竜宮の馬 |
むかし、あるところに魚をとる爺さんがおったと。 浜辺を歩いていると、子供たちが亀をいじめておる。 爺さんは、子供らにお小遣いをやって亀をはなしてやった。 その夜、美しい娘が爺さんをたずねてきて、 「わたしは竜宮の使いでございます。さきほどは亀を助けてくださってありがとうございました。お礼にこの馬をさしあげます」 と、犬っころほどの大きさの小さな馬をくれた。 竜宮のお使いがくれた馬は一日にお椀一杯の餌を食べる。 そして、一日に一個だけ、黄金の粒を産んだ。 おかげで爺さんの暮らしはだんだん楽になったんだと。 隣の爺さんが不思議な馬の話を聞きつけて、三日でいいからと言って馬を連れて行ってしまったんだと。
魚とりの爺さんは、泣きながら馬を裏庭に埋めてやったんだと。
そこへ隣の爺さんがやってきて、三日でいいからといって、臼を持っていってしまった。
魚取りの爺さんは、臼の木っ端をもってかえって囲炉裏の火にくべてみた。
そこへ、また隣の爺さんがやってきて、そんなにいい物ならわしにも分けてくれやといって、木っ端をひとつ持っていってしまったんだと。
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◆こぼれ話◆
前半は「浦島太郎」で後半は「花咲爺」である。まったく別の話が合体しているようにも見えるが、ひょっとすると「海でひろった流木を焚きつけにしたら黄金に変わった」という単純な話に尾ひれをつけた結果、浦島太郎や花咲爺に似てしまったのではないかという気もする。 遠野の昔話に「雁取爺」というのがあるが、この話では良い爺さんに恵みをもたらす犬が「焚きつけにしようと川でひろった木の根っこ」から生まれることになっている。犬の墓から生えてきた木に金や銭が成る。 |
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