栗子姫 |
むかし、あるところに爺さまと婆さまがおった。ある日、婆さまが山へ栗をひろいに行ったが、時期が悪かったのかちっとも落ちていない。あきらめて帰ろうとすると、たった一個だけ、栗がころがっていたんだと。 婆さまが栗をひろってかえり、爺さまと食べようとすると、栗がひとりでに割れて、中から小さな女の子がでてきたんだと。
その話をきいた山姥が、もとはといえば自分の山でひろった栗から産まれた娘なのに、長者の嫁になるとは面白くないと言って、隣の家の娘にばけて、栗子姫の家に遊びに行った。
山姥が栗子姫にばけて家に帰ると、次の日はもう婚礼の日だったから、きれいな着物をきせられて、爺さまの引く馬に乗って、隣村へと山道をかっぽこかっぽこ行くことになったんだと。
とんびは隣村の長者の家に飛んでいって、
こうして栗子姫は助けられて、無事に嫁入りをして、幸せに暮らしたということじゃ。
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瓜子姫の変形というか、ウリがクリになり、天邪鬼が山姥になっただけの話。日本全国に類我があるそうで、東北の方では姫が天邪鬼(または山姥)に殺されてしまうバッドなエンディングが多く、西のほうへゆくと、この話のように姫が救われて幸せになる例が多いという。
どちらにせよ、姫が悪者に木に縛り付けられる、またはそそのかされて木に登らされて落ちるなど、大木と関係した話になっており、諸星大二郎の漫画『妖怪ハンター』では、世界樹伝説との関係を指摘している。 |
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