大工と鬼六 |
むかし、あるところに流れのはやい川がありました。なんべん橋をかけても流されてしまい、村人たちはこまりはてて、腕のいい大工にどうにかしてほしいとたのみました。 大工が川のようすを見にくると、流れがはやいだけでなく、ひどく幅があって、こんなところに橋をかけてもすぐにまた流されてしまうだろうと思いました。 途方にくれて川をみていると、川の中から大きな鬼があらわれて、
大工は、いくら鬼だってこの川に落ちない橋などかけられるはずはないと思って、
次の日また川を見にいくと、おどろいたことに橋がもう半分ばかりできあがっており、三日後には鉄砲水がきてもびくともしない立派な橋ができあがっていました。 大工がおどろいて橋を見ていると、川のなかから鬼があらわれて、
大工はすっかりあわてて
大工は家にかえっても落ちつかず、あてもなく山の中をあるきまわっていると、遠くから子供の声がしました。
次の日、大工が川へ行くと、鬼があらわれていいました。
大工はよしきたとばかりに腕ぐみをして考えるふりをしました。
鬼はカラカラと笑って
「なら、鬼のおんの助だろう」
最後に大工は、山できいた名前をいいました。
それをきいて、鬼はびっくりしたような顔をして、ごぼごぼと川にしずんで二度と出てくることはありませんでした。
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