれば必然繭の収穫も増える。

□三丁裏:088:一 上種と申は種壹枚はきくは廿駄をあたへ蚕
□三丁裏:089:  母三人にて「かうまゆ壹石六斗程[有]蝶のはたらき
□四丁表:090:  種しまりよきを上種と申
# 089:[有] [多]にも見える。極上ゝ種を見ると[有]をくずした字が使われている。

□四丁表:091:一 極上ゝ種と申は元種をあらためまゆ弐石余
□四丁表:092:  有此かひ方壹枚に付桑三拾駄をあたへ蚕母
□四丁表:093:  五人掛りまゆのつやよろしく手ざはりやはら
□四丁表:094:  かにして弐石の内よりまゆ壹ツつゝ弐斗をゑり出し
□四丁表:095:  是より出る蝶のはたらきゆへに種粒大きく「しまり
□四丁表:096:  かたく是を極上ゝ種といふ故に直段高値を
□四丁裏:097:  いとはず極さい上の種をはく事かん要なり

□四丁裏:098:一 下ゝ種は蚕かひにくし乍去下品といふとも
□四丁裏:099:  一切ふ作といふことなしまゆのつくりあしく
□四丁裏:100:  蚕飼のおん方御そんなり「此種の級は下直
□四丁裏:101:  に仕入方いたし所ゝの下まゆにて種取此故に
□四丁裏:102:  下まゆにつくるなり
# 098:乍去=さりながら 不忍(しのばず)のように逆さに読む。
# 100:蚕飼のおん方御そんなり 二丁裏:072 でも蚕飼に敬語を使っている。

□四丁裏:103:一 蚕はき立のせつ置場「手違にてほこりに
□五丁表:104:  なる事此「置場と申はたばこのけむりさき
□五丁表:105:  あるひは「しもふりさむき風にあたり死して
□五丁表:106:  ほこりとなるなり
# 103:置場 状況から考えて蚕を飼う部屋のことだろうか。
# 104:たばこのけむり"さ"き 七丁表:133 に「けむりさき、風さき」とある。
# 歴史春秋出版『蚕と絹の民俗』に見える「オシャリ」と同じ病気か。
# 中国で白僵蚕と呼び薬にするのがこの病気の蚕ではないか。

□五丁表:107:一 蚕はき立たくさんにあり「[湲ゝ]あかく「すき蚕
□五丁表:108:  になる事此「すき蚕と申は四度のやすみ
□五丁表:109:  あり「やすみより三日四日めにとふろうのことし
□五丁表:110:  かならすまゆつくる事なし此蚕は四方を
□五丁裏:111:  たて気こもりようきはらはずして并に
□五丁裏:112:  火ばちなど入あたゝかなるゆへに皆すき
□五丁裏:113:  蚕となるすき蚕にならぬやうに[はそらへ]
□五丁裏:114:  気をはらひちう夜の桑を入蚕母心を
□五丁裏:115:  とめ「ようきをかんかひ取事せん一なり
□五丁裏:
□五丁裏:
# 107:はき立 # 002 を参照のこと。
# 107:[湲ゝ] だと思うが、別の文字の可能性も。
# 湲ゝならば流れるという意味だろうか。読みは「えんえん」か。
# 107:すき蚕 すきご。普通は繭を作る直前に蚕が透明になることを言う。
# ここではすき蚕になっても繭を作らない異常のこと。
# 108:四度のやすみ 参考># 026
# 109:とふろう 不明。「透ける」か「溶ける」に関する言葉のような気がするが。
# 113:[はそらへ] 不明。「あつらへ」または「しつらへ」?
# 114:ちう夜=昼夜
# この段では四眠後の病気について解説されている。
# 歴史春秋出版『蚕と絹の民俗』に見える「頭すき」「空頭病」と同じではないか。

□六丁表:116:一 はき立より二度のやすみまで蚕かしら
□六丁表:117:  大きく「しりほそく水出す事あり此水
□六丁表:118:  を出す事は毛蚕のうちよりさむきにあたり
□六丁表:119:  尤此あたりはひるはようにして火なり夜
□六丁表:120:  九ツまではあたゝかにして火の気をたもつ
□六丁表:121:  夜九ツよりは陰にして水なり[かるこのゆへに]
□六丁表:122:  八ツすぎより夜あけ「朝五ツまてはことことく
□六丁裏:123:  さむし二ツやすみまではおりおりしもふり
□六丁裏:124:  こふる事ありよくよく心を付へし
□六丁裏:
# 119:ひるはようにして火なり 直後に「夜九ツより陰にして水なり」があるので「昼は陽にして火なり」か。
# 121:[かるこのゆへに] 不明。解読に自信がなく、意味も通じない。
# 124:こふる 粉ふる? 直前に「しもふり(霜降り)」があるので雪のことだろうか。

□六丁裏:125:一 はき立より半分よきまゆをつくり「半分
□六丁裏:126:  すき蚕となるは南の方ようき「つよく
□六丁裏:127:  してあたゝかなるゆへなり是を止る
□六丁裏:128:  事は「ようきはげしき時戸を引
□七丁表:129:  北をとりはらひ蚕にあたらぬやうに
□七丁表:130:  自然と北風を入る時はすき蚕になら
□七丁表:131:  ぬなり
# 126:すき蚕については 五丁表:107〜 を参照のこと。

□七丁表:132:一 蚕六七分のあたりふしたかくなる事有
□七丁表:133:  けむりさき風さきまたは「しちやうの[へか]
□七丁表:134:  にてかひそだてたる蚕「ふしたかく
□七丁表:135:  なる
# 132:ふしたかくなる 『蚕と絹の民俗』に「膿蚕」「節蚕」がある。
# 133:けむりさき風さき 五丁表:104「たばこのけむりさき」がある。
# 133:しちやう 紙帳だろうか。明治時代の文献に『紙帳養蚕法』がある。閲覧>http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/840872
# 133:へか 縁(へり)のことだろうか?

□七丁裏:136:一 蚕にちぢれあり「まゆつくり七八分に
□七丁裏:137:  あたる事此あたりは四度のやすみ
□七丁裏:138:  きぬをぬくせつ風にあたりたるゆえ
□七丁裏:139:  なり
# 136 ちぢれあり 『蚕と絹の民俗』に「起きちぢみ」がある。
# 138:きぬをぬく=衣を脱ぐ 脱皮のこと。八丁表:147 等に「きぬをぬぐせつ」がある。

□七丁裏:140:一 蚕あたり「まゆつくりしにぐもりある
□七丁裏:141:  事此しにぐもりはまゆ中にてくさり
□七丁裏:142:  是は毛蚕の内夜あげがたさむきにあたり
□八丁表:143:  たるゆへなり
# 142:毛蚕 けご。孵化したばかりのお蚕には毛が生えているので毛蚕という。
# ただし毛蚕のうちの気温が繭作りに影響するか疑問。
# 142:夜あげがた 原文のまま。夜明け方だろうか。
# あるいは夜をあげるという言葉があるのだろうか。

□八丁表:144:一 四度のやすみまでは蚕上ゝにて三分
□八丁表:145:  壹になる違ひあり此三分壹になる
□八丁表:146:  ちかひと申は四度のやすみきぬを
□八丁表:147:  ぬぐせつ北風またはあらき風にあたり
□八丁表:148:  蚕よろしきといへとも三分壹へる
□八丁表:149:  事あり
# 144:四度のやすみ お蚕の四眠のこと。庭休みと同義。参考># 026

□八丁裏:150:一 庭やすみ「のちに蚕ふとくして水
□八丁裏:151:  いろにすく事此水色と申は蚕がひ
□八丁裏:152:  のせつさむきにあたり「のちに水色に
□八丁裏:153:  すくなりのこりしまゆは中作なり
□八丁裏:
# 150:庭やすみ お蚕の四眠のこと。四度の休みと同義。参考># 026
# 150〜:水いろにすく 五丁表:107 にある「すき蚕」と似た症状。

□八丁裏:154:一 四度のやすみまで上ゝ蚕「くはつけの
□八丁裏:155:  しそんじにて五分のあたりなり此
□九丁表:156:  くはづけのしそんじと申は蚕「そろひ
□九丁表:157:  たく「くはくれる事手をくれになり蚕
□九丁表:158:  母の心え違ひなり
# 154:くはつけ=桑付け お蚕に桑をやること。桑くれと同義。餌付け。
# 156〜167:蚕そろひたく 蚕の成長を揃えたいと思って、の意。
# 157:手をくれ 原文のまま。=手遅れ。
# お蚕の成長にばらつきがある時はほどんどの蚕が脱皮を済ませるまで桑付けを止める。桑くれ再開が遅れると収穫が半分に減ると言っている。

□九丁表:159:一 蚕はじめすこしにてのちに上ゝのまゆ
□九丁表:160:  作り七八分にあたるなり此あたりと申は
□九丁表:161:  蚕母蚕をこのみそばをはなれさる
□九丁表:162:  ゆへにきこうのさむきあつきをわきまへる
□九丁裏:163:  ゆへに自然のあたりなり
□九丁裏:
# 159:はじめすこしにて… 飼育開始からしばらくお蚕の発育が悪いが後に良くなることを言っている。
# 蚕は一頭が一個の繭を作るので「はじめ少し」というのが頭数なら繭が増えることはない。
# 162:きこう=季候 二丁裏:069 などにも見える。

□九丁裏:164:一 蚕十分のあたり「まゆつくりにいたり
□九丁裏:165:  ちかひの事此ちかひと申は「まゆつくり
□九丁裏:166:  のせつ打つゝきあめふりはなはだすす
□九丁裏:167:  しき事あり上ゝの蚕といへとも五六分
□九丁裏:168:  のあたりとなるなり
# 165:ちかひ=違ひ
# 166〜167:すすしき=すずしき(涼しき)

□十丁表:169:【蚕間取置場所傳授の事】
□十丁表:
□十丁表:
□十丁表:170:神蚕はじまりよりおはり迄手をとりておしゆるが
□十丁表:171:如くくはしくこれありといへども第一伝授の儀は
□十丁表:172:此間どりに有尤家の「方がくあらましに書印と
□十丁表:173:いへども戸間口のあけ所または其家ゝにくで
□十丁裏:174:んあり世の中ひろめのために此度改はん
□十丁裏:175:いたし差出し申候
# 170:「はじまりより」の「より」は字が面白い。知らないと読めない。
# 174〜175:くでん=口伝
# 174:改はん=改板(かいばん) 十九丁表:267 に「天保十一年庚子正月改板」とある。
# 175:「申候」の「候」部分も知らないと読めない。

□十丁裏:176:(挿し絵)居宅方角の圖
□十丁裏:
□十丁裏:
□十丁裏:
□十丁裏:
十一丁表:177:(挿し絵)女蝶・男蝶
十一丁表:
十一丁表:
十一丁表:
十一丁表:
十一丁表:
十一丁表:
# 目録の「傳授ゆるしの事 十一丁」がこのページにあたるが、この本で勉強した者に免許なり皆伝なりを書き入れるのだろうか。
# 早稲田大学の古典籍データベース版ではこの欄に絹笠大明神の朱印がある。

十一丁裏:178:【種かひとりかこひやうの事】
十一丁裏::
十一丁裏:179:一 ものゝうるをひなき箱へ入置べし 但し寒水へ
十一丁裏:180:  入る時は種壹枚の目方を改め午の日「きれいなる
十一丁裏:181:  桶に水をくみ入へし夕方出しひかげにて
十一丁裏:182:  能くしまし右種の目方より少しかろく
十一丁裏:183:  なる心もちにちにほしあげしまふべし
# 179:もののうるおひなき=物の潤ひなき 蚕種が乾燥する時は、の意味。
# 179:箱へ入置べし:蚕種紙(# 079)を入れ、冬中保存する箱がある。蚕種箱。
# 180:午の日(うまのひ) 養蚕の起源を説明する中国の伝説に、馬と交わった乙女が死んでお蚕になる「馬頭娘」がある。
# 日本でも「おしらさま」が馬頭娘と同様の伝説である。
# 181:組み入れへし=汲み入れべし

十二丁表:184:一 蚕はき立のせつは國ゝ寒暖をかんかへ
十二丁表:185:  桑のめはえにしたがひ箱より出ししら紙
十二丁表:186:  を三尺四方くらへにつぎ是にて「つゝみ其上を
十二丁表:187:  きれいなるふろしきにて「つゝみ家内のあた
十二丁表:188:  たかなる所の目通りにかけ置へし
十二丁表:189:  夫より種むしの出を心つくへし
十二丁表:190:  よく日はきたてんとおもはゝ前日紙六枚
十二丁裏:191:  程つぎ桑の實づ 此みづといふは国ゝところ違事あり桑の實の事也
十二丁裏:192:  弐服程あつめ 但し實づなきときは桑を
十二丁裏:193:  取置べし
# 184:かんかへ=かんがへ(考へ)
# 186:三尺四方くらへに 「三尺四方くらゐに」か?
# 188:目通り 目の高さ。壁か梁にでもぶら下げておけということか。
# 188:置へし=置べし
# 189:夫より=それより
# 189:種むし 毛蚕(けご)のこと。孵化したばかりの小さなお蚕のこと。蟻(あり)または蟻蚕(ぎさん)とも。
# 191:みづ 直前にある「實づ」の説明だが、「えづ」とも「てづ」とも読める。
# 長野県の方言で現在でも「クワミズ」「メゾ」「メド」などと言うらしい。群馬ではドドメというが、まさに国により違いあり。
# 毛蚕に葉ではなく実をとって与えてたというのは面白い話。現在では萌え出したばかりのやわらかい葉を刻んで与える。

十二丁裏:194:【種一枚はきおろしの事】
十二丁裏:195:(挿し絵)壹番はきおろし
十二丁裏:196:三尺四方にひろけて
十二丁裏:197:よろし
十三丁表:198:弐番同即
十三丁表:

# 目録ではこの位置に『弐番休の事』があるが、対応する内容がない。>四丁表:042

十三丁表:199:一 桑くれやうひる六度夜二度
十三丁表:200:一 よく日よりしき紙を「取かへ是を日蚕尻といふ
十三丁表:201:一 四日め頃まては右六枚の紙にひろげてよし
十三丁表:202:一 はき立てより七日め頃桑「くわづしてやすみに
十三丁表:203:  おもむくじせつ三尺四方十弐枚にひろげ
十三丁裏:204:  見るにやすみいるなり
# 200:しき紙=敷き紙 お蚕は目の粗いザルの上に紙を敷き、その上で育てる。
# 200:日蚕尻 蚕尻(こしり)は糞のこと。日蚕尻という言葉は聞いた事がない。
# 初日の蚕尻を取ることに何か意味があったのだろうか。
# 202〜203:くわづしてやすみにおもむく=食わづして休みに赴く 脱皮前に桑を食べなくなる様子を説明している。
# この段は掃き立てから一眠までの飼育法を説明している。
# どのくらい餌をやればいいかは蚕飼い初心者には大問題だが、回数じゃなく量なんだよねと素にもどって言いたくなる部分。
# 紙を増やしてひろげてよいと書いてあるのは、お蚕は最初小さく、飼うスペースも狭くていいが、成長とともにひろげなさいということ。
# 効率よく桑を食べさせるためにちょうどよい広さを説明していると思われる。

十三丁裏:205:(挿し絵)一度の休
十三丁裏:
十三丁裏:

十三丁裏:206:一 やすみにくはとめる事きぬをぬぐ
十三丁裏:207:  蚕見へるならば其せつくは「くれ置てよし
# 206〜:やすみにくはとめる事=休みに桑止める事 眠に入ったら桑くれをやめ、脱皮が済んだら桑をやってよいということ。
# 蚕が脱皮前に眠る(休む)のは、糸を吐いて足を固定するためだが、その間に餌をやると歩き回ってなかなか脱皮しない。
# また、脱皮直前に足がはずれるとうまく脱皮できずに死ぬことがあるため、眠の間は桑を止める。

十三丁裏:208:一 蚕三分壹おきるじせつに中桑をくれてよし
# 208:おきる=起きる 眠が終わること。脱皮が済むことと同義。
# 308:中葉 枝の中頃につく葉のことか?

十四丁表:209:一 蚕八九分どふりおきるとならばやわら
十四丁表:210:  かなる桑にてくれてよし夫より桑
十四丁表:211:  くれ蚕尻をとりやすみたる蚕にても
十四丁表:212:  ひろいこむへし
# 209:どふり=どほり(通り)
# 209:おきる”と”ならば 原文のまま。「と」は衍字か。
# 211:やすみたる蚕にても… まだ脱皮前の眠っている蚕もひろって新しい餌に移せということ。
# この段は眠明け後の桑くれのタイミングを説明している。
# 八丁裏:154 に桑くれが遅れて五分のあたりになる手違いが説明されている。

十四丁表:213:一 桑くれやうはひる四度夜弐度くれてよし
十四丁表:214:一 右籠わりは二ツ休廿四枚にひろけてよし
十四丁表:215:一 やすみまへに桑とめ桑づけ前のことし
# 214:籠わり 籠はお蚕を飼うための目の粗いザルのこと。成長にあわせて籠を増やし、お蚕を分配すること。
# この段は一眠明けから二眠までの飼育法を説明している。

十四丁裏:216:【二ツやすみ篭わりの事】
十四丁裏:217:(挿し絵)弐度の休
十四丁裏:
十四丁裏:

十四丁裏:218:一 桑づけ三分壹おき中桑くれ八九分おきる
十四丁裏:219:  しせつやわらかなる桑にて「くわ付べし
十四丁裏:220:一 二ツおきよりふなやすみ迄ひる四度
十五丁表:221:  夜壹度くわくれてよし
十五丁表:222:一 蚕尻まへまへのとふり日ゝ蚕尻取へし
十五丁表:223:一 是よりふなやすみにかゝり桑とめ前の通り
十五丁表:224:一 あたゝかなるゆへに休みの内たりとも
十五丁表:225:  桑たやすへからず
十五丁表:226:一 ふなやすみかご四拾八枚にひろげて
十五丁表:227:  よし
# 219:しせつ=じせつ(時節)
# 219:くわ付 原文のまま。くわ=くは(桑)。以下同様。
# 220:二ツおき 二眠から目覚めること。二眠明け。
# 220:ふなやすみ=舟休 三眠のこと。># 026
# この段、二眠明けから三眠までの飼育法。
# 眠の間も餌をたやすなという意図がよくわからない。

十五丁裏:228:(挿し絵)三度の休
十五丁裏:
十五丁裏:
十五丁裏:
十五丁裏:229:一 ふなやすみにても中桑をくれ八九分
十五丁裏:230:  おきるじせつやわらかなる桑にて「くわ付べし
十五丁裏:231:一 蚕尻前ゝの通り毎日蚕尻を取ひろげてよし
十六丁表:232:一 舟やすみより庭やすみ迄昼三度
十六丁表:233:  夜壹度桑くれへし庭やすみの
十六丁表:234:  せつは大せつなりかくべつあたゝか
十六丁表:235:  なるゆへにやすみに桑たやすべからす
十六丁表:
# この段、三眠明けから四眠までの飼育法。ここでも眠の間にも餌をたやすなとある。

十六丁表:236:【庭やすみ籠わりの百枚の圖】
十六丁表:
十六丁裏:237:(挿し絵)四度の休
十六丁裏:
十六丁裏:
十六丁裏:

十六丁裏:238:一 庭やすみ桑つけ大せつなり蚕三分一
十六丁裏:239:  おき中桑をくれ七八分におき「やわらか
十六丁裏:240:  なる桑にてくわ付へし弐度め桑
十七丁表:241:  くれすぐさま蚕尻取へし

十七丁表:242:一 庭やすみ大せつと申は蚕きぬぬぎ
十七丁表:243:  はなはだくろうするゆへにそのせつ
十七丁表:244:  桑付おそなはりだんきをうけ「違ひ
十七丁表:245:  あり[かるか]ゆへにくわづけいそぐべし
# 224:おそなはり=遅なはり 遅くなり、の意。
# 224:だんき=暖気
# 245:[かるか]ゆへに 不明。

十七丁表:246:一 庭おきより桑くれやうあつく三度にてよし
# 246:庭おき 庭休み(四眠)から目覚めること。四眠明け。

十七丁表:247:一 あがり籠わり百五十枚にすへし
# 247:あがり 仕上げの、最後の、の意。

十七丁裏:248:一 まゆつくりのせつ打つゞきあめふり
十七丁裏:249:  はなはださむき事あり其せつ戸を
十七丁裏:250:  引まどをしめ風をいとひ家内
十七丁裏:251:  にて火をたきあたゝかにしてよくよく
十七丁裏:252:  桑くれてあけるなり
十七丁裏:
十七丁裏:

十八丁表:253:右記書[EFG]多年心かけためし見るに飼方の移事有之既に
十八丁表:254:内は勿論外の桑葉にまで蚕はきかけ置見るに夜は露
十八丁表:255:しもをしのかん為に葉のうらに廻り昼は表に廻る也風
十八丁表:256:雨はけしき時もおなしく衷の袖に付是即季かうを
十八丁表:257:かんごうすへき事也程に四度の休み[此浄]してまゆ作る事
十八丁表:258:うつくしきもの也然といへども諸色諸虫のかたき多くして
十八丁表:259:かえがたし實に夫桑の木の皮肉の間の皮をとり細に
十八丁裏:260:して四日程是をあたへ死しやうを見るにせいぶんつよくして
十八丁裏:261:さかんなり後に桑にてかえとり上ゝのまゆ作る也此二ツ道
十八丁裏:262:を能く心に掛其外種ゝの手立にて秘術を覚る事
十八丁裏:263:多年也是によつて諸國諸人の為に紀む[Hゝ]此
十八丁裏:264:書を心に掛御飼立可被成候その当り少もうたがへ
十八丁裏:265:なし実にあらましき道といへども猶此文にしたがひ
十八丁裏:266:口傳の有へきものなり
# 253:右記書[EFG] 三文字判読できず。二文字で「予て」ではないかと御意見あり。「可申候(もうすべくそうろう)」にも読めなくもない。
# 256:衷の袖 内袖のことだろうか。体のと袖の間に入れて種を(蚕を?)守ったということ。
# 256:季かう 原文のまま。季こう=季候 二丁裏:069〜070 に「季こうをかんかへ」がある。
# 257:かんごうすへき 「勘合すべき」か?
# 258:諸色諸虫 263の「諸國諸人」をもじった言葉遊び。
# 259:かえがたし=かひがたし(飼ひ難し)
# 259:桑の木の皮肉の間の皮 外皮の内側にある靭皮(じんぴ)の部分、甘皮。
# 桑の甘皮を与えて死ぬかどうかを(死しやう)観察したら、かえって盛んに育ったので精分が強いとわかった、ということ。
# 260:せいぶん=精分 精力や気力のもとになる栄養。三丁裏:086〜「蝶のせいぶんますゆえに」がある。
# オシラ祭文に「桑の木の杖の甘皮ぱりんぱりんと噛みそろえて」とある。広く行われた飼育法のようだ。
# 祭文出典:国文学者・三浦佑之氏のサイト>http://homepage1.nifty.com/miuras-tiger/saimon.html
# 261:桑にてかえとり=桑にてかひとり(飼ひ取り)
# 263:紀む=おさむ あるいは「しるさむ」か?
# 263:[Hゝ] 読めなかった。
# 264: 可被成候=なさるべくそうろう 決まり文句なのでくずれ方が激しく、知らないと読めない。
# 264:うたがへなし 原文のまま。=うたがひなし(疑ひなし)
# 265:あらましき そうあるべき、理想的な、の意。

十九丁表:267:天保十一年庚子正月改板
十九丁表:268:信州小縣郡上田在マイタ邑
十九丁表:269:中村彌七郎謹白(印)
十九丁表:
十九丁表:270:信州佐久郡中山道芦田宿峠
十九丁表:271:小松屋壽惠藏謹書
# 267:改板 十丁裏:174〜「改はんいたし差出し申候」とある。
# 改板後に付け加えられたのが十丁の「居宅方角の圖」だけなのか、以降全てなのかは不明。
# 269:謹白 口述したという意味だろうから、原著者は「中村彌七郎」と言う事になる。
# 270〜:小松屋壽惠藏が書き取ったということだろうか。この二行は早稲田大学古典籍DB版にはない。

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