命のろうそく
 
 
 あるところに、仲のよい兄弟がいた。
 ある日、兄さんが急に具合を悪くしてねこんでしまった。
 弟が神さまに
「早く兄さんが良くなりますように」
と、お祈りしていると、どこからか声がして、
「天から梯子をおろしてやるから登ってこい。兄さんの命の火をさがすのじゃ」
と言う。

 弟が外へ出てみると、雲の間からするすると梯子がおりてくるのが見えた。
 梯子につかまって、どんどん登って行くと、大きな屋敷の中にたどりついた。
 そこには数え切れないほどのろうそくがあって、ひとつひとつに火がゆれていた。
 よく見るとろうそくには、ひとつひとつ、名前が書いてある。
「ははー、これが命の火というやつだな」
 弟はそう思って、兄の名前がついたろうそくをさがした。
 するとどうだろう。
 兄のろうそくは、まだ長くてずっと燃えそうなのに、横だおしになって消えかけていた。
 弟は火が消えないように気をつけながら、そっとろうそくを立てなおした。
 となりには自分の名前のついたろうそくもあったから、兄のといっしょに溶けたろうで根元を固めてたおれないようにしておいた。

 弟が地上にもどってみると、兄はうそのように元気になって、それからは兄弟なかよくいつまでも暮らしたということだ。
 

 
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