珍獣日記えくせれんと
立会川ボラ騒動見物記 一日目
 
 
 東京都品川区にある立会川にボラの大群が上ってきたというニュースを珍獣様が耳にしたのは聞いたのは 2003年2月6日のこと。実際には先月 27日頃から数を増し、河口付近から 800メートル上流にかけて、川面を覆いつくすほどの数になった。その数は数十万匹とも言われる(参考>読売新聞)。

 ボラは海で生まれ、春先になると淡水と海水の混ざる汽水域に上ってくる習性がある。立会川でも毎年ボラの姿が見られていたが、これほどの大群は初めてとのこと。昨年 7月から JR がトンネル内の地下水を立会川に流すようになったことで水質が改善したことが原因ではないかと言われている。


 
立会川(第一京浜から海側に向かって撮影)  そんなこんなで2月8日の土曜日に見に来ちゃったのよね、立会川のボラ騒動。

 問題の立会川は京浜急行立会川駅のすぐそばにある小さな川で、海(正確に言うと海につながってる運河)までほんの数百メートルの地点です(>Yahoo 地図情報 海との関係は、地図の縮尺を 1/75000 くらいにするとわかりやすいです)。

 地下水を流すようになって水質が改善したっていうけど、パッと見ると濁ってて小汚い川でした。ただ、悪臭がしたりゴミが浮いたりってことはありませんでした。
 


 
 噂を聞きつけて、たくさんの人が見に来ていました。 見物客がたくさん

 
TBSラジオの車  カメラやマイクを持った取材陣も大勢きてます。左の写真は TBSラジオの車。でっかいアンテナ立てていたので生放送で中継でもしていたのでしょうか。

 
 ところが川には魚がいない。みんな口々に「今日はいないわね」などと残念そうに話してる。 川面は静まりかえっている
 地元のおじさんが言うには「潮が満ちると来るんだ。朝の 9時か 10時ころ、ここらにいーっぱい来るよ」ということだった。珍獣様が立会川にたどり着いたのはお昼過ぎ。ちょうど潮が引いている時間でした。

 
魚群発見

 河口のほうへ歩いて行くとボラの群れがいました。上の写真の黒いのがボラです。


 
ボラの群れ(でも、ちょっぴりだよ)  でも、この程度の群れならどこの川にも普通にいそう。

 
釣りあげられたボラちゃん

 釣り人のバケツの中を覗かせてもらいました。生きてるのが 2匹、その下に死んだのが 6匹ばかり沈んでます。大きさは 20センチくらい。ボラというよりイナと言うべき?

 ボラは出世魚といって、成長の度合いで呼び名が変わります。生まれてすぐの小さいものはハク、少し大きくなったのをオボコ、さらに育ってこのバケツに入ってるような大きさのものはイナ、もうちょっと育つとボラ、そんでもって、とどのつまりがトドってわけだよ。ダジャレじゃなくて、本当の話。この魚が最後にトドという名前になることから、最後に行き着くところを「とどのつまり」というわけ(参考>インフォシーク大辞林「とど(鯔)」

 ちなみにボラの出世は地方によって少し違うそうです(参考>ダイワ精工「ボラ」)。

1. オボコ、イナッコ、スパシリ、イナ、ボラ、トド(関東)

2. ハク、オボコ、スバシリ、イナ、ボラ、トド(関西)

3. イキナゴ、コボラ、イナ、ボラ、オオボラ(高知)

4. コツブラ、ツボ、ミョウゲチ、ボラ(東北)

5. 3cm 以下のものをハク・ゲンプク・キララゴ
   3〜18cm くらいのものをオボコ・イナッコ
   18〜30cm くらいのものをイナ
   30cm を越えるものをボラ
   ボラの中でも特に大きいものをトド・トビ(学研の原色学習ワイド図鑑より)

 ついでに言えば、いなせな若い衆などと言う時に使う「いなせ」は、魚河岸の若者が「鯔背銀杏(いなせいちょう)」という平たいまげを結っていたところから生まれた言葉です(参考>インフォシーク大辞林「いなせ」)。


 
 ボラちゃんにあやかって商売してるお店の看板。 ボラちゃんあやかりセール中

 
ボラちゃんのおかげで大売り出し
鬼太郎ブルゾン 
 表にまわると洋服屋さんでした。一押し商品はゲゲゲの鬼太郎ブルゾン。
 ボラちゃん効果で遠くからも人が来るので商店街はちょっぴり潤ったようです。
 駅前の商店街には昔ながらの小さな店がところせましと並んでます。なかなかいい感じの商店街ですよ。

 この日は川を埋め尽くすほどのボラの大群には会えませんでした。潮の満ち干と関係があるのなら、もっと早い時間にこなきゃだめなのかもしれません。

立会川の駅前商店街

そして翌日…