釜石大観音の巨乳に極楽を見そうになったわたしたちは、次にどうするかという問題に直面しました。これで今回の旅の目的は果たしたので東京に帰らなきゃなりません。もうすぐ夜になるし、今日中に帰り着くのは無理。かといって、貧乏旅行なので飛び込みで旅館やホテルなんかに泊まりにくいです。
仙台あたりまでなら戻れるので、そこで一泊して帰るというのが一案。仙台ならネットカフェが沢山あるので漫画読み放題です。まあ、移動に時間がかかるので着いたら寝そうだけど。仙台から東京だったら翌朝少し観光できるかも。
もうひとつの案としては、山を越えて北上市まで行くとネットカフェがあるので、そこに一泊する。北上なら近いからあまり走らなくて済むし、ゆっくり漫画も読めそう。ただし、翌朝あんまり余裕がないので観光はできないかも。
どうしようかって話になった時、おともだちが言うわけですよ。「自分、修学旅行かなんかで小岩井農場には来たことがある。でもそこ以外まったく記憶にない」って。
はぁ? 修学旅行で岩手県まで来てて、なんで小岩井農場に行って中尊寺と毛越寺に行かないの。ありえない。覚えてないだけでしょ。
しかし、おともだちは「絶対見てない。そんなお寺知らない。藤原三代のミイラ?そんなの見てたら覚えてる」って言うわけです。おいおい、ミイラは見えないから。見えるのは金色堂だけだから。「とにかく見てない。見てないもんは見てない」って。
何それ。どこの学校でどんな旅行会社にやられたんだ。どうも腑に落ちないけれど、せっかくだから近くを通るだけでも通りたいっていうので、山越えして北上市へ行く案で決定です。
▲出発前にとりあえず便所、と思って立ち寄ったコンビニ。ファミリーマート釜石松原二丁目店。
▲コンビニのまわりはこんな感じ。たぶん釜石駅の近くなんだけど、ここいら一体がこの状態で絶賛工事中。ここも津波の被害にあったところなのか……
釜石のコンビニを出たのが17時過ぎ。国道283号、釜石自動車道の無料区間、国道107号などを通って北上市内へ。
途中、昔話のふるさと、カッパや座敷童や、オシラサマを遊ばせたりする人がいる遠野市を通ります。もう観光できる時間じゃないけど、どんなところなのかわくわくドキドキ。
しかし、たどり着いて呆然。
農地の真ん中に国道バーン、両脇に街道ビジネスフルコース。各種ファミレス、巨大なパチンコ屋、でっかいスーパーマーケット。おお……もしかすると最近の座敷童はスーパーマーケットでお総菜をつまみぐいしたり、パチンコ屋で18歳以下はお断りですよとか言われて「オレが何百年座敷童やってるとおもってるんだ(ここは水木しげるの絵で想像していただきたい)」とか言って店員はたいてたりするんだろうか。だってアレが出る家は繁栄するっていうじゃない……?
それでも遠野は空が広くて、街道から離れたら真っ暗になるだろうし、晴れていたら星がきれいなんでしょうね。残念ながら曇ってましたが。
さらに山を越えて北上市内へ。北上は大きな町です。新幹線が止まりますからね。ファミレスも東京と同じものばかり沢山あります。どこかで食事したいのですが土地勘がなくて、地元の素敵でリーズナブルな店がどこにあるのかよくわかりません。車もあるので妥協してファミレスにしようってことになり、せっかくなので東京では見たことのない店に入りました。
その店、和食系のファミレスなんですが、店の外に冷やし中華ののぼりが立ってまして、そこに「仙台名物」とか書いてあるんですよ。もしかして仙台風は東京で食べるのと違うんだろうか?? ということで、おともだちが軽めに豚汁定食、わたしが牛タンシチューセット、さらに冷やし中華を1皿注文して分け合って食べることに。
▲冷やし中華 630円(税別):冷麺みたいにお酢がついてきた。
ほう、これが仙台名物冷やし中華なのかー。はたしてどんな味でありましょう。ドキドキしながら箸をつけます。
ん?なにこれ??
麺をかきわけても汁が見えない。
ひと口食べてみる。味がしない。
ひょっとすると盛り付けに調味料もまざっているのかもしれないので、やや乱暴にかきまぜてから食べる。
やっぱり味がついてない。
あ、ひょっとするとこのお酢っぽいやつが汁?
かけてみた。食べてみた。
お酢だー’`,、’`,、(´▽`) ‘`,、’`,、 ※リンゴ酢っぽい
はじめて来た土地の、はじめての店で、よくわかんないけど仙台名物(ちなみにここは北上市)。
しばらく凍り付いたけれど、店員を呼んで聞いてみた。
「はじめて来たんだけど、これは汁がないのが普通なの?」
「あ……かけわすれです(てへっ)」
店員さん、お皿もってひっこむ。新しいのが出てくるかと思ったら、わたしが箸をつけたのに汁をかけてくれたみたい。ほとんど食べてないので別にいいけどね。
こうしてこの店的に正しい仙台名物冷やし中華にありつきましたが、味はわりと普通でした(笑)
こうして北上の夜はふけて、近くのネットカフェで一泊。
この日読んだのは『め〜てるの気持ち』という異色作。作者は『GANTZ』を書いた人?(読んでないのでよくわからない)。主人公は30歳の引きこもり。母親は学生時代に亡くなって、父親とは扉越しに言葉を交わすだけ。そんなある日、父親が末期ガンだとわかるが、息子には告げられぬまま死んでしまう。そこへ現れるのが父親の再婚相手だという、若くてかわいい女の子……?!
まあ想像どおり主人公はラストでひきこもりをやめるんですが、どういう経過をたどるかはネタバレなのでやめておきます。タイトルの「め〜てる」は、女の子の名前でも愛称でもなく、作中一回も出てきません。ネットの評判を見ると、リアリティがないとか、酷評してる人が多いです。わたしはこれ『銀河鉄道999』のパロディなんだって思った。
地球という小さな星で貧困生活にあえぎながらも、いつか星の海に行くんだと夢見る少年星野鉄郎。しかし、鉄郎の力だけだったら夢は夢のまま終わり、普通に大人になり、普通に死んで行ったはずで、それは自室から出られず心は少年のままで老いていくひきこもりの主人公に重なります。そこへ現れる謎の女メーテル。彼女は鉄郎を銀河鉄道に乗せて宇宙へ旅立たせ、やがて彼が大人への階段をのぼりはじめると、静かに去っていくのでした。
め〜てるの気持ち (全3巻) 引きこもり慎太郎が義母に恋をする メ〜テルノ気持チ (全3巻) … |