犬の足
 
 
◆犬の足
 犬といえば、片足をあげてオシッコをするものですね。それは一体なぜなのでしょう。むかしむかし、犬には足が三本しかありませんでした。三本足じゃ歩きにくいので、もう一本増やしてほしいと神様にお願いしました。

 神様といえども、生き物の形を変えるのは大変なことなんです。簡単に「チチンプイプイ、足生えてこい」というわけにはいきません。神様は腕組みをして、うーんと考えて、「そうじゃ、香炉は歩かなくてもいいのに足が四本あるから、一本とって犬にやろう」と言いました。

 それからというもの、香炉は三本足になって、犬は四本足になりました。犬は神様からもらった足を汚さないように、片足をあげてオシッコをするようになりましたとさ。

香炉の足を犬につけて……

◆五徳の由来
 今で言う五徳(ごとく)は、昔は足が四本あって四徳と呼ばれていました。

 ある日、神様が四徳のところへやってきて、「犬が三本足で困っている。お前さんは歩かなくてもいいから、足を一本とって犬にやりたいんだが」と、言いました。

 足を一本取るなんてめちゃくちゃな話ですが、四徳はこころよく神様に足をさしだしました。おかげで犬は今のように四本足になり、四徳は三本足になってしまいましたが、神様は四徳の優しい心に感心して

「これからは、お前の名前に優しさという徳をひとつ足して五徳と呼ぶことにしよう」

と言いました。犬は神様と五徳にもらった足を汚してはいけないと、オシッコをするときに片足をあげるようになりました。
 
 
◆五徳の由来(弘法伝説バージョン)
 この世には「笑」という文字がなかったので、弘法大師は文字を発明しようとして頭をひねっていたら、子供が犬に竹のザルをかぶせて笑っているので「そうだ犬に竹冠で笑うにしよう」と思いました。

 その頃、犬には足が三本しかなかったので、それでは困るだろうと思い五徳から一本取って犬につけてやりました。以来、五徳には足が三本しかなくなったということです。
 

 
◆こぼれ話◆
↓ポッドキャストでしゃべったやつの原稿をコピペ

 火を燃やす場所のことを古い言葉で「くど」といいまして、くどに鍋やヤカンをかける道具を「くどこ」と言いました。くどこを逆さによんで「ごとく」にしたというのが由来のようです。なんで逆さかっていうと、ええと、わたしは茶道を習ったことがないんですが、ひょっとして茶道に使うときの五徳は足を上にして使うんですか?茶道で「くどこ」を逆さにして使ったので「五徳」なんだそうです。なるほどねえ。
 

 
 
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