七夕 投稿者:ちんじゅう投稿日:2001/07/11(Wed) 17:19:49
今年(2001年)の旧七夕は8月25日ですの。

Re: 七夕 投稿者:ちんじゅう - 2001/07/11(Wed) 17:27:18
 群馬の平野部だと、七夕の飾り付けをした笹は、祭りが終わったあと、正式には川に流すらしいです。
 そういえば、中国の伝説に、海をどこまでも行くと、いつの間にか天の川にたどりついて、牽牛(彦星)と言葉を交わしたという話があるので、笹を川に流すのは、天に捧げるってことなのかしらね。

 川に流すほかに、農家だと豊作を祈願して田んぼの片隅に立てるみたい。
 立てた後はどうするのかしら。立てっぱなしってことはないと思うので、何かのタイミングで川に流すか焼くかするんだと思うんだけど。

Re: 七夕 投稿者:ちんじゅう - 2001/07/11(Wed) 17:50:29
 野尻抱影『星と伝説』(偕成社)によれば、織女が織っていたのは雲錦というものだそうです。

 天上に生える扶桑の葉で養った蚕の繭から糸を紡ぎ、紡いだ糸を天の川の水で洗い、その糸で織った布が雲錦で、霞みのように薄い紫色の錦だそうです。
 雲錦に太陽を映せば五色の気がむらむらと立ち上り、塵をかければ自然に散ってしまう(汚れないってこと?)。着物に仕立てて身につければ雨や雪に濡れることがなく、真冬は綿を入れなくとも暖かく、真夏に着れば風がなくても爽やかに涼しいんですって。

 五色の気がむらむら?
 うーん、吉祥のしるしだとは思うけど、炎天下で着るとたいへんそうね。爽やかなむらむら(^^;

Re: 七夕 投稿者:ひろこ - 2001/07/12(Thu) 00:00:16
シルクの特性の拡大版ってところですね〜。
モノフィラメントだから汚れが付きにくい、
タンパク質繊維独特の光沢、
お蚕さんは白、野蚕は緑(金)、
ならば、天上の高貴なお仲間は紫と言うのは、
素直な想像ですね〜。

夏涼しく、冬温かいと言うのもそうだし、
最近は紫外線防止効果でも人気。

織女って、最先端を行ってるのかもですね〜、
年一回逢う超遠距離恋愛というのもそれっぽいし。

で、田圃の笹ですけど、
燃やすとなれば、時期的にも「虫送り」と繋がりません?

Re: 七夕 投稿者:ちんじゅう - 2001/07/12(Thu) 02:28:27
群馬の、珍獣が住んでたあたりだと、
虫送りの祭りはしなかったので、どうもピンとこないんだけど、
http://www.jic-gifu.or.jp/np/newspaper/graph/9807/9807143t.htm
ここの写真とかを見ると、たしかに七夕と見分けつかないわねー。
Re: 七夕 投稿者:ちんじゅう - 2001/07/13(Fri) 09:48:11
昨日は葛飾の図書館へ行って、
織女が牽牛(牛郎)のパンツを洗う話が載ってる本を探してきました。
太平出版社『中国の民話と伝説』沢山晴三郎・訳
1972年発行と書いてあるのでかなり古い本です。

問題のお話は「天の川はどうしてできたか」という漢族の民話で、
天女の羽衣伝説が混ざってる話です。

 
 兄に疎まれている弟(名前は牛郎。牽牛のこと)は、可愛がっていた牛の助けで分家して、家を出ました。

 牛が言うには、今日は 7月7日なので、西王母の 7人の孫娘が地上に洗濯しにくるから、西から数えて 7番目の娘の着物を隠してしまえ、というのです。この、7番目の娘というのが織女でした。

 牛郎が言われたとおりに織女の着物を隠してしまうと、織女は天に帰れなくなり、牛郎のお嫁さんになりました。

 ふたりは 6年のあいだ一緒にくらし、子供がふたりできました。
「子供も大きくなったことだし、そろそろ着物を返してくださいな」
織女にそう言われて、牛郎が着物を返してやると、織女はさっさと天に戻ってしまいます。

 そこへ、昔可愛がっていた牛がやってきて言いました。
「オレを殺して皮をかぶり、ふたりの子供を天秤棒で担ぐのだ。オレの骨を焼いて、その煙に乗って天にのぼってゆけ」
 牛郎は、恩のある牛を殺せないといって、最初はことわりますが、牛がどうしてもと言うので、言われたとおりにしました。

 天に昇ってゆくと、門番の獅子が襲ってきましたが、
「俺は織女の婿どのだ。赤いマントの子供を見ろ!」
と叫ぶとおとなしくなりました。
 やっと天にたどり着いて、西王母の孫娘の前にたどりつくと、みなそっくりなので、どれが織女だかわかりません。そこで、子供たちを放してやると、子供には母親がちゃんとわかるので、織女を見分けることができました。

 ところが、織女の父親(西王母の息子)は、娘婿が気に入りません。力比べにかこつけて殺してしまおうと思いました。
 最初はかくれんぼです。父親が隠れて、牛郎がさがしました。
「父上は南京虫に化けて、どこそこにしがみついているわ」
織女がこっそり教えてくれたので、この勝負は牛郎の勝ちでした。

 次もかくれんぼ。やっぱり父親が隠れて牛郎がさがします。この時も織女がこっそり教えてくれたので牛郎が勝ちました。

 三度目もかくれんぼ(マニアなのか?)。今度は牛郎がかくれて父親がさがします。織女は牛郎を針に変えて、その針で縫い物をしていたので、最後まで牛郎はみつかりませんでした。この勝負も牛郎の勝ち。

 最後に織女の父親は「かけっこをしよう」と言いはじめました。牛郎が先に走りだして、父親があとを追いかけるのです。かけっこと言うより鬼ごっこかもしれません。
 織女は言いました。
「父上は本当に足がはやいのよ。普通に勝負したら絶対負けてしまうわ。蔵に行って、高梁(コーリャン)を 1斤と、赤い塗り箸をたくさんとっていらっしゃい。追いつかれそうになったら投げるのよ。
 それから、この簪(かんざし)をあげるから、わたしが『掻いて』と叫んだら、自分の前の空気を簪で掻きなさい。前を掻くのよ。後ろを掻いてはだめよ」

 さて、鬼ごっこのはじまりです。牛郎が先に走り始めましたが、父親はあっと言う間に追いついてきます。そこで、高梁と箸を後ろに投げました。
 すると、父親は箸をとって高梁を拾い始めたので、少し引き離すことができました。けれど、父親は本当に足がはやくて、またすぐに追いつかれます。何度も同じことを繰り返しましたが、とうとう高梁が尽きました。

 その時、織女が叫びました。
「あなた、早く掻いて! 早く掻くのよ!!」
それを聞いて、牛郎は簪で空気を掻きました。
 ところが、あんまり慌てていたので、自分の前ではなく、後ろを掻いてしまいました。
 簪で掻いたところには大きな川が現れました。織女は川の向こう側にいます。川に隔てられたふたりは、しばらく泣き暮らしていましたが、織女はやがてあきらめて引き上げてゆきました。牛郎は川岸に住み着いて、ひとり寂しく暮らしました。この時できたのが天の川です。

 毎年 7月7日になると、織女の母親がいろいろな鳥の頭の羽根をとって、天の川に橋をかけます。牛郎と織女はこの時だけ会うことができます。

 織女は牛郎に会うと、1年 360日、牛郎が毎日使った 360の鍋と、360のお椀をきれいに洗い、それから牛郎の汚れた着物を洗ってやって、7月16日には名残をおしみながら、また橋を渡って帰っていくのです。

太字になってるところは原文のままなのです。
やっぱり織女は牽牛のパンツを洗うために天の川を渡るみたいよ。
 
Re: 七夕 投稿者:きむら いずみ - 2001/07/14(Sat) 10:18:38
ふんどしじゃないのかな。
Re: 七夕 投稿者:ちんじゅう - 2001/07/14(Sat) 10:31:39
そ、それを言ったらノーパンだったりしたらどうしよう。

何千年もおなじことやってるわけだしぃ、
牽牛もパンツくらいはいてるかもよ??

Re: 七夕 投稿者:カオル - 2001/07/16(Mon) 12:42:54
七夕ですね。また「中国のバレンタインデー」と言います。
毎年の七夕は必ず雨が降ってます。お母さんは『これは織女と牛郎の涙です』と言います。
Re: 七夕 投稿者:ちんじゅう - 2001/07/17(Tue) 09:44:02
日本でも七夕の雨を「織姫(織女)と彦星(牛郎)の涙雨」って言いますよ。
台湾でも同じように言うんですねー!

天稚彦と牽牛 投稿者:ちんじゅう投稿日:2001/07/24(Tue) 17:38:04

日本の七夕伝説
Re: 天稚彦と牽牛 投稿者:ちんじゅう - 2001/07/24(Tue) 18:10:46
『御伽草子』という、日本の古典文学に、
中国の七夕伝説と似てるけどちょっと違う話があります。
 ある長者の家には三人の娘がいました。ある日、長者のところに大蛇が現れて、娘のうち誰かひとりを嫁にくれないと親子ともども皆殺しにすると言って脅しました。

 困った長者は、娘たちに事情を説明しますが、次女は蛇の嫁なんかいやだといいました。末娘だけは承知してくれたので、湖の岸に新居を建てて、大蛇を婿として迎えることにしました。

 娘が待っていると、稲妻とともに大蛇が現れて、娘に刀を渡します。この刀で大蛇の頭を切れというのです。
 娘が言われた通りにすると、大蛇は立派な若者になり「わたしは海竜王の息子、天稚彦である」と名乗りました。

 娘と天稚彦は、しばらくの間甘い新婚生活を送りますが、夫が天上界に用事があるといって、家を空けることになりました。
 出かける前に、天稚彦はこう言い残しました。
「二十一日たってもわたしが戻って来なかったら、一夜杓(いちやひさご)に乗って天へのぼってきなさい。一夜杓は京の都の西のはずれに住んでいる女が持っているよ」

 娘は夫の帰りを待ちましたが、二十一日たっても帰ってきません。そこで、都の西のはずれへ行ってみると、女たちが一夜杓を育てています。一夜杓というのは、一晩で天までのびる瓜のツルのことです。

 娘は一夜杓に乗って天へのぼってゆきました。途中で宵の明星や帚星、昴などに出会ったので夫の行方をたずねましたが、みな知らないと言いました。
 最後に明けの明星に聞いてみると、もう少し行ったところに天稚彦の家があると教えてくれました。

 こうして娘と天稚彦は再会しましたが、天稚彦には恐ろしい鬼の姿をした父親がいて、息子の嫁を試してやろうと、無理難題をふっかけてきました。

 最初の試験は牛の世話です。天稚彦の父親が飼っている千頭の牛を、娘がたったひとりで放牧し、夜には牛舎にもどさなければなりません。
 娘は天稚彦から着物の袖をもらい、「天稚彦の袖袖」と唱えながら牛の前で振りました。すると、牛たちは娘のいうことを聞いて、自分から牧草地へ行き、夜になるとおとなしく牛舎に帰りました。

 次の試験は、蔵いっぱいの米を隣の蔵に移せというものでした。娘が呪文を唱えながら天稚彦の袖を振ると、どこからか蟻の大群が現れて、米を隣の蔵に移してくれました。

 二度もしてやられ、怒った父親は、蛇と百足が沢山いる牢屋に娘を放り込んでしまいましたが、天稚彦の袖を振ると、蛇も百足もおとなしくなり、娘は怪我ひとつしませんでした。

 さすがの父親もあきらめて、ふたりの結婚を許しましたが、「会うのは一ヶ月に一度だけだぞ」と条件をだしました。ところが娘は勘違いして「一年に一度ですね?」と聞き返したので、父親は澄ました顔で「そうだ、一年に一度だけだぞ」と答えました。

 それから父親は瓜の実を取ってきて、娘と天稚彦の間に投げました。すると、瓜の実から水が噴き出して大きな河ができました。これが今で言う天の川です。

 こうして、娘と天若彦は一年に一度しか会えなくなってしまったのです。

Re: 天稚彦と牽牛 投稿者:ちんじゅう - 2001/07/24(Tue) 18:32:22
で、前から謎だったのですが、
なんで日本では天稚彦が牽牛(牛郎)の役をするのでしょう。

天稚彦って、天照大神の使者なのよね、たしか。
天照大神が、自分の孫を地上の王にしようとして、
「地上には反抗的な奴がいないか見てきてよ」と
天稚彦を派遣するんだけど、天稚彦は地上が気に入ってしまって、
八年たっても戻ってこなかった、というお話でしたっけ?

Re: 天稚彦と牽牛 投稿者:ちんじゅう - 2001/07/25(Wed) 11:52:02
 読み直してみると、天稚彦は「海竜王の息子」と名乗ってるのに、なぜか父親が天上界にいて、しかも鬼だって書いてあるのねー。なんか前半と後半で話が違ってる感じ。

 前半の、蛇の姿をした天稚彦が人間の女のところへ通ってくる話は、三輪大神神社の大物主の話が原作っぽい感じ。
 倭迹迹日襲姫命のところに、夜になると大物主と名乗る神様が通ってくるので、ぜひ明るいところで顔をみせてほしいと頼んだら、その正体は蛇だったというお話。大物主は大国主がスクナヒコナと決別してひとり寂しく国造りをしているときに、海からやってきた神なので、「海竜王の息子」という肩書きもわりかし自然かも。

 後半の、娘が天上界で鬼の舅から無理難題をいいつけられるところは、大国主がスサノオのいる根の国(冥界)へ行って、スサノオの娘スセリヒメをお嫁さんにくれとたのんだときの話にそっくり。この場合は舅のスサノオが冥界の王なので、鬼っていわれるのもわりと自然……なのかな?

Re: 天稚彦と牽牛 投稿者:ちんじゅう - 2001/07/25(Wed) 11:54:40
 ふたつの話をくっつけて作ったのはいいとして、なんで主人公は天稚彦なのかしらね?


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