ええと、今回の旅は青春18きっぷで中央線をまわって名古屋へ行き、そこでともだちと落ち合って犬山城を見てから飛騨高山を回り、名古屋に戻って解散する予定でした。
名古屋に戻るところまでは予定通りだったのですが、春なのに大雪が降り始めたりいろいろして、なんとなく豊田市内の友達のうち(長期出張先の仮住まい)に転がり込み、一週間くらい愛知県内をブラブラしてたという、一言で説明すると「おまえ働けよ」みたいな旅でした(誰か働かせてみる?)。
名鉄で犬山城を見に行った時、車窓から妙なものが見えました。
「何アレ、でっかいオッサンが見えたけど?」
一瞬だったのでよく覚えてないんですが、民家の屋根越しに白っぽくて巨大なオッサンの顔が見えるわけですよ。たぶん大仏なんだとは思うんですけど、素直に表現してオッサン。場所は布袋駅(ほていえき)の近くだったと思います。
デザインがあまりにもオッサンなので「こりゃあきっとバブル大仏の類いに違いない。ここ20年くらいの成り金様が左手で作ったみたいなヤツだろう」とたかをくくり、iPhoneでググってびっくりですよ。
「なんだと?! 昭和29年開眼って、戦後9年しかたってない。うそー!」
大仏さんと大観音は大好物のひとつです。バブル期のもそうでないのも大好きなので、これは見に行くしかありません。
ところが、足場が豊田市なんですよ。同じ愛知県内とはいえ、調べてみると布袋まで遠くて、時間はそれほどでもないんですが電車賃が片道で1110円とかしやがるんです(名鉄で)!
金欠なのでどうしようかちょっと考えたんですが、やっぱり見に行くことにしました。だって次はいつ来られるかわかんないし、ここで引き下がると何年も後悔しそうな気がしてならないんだもん。
▲駅前に布袋さんがいっぱい。地元企業がお金を出して、駅前の通りに布袋さんの石像を作って設置しているようです。
駅前で観光用の地図を見ると、このあたり、けっこう見どころがありそうです。なんの変哲もないお堂だけど面白い伝説があったりして。大仏さんを拝んだあとに時間があったら回ってみようかな。
駅から10分くらい歩いて行くと、民家の屋根越しに白いオッサンの頭が!!
近づいてみると、背中に病院のようなコンクリの建物がくっついてる。そういえば、なぜか接骨院が併設されてるようなことが Wikipedia かなんかに書いてあったような気がします。
すぐ近くまで来てみました。入り口はお寺みたいですが、左側にかかってる表札には大仏治療院と書いてあります。でも、ここでは営業していないらしく、なぜかポルトガル語で「新しい住所はソーダマシン(自動販売機のことか?)の前のアパート○号室」って貼り紙がしてありました。おまえポルトガル語読めるのかって? 読めないけど日本語も小さく(なぜ小さく?)書いてあったので類推できたんだってば。
治療院の建物は、二階のはしっこ(写真でいうと右側にフレームアウトしてるところ)が鐘楼になってて、けっこう立派な梵鐘(ぼんしょう、お寺の鐘)がありました。しかし、今は廃虚みたいになってて、誰もついてないかもしれません。
これが布袋の大仏さんです。江南市観光協会が立てた説明板によると正式名称を御嶽薬師尊というそうです。開祖は布袋で鍼灸医をしていた前田秀信さん(故人)という一般の方だそうです。子供の頃に体が弱く御嶽薬師尊を信仰していました。四十三歳で夢のお告げがあり、人々を病気の苦しみから救うために自費で大仏建立を決意したのが戦後まもない昭和24年、それから5年かけて作られたのが布袋の大仏さんだそうです。高さが18メートルあって、奈良の大仏さんより2メートル高いらしいですよ、ほほー!
ずばり言ってオッサンなどと書きまくってしまいましたが、見馴れてきたら次第に味のあるお顔立ちに見えてきました。古いものなのにそれほど傷んでいないので、定期的に修復されているのかなと思います。
日本各地にある大仏・大観音の中には、持ち主が倒産して廃虚になって、地元から迷惑建造物扱いされてるケースもあります。そういう例を見ると少し悲しくなったりするのですが、布袋の大仏さんはちがう。毎年お祭りもあるそうだし、信仰の対象として、地元の観光名所として、ちゃんと愛されているのです。本当によかった。オッサン顔とか言ってごめんなさい。いつかまた布袋に来られますようにと、ちゃんとお賽銭あげてお祈りしました。
◎関連記事:バブル大仏大観音
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大仏と大観音は、見つけたら「呼ばれた」と解釈して見に行くことにしています。「バブル」ってタイトルつけてますが、バブル期のものじゃないのもあるかもしれません。
わたしは群馬育ちです。群馬には高崎に白衣観音という大観音があります。戦前に作られたもので、県内の小学生は学校の遠足で行くし、群馬県の良い子なら誰でも暗唱できる上毛カルタにも「白衣観音慈悲の御手」と謳われています。大仏や大観音は無条件で愛されてると思ってました。
ところが、世の中には地元のお荷物になってる巨大仏像が沢山あると聞いて、突然見に行きたくなりました。最初に見に行ったのは淡路島の世界平和大観音で、それはテレビで見たのが最初でしたが、それ以外はわりとみんな通りがかりにみつけます。