豆と炭と藁
 

 豆と、炭と、藁(わら)は友だちでした。ある日、三人で旅にでかけると、川にいきあたりましたが、橋がないのでわたれません。

 そこで、背のたかい藁が橋になり、炭と豆をわたしてやろうとしましたが、炭と豆は、どちらが先にわたるかでけんかになり、炭は真っ赤におこりはじめました。

 けっきょく炭が先にわたることになりましたが、炭はすっかりあつくなっていたので、藁に火がついてふたりとも川におちてしまいました。それを見ていた豆は、おかしくて大笑いしているうちに、腹の皮がぱつんとやぶけてしまいました。

 今でも豆の腹には黒いあとがありますが、これはやぶけた腹の皮を針と糸でぬいあわせたあとなのです。
 

 
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