猫と南瓜 |
ある農家で長くかわれていた鶏(にわとり)が、きゅうにさわがしく鳴きはじめました。あんまりうるさいので、お百姓さんは鶏を山にすててしまいました。 それから数日後、旅のお坊さんがやってきていいました。
その家には、これまた長くかわれた猫がいました。お百姓さんは、あの猫が自分をとって食うなんてことは信じられませんでした。 ところが、しばらくようすを見ていると、猫が竹やぶでおかしなことをしているのを見てしまいました。真っ赤な毒きのこに自分のしっぽをこすりつけているのです。 お百姓さんは、こっそり猫のあとを追いました。猫は家にかえってくると、みそ汁のはいった鍋のなかにしっぽをいれてかきましていました。 お百姓さんは、しかたなく猫をつかまえて、殺してしまいました。そうして猫の死体は畑のすみにうめておきました。 それからしばらくすると、なにもしないのに畑に南瓜(かぼちゃ)がはえてきて、立派な実がたくさんつきました。同じころ、鶏がまたさわがしく鳴くようになりました。 「またなにか悪いことでもおこるんかのう。しかし、おらにはどうやってもコケコッコーとしかきこえんのう」 お百姓さんがこまっていると、いつかのお坊さんがまた通りがかり、
お百姓さんはきみがわるくなり、南瓜はぜんぶつぶして、二度と猫はかわないことにしたそうです。 # 同じ話で猫から生えてきたのが枇杷の木(群馬)などのバリエーションあり。
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