猿と蟹
 
 
■猿と蟹(一)
 猿と蟹が一緒に餅をつくことにした。臼も杵も自分で作り、ぺったんぺったんつきあげるまでは仲良く仕事をしていた。

 猿はできあがった餅を独り占めしようとして、臼を崖からころげ落とした。猿は崖をおりて下で待っていたが、餅は途中の木にひっかかってしまった。

 あとからゆっくり降りていった蛙がみつけて大喜び。それを見た猿が崖の下から俺にもよこせと叫ぶので、蟹は熱い餅を猿の顔に投げつけた。

 それからというもの猿の顔は赤くなった。 

■猿と蟹(二)
 猿と蟹は協力して餅をつくが、猿が独り占めしようと木の上に持って行ってしまう。蟹が怒って「西風吹け、西風吹け」というと、突風が吹いてきて木の葉もろとも餅が落ちてくる。

 今度は蟹が独り占めする番になり、猿は必死になって蟹から餅をもらう方法を考える。蟹には毛がないので、自分の毛を少しやって、かわりに餅をくれないかと言うと、蟹はよろこんで餅をわけてやった。

 それからというもの、蟹のはさみには毛が生えるようになった。
 
 

#自分用のメモを見ると、部分的に猿と「蛙」だったり「蟹」になっていたりしてちょっとおかしいので全部「猿と蟹」にしました。ひょっとしたら蛙バージョンもあるのかもしれません。
 

 
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