厚東判官 |
むかし、厚東判官という人が家臣をあつめていいました。 「宝くらべをして、いちばん立派な宝をもってきた者にほうびをあたえる」 家臣たちは、その家に伝わる宝をもってきましたが、欲のない家老はとくべつな宝をもっていませんでした。しかたなく、十四人の子供たちをお城につれてきて、
それを見た判官は、
厚東判官には子供がありませんでした。そこで、中山の観音様に願かけをしたところ、二十一日の満願の日に夢まくらに観音さまがあらわれて
その話をとなりでねていた奥方にすると、
それからしばらくすると、奥方は子供をみごもりました。うまれたのはお告げのとおりの女の子。判官のよろこびようはたいへんなもので、娘のためなら命さえおしくないというほどでした。 けれど、気になることもあります。お告げでは、娘が十一歳になったら、観音さまにおかえししなければならないのです。 やがてその日がやってきました。見しらぬ僧侶があらわれて
けれど、判官はどうしても娘を手ばなしたくないとおもって、僧侶をおいかえしてしまいました。 すると間もなく、どこからか槍や刀をもった侍の大軍があつまってきて、判官の城をせめおとしてしまったということです。
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◆こぼれ話◆ 山口県宇部市の広福寺にまつわる昔話。「城山くずれ」という琵琶歌で広まったらしい。 |
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