ねずみ経 |
あるところに、信心ぶかいおばあさんがいました。 ある日、おばあさんは、お寺の和尚さんに、お経をおしえてほしいとたのみました。 おばあさんは字がよめないので、和尚さんのあとについて、口まねをしようとするのですが、いくらやってもお経がむずかしいのか、夜おそくまでがんばっているのに、ちっともおぼえられません。 和尚さんもすっかりあきれはてて、これでは行灯(あんどん)のあかりももったいない、火を細くしてやるか、と芯をつぼめてしまいました。 あたりがすこし暗くなると、すみのほうから鼠(ねずみ)がでてきました。和尚さんは、こりゃあいいと、
すると、おばあさんも和尚さんの口まねをしました。
鼠がとまると、
それからはもう、鼠の動きにあわせて、
おばあさんは、今夜のお経はかんたんでおぼえやすいと、大よろこびで家にかえっていきました。そして、布団にはいってからも、お経を忘れないようにと、ぶつぶつ唱えていました。 その夜、おばあさんの家には泥棒がしのびこんでいましたが、おばあさんが布団の中で、
すると、おばあさんは、
すると、
次の朝、おばあさんが目をさますと、家のまえに泥棒のふろしきづつみが落ちているのでびっくりしました。なにがおこったかわかりませんが、ありがたいお経のおかげで何もとられずにすんだと、それはらはますます、仏さまを信心するようになりました。
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