金の卵
 
 
 むかし、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。
 ふたりはお金持ちではありませんが、とくべつに貧乏でもなく、しあわせにくらしていました。しかし、ふたりには子供がありませんでした。

 今はまだ、ふたりとも元気で畑しごとをしていましたが、そのうち体がうごかなくなったら、せわをしてくれる子供がなくて、どうやってくらしていけばいいだろうと不安におもっていました。

 ある日、おじいさんは、畑で金いろにひかる卵をひろいました。めずらしいものだとおもい、ひろってかえり、家にかざっておいたところ、よく朝になると卵がわれて、中から男の子が出てきました。

 おじいさんとおばさんは
「子のないわしらに、神さまがさずけてくださったんじゃろうて」
といって、男の子をだいじにそだてました。けれど、ふたりとも年をとっていましたから、男の子が一人前になるまえに、自分たちが死んでしまったらと思うと、心配でなりませんでした。

 ある日、男の子はどこからか草鞋(わらじ)をもってきて、おじいさんとおばあさんに一足ずつわたしました。
「これをはいて、土間を三べんふんづけてくれろ」

 男の子にいわれるまま、草鞋をはいて土間を三べんふむと、ふたりはたちまち若がえり、男の子といっしょにしあわせにくらしました。
 

  
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