猿の肝 |
海の王さまがおもい病気になりました。えらいお医者さまがよばれ、王さまの病気を診察すると、 「この病気をなおすには、猿の生き肝がいちばんよい薬でございます」 と、いいました。 そこで、家来のクラゲが猿の生き肝をとりにいくことになりました。そのころのクラゲは今とちがって骨があり、魚のようにきびきびと泳ぐことができました。 クラゲは浜で芋をあらっている猿をみつけ、
猿は小おどりして
クラゲは猿をのせて沖のほうまで泳いでいきました。ふいに猿が
クラゲはまじめな魚でしたが、少々まぬけで頭がよわかったので、王さまのために猿の生き肝をとってくるようにいわれたと、正直に話してしまいました。 すると猿は、残念そうにいいました。
肝をもっていない猿をつれてかえってもしかたがありません。クラゲは陸にひきかえし、
猿はクラゲの背中からとびおりると、
クラゲは、ほかに猿がいないかとさがしましたが、みつかりませんでした。しかたなく、手ぶらで海にかえると、こわい顔をした大臣が、
それからクラゲには骨がなくなり、ゆらゆらと水に流されるだけの生き物になったということです。
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