二十四節気と雑節
あるいはタコヤキ狂いの六月
ガクアジサイ
 言葉シリーズも飽きてきたからそろそろやめようかなあと思ったりする今日この頃。突然ですがタコヤキが食べたいんです。

 前に住んでいた葛飾区のJR金町駅近辺に、白いバンで売りに来るタコヤキ屋があって激ウマでした。先日ひさしぶりに葛飾のほうへ出かけたので、いつもの場所にタコヤキを買いに行ったらタコヤキ屋さんがいませんでした。

 たまたまその日だけ来なかったのかもしれません。でも、そこは駅前の団地の敷地に面した場所で、団地の駐車場が工事されてだいぶ雰囲気が変わっていたから、工事を避けて別の場所で営業するようになってしまったのかもしれないのです。

 まわりはカリッと、中はとろりとした大玉のタコヤキで、マヨネーズとソースをたっぷりかけて、鰹節をどっさりトッピングして…そりゃあもう美味しいんです。

 移動販売のタコヤキ屋さんですから、これといって決まった店名があるわけじゃないし、連絡先もわからない。まだどこかで営業しているのか、お店そのものをやめちゃったのかすらわからない。

 わからないとなると、よけいに食べたくなるんです。ほかに美味しいタコヤキ屋さんもあるでしょうけれど、あのタコヤキが食べたいのです。ああ、食べたい。タコヤキ食べたい。

 どなたか葛飾方面で、下の写真のような車を見ませんでしたか。見たらメールとかしてくださると嬉しいんです。アドレスはトップページから探してください。

この店を探しているんです
 一年くらい前まではJR金町駅北口前の大きな団地の一号棟の裏で夕方から営業してました。
 
5月21日 小満
 太陽が黄径 60 度に達します。万物が少しずつ満ちてくる頃。草木は生い茂り、農作業が忙しくなります。上り調子の季節です。

6月 4日 旧端午
 旧暦の五月五日、つまり旧端午の節句。

6月 6日 芒種
 太陽が黄径 75 度に達します。芒はイネなどの植物のことで、このころにイネの種をまきます。

 夏至・冬至、春分・秋分は理科の教科書でそういう絵をよく見るからピンとくるのですが、黄径 75 度っていうのはいまいちピンとこない。でも適当に決められてるわけじゃないんです。

 古い暦には春分点から 15 度刻みで節気とよばれる目印があります。円の中心角は 360 度ですから、15 で割ると 24 で割り切れます。つまり一年に 24 回の「節気」が来るということです。

春分(黄径 0 度)
 昼と夜の長さが同じになります。今の暦でも春分の日として休日になってますね。

清明(黄径 15 度)
 中国ではこの時期にお墓参りに行くらしいですよ。あと、中国ではこのころに茶摘みをするそうです。今年は 4月5日でした。

穀雨(黄径 30 度)

立夏(黄径 45 度)
 この日から夏です。今年は 5月6日でした。

小満(黄径 60 度)

芒種(黄径 75 度)

…と、二十四節気つづくのです。暦のページはたくさんあるので残りを知りたい人は「二十四節気」で検索してみること。

6月11日 入梅
 太陽が黄径 80 度に達する日のこと。この時期に梅雨入りすることが多いので入梅と呼ばれてるらしいです。15 度刻みの日じゃないので二十四節気には含まれません。こういうのは「雑節」というんですよ。
 または、二十四の各節気を、さらに三分割した「七十二候」という節気にも含まれるんですけど、これも話すと長いので検索して調べたほうがいいですぅ。

6月14日 満月

6月22日 夏至(黄径 90 度)二十四節気の七番目
 北半球では昼がいちばん長くなる日です。丁度はんたいっかわにあたる黄径 270 度の日が冬至で、昼がいちばん短くなります。

6月30日 新月(朔)

7月2日 半夏生 雑節のひとつ
 太陽が黄径 100 度に達する日のこと。
 インフォシーク大辞林 に「半夏の生える頃の意」とあって、「半夏とはドクダミ科の多年草」だと書いてあるけど、これは微妙に違っているような気がいたすのです。

[追記]2004年5月
 ええと、今あらためてインフォシーク大辞林を見ると、半夏生の説明の部分に半夏=ハンゲショウ(Saururus chinensis)と断定する言葉はありません(あっれ〜?)。珍獣様が半夏生の意味(2)を半夏の意味と勘違いして「間違ってる!」と騒いでいるだけなのかもしれません。過去のことなのでシカトしとこうと思ったんだけど、このページってば意外と検索にひっかかるっぽいので、いちおうフォローしときます。

 半夏というのはサトイモ科のカラスビシャクの漢名で、大辞林が言ってるドクダミ科の植物はハンゲショウ(半夏生)というまったく別の植物のこと。ふたつの植物がぱっと見て似ているようなら弁護のしようもあるのですが、残念ながら実物はまるっきり似てません。こればかりは植物に詳しくない人でも見分けられますし、万が一区別がつかないようだと八百屋でほうれん草を買おうとしてセロリを買ってしまいます。

 そもそも、節気の「半夏生」は中国の古い本にも出てくるものなのですが、もし、半夏生という雑節が、植物のハンゲショウに由来しているのだとしたら、中国でもハンゲショウのことを半夏生と呼んでなきゃいけないのですよね。ところが、和名でハンゲショウと呼ばれてるものは、中国で半夏生とは呼ばれていないんじゃないかって気がするのですわよ。

 ハンゲショウの学名は Saururus chinensis で、これを頼りに中国のサイトを検索すると、三白草という名前を当ててるサイトが多いです。半夏生では検索に引っかかりません。

 『本草綱目』という中国の本蔵書(薬草の本だと思いなせえ)を見ても半夏はカラスビシャクだし、ハンゲショウは三白草という名前で出ているんですよ。

 ネット上の情報や『本草綱目』だけが真実のすべてではないので、もっといろんな古典を調べてみないとはっきり言えないけれど、植物のハンゲショウという和名は「半夏生の頃に生える草」という意味で日本で作られたものなんじゃないかなぁと。

 そういうわけで、雑節の半夏生は、半夏(カラスビシャク)
が生える頃(もしくはカラスビシャクを採集する頃)という意味だと思う、たぶん。

 ちなみに、ハンゲショウのほうは、半化粧とも書くのですよ。葉の一部が白くなるので半分化粧をしたみたい、という意味らしいです。

 
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