「電脳的宇宙 2.0」は、葛飾区のプラネタリウムの新番組で、郷土と天文の博物館で現在上映中です。
これから書くことは、番組を見てないと何書いてるかわかんないと思うけどわかるように説明しようとすると知恵熱出るのでこれ以上聞かないでおねがい(笑)
あと、これを見て「なんだ、難しくてつまらなそうね」って思うのもやめてください。もしかすると心の澄んだ人が見ると「まあ、スーパーコンピューターってすごいのね、宇宙が作れちゃうのよ!」って感じかもしれないです。季節の星座の説明など、プラネタリウムらしい話題もちゃんと挿入されているので大丈夫です。
0. コンピューターの性能(計算速度)に関する説明。
コンピューターの性能がここ50年くらいでどのくらい上がったかの説明だったが、カタツムリが出てきたところで寝そうだった。そういう速さに例えてしまうとむしろ意味がわからなくなるんじゃないだろうか。
すっごく単純な説明をすると、A君は 1桁のたし算を 1分間に 10個解くことができるが、B君は同じ時間内に 30個解けるとか、こういう一定時間内の仕事量が違いがコンピューターの速さなので、光速に近づいたとか言われても「で?」みたいな。
わたしはこの番組を2度見たので、2度目で「現在のスマホは、いつごろのスパコンの性能とほぼ同じ」と付け加えられていたのは分かりやすい比較だと思った(少なくとも大人にとっては)。
でも、このへんは宇宙とあまり関係ないので「最近のコンピューターはすごいです」って一言ですませていいのかもしれない。
1. 原始惑星の衝突
これは面白かった。原始惑星がすれちがいざまに衝突すると回転が生じ、それが惑星の自転になった可能性が高いことが、視覚的に納得できるシミュレーション動画だと思う。
2. 土星の輪のプロペラ構造の謎
これはさっぱり意味がわからなかった。
カッシーニの観測で土星の輪にプロペラ構造っていうのが発見されたっていうとこまではわかった。プロペラがどのように作られるか、氷の粒の挙動をスーパーコンピューターで計算させ、実験してみようっていう動機もわかる。
じゃあ、できあがったシミュレーション動画でプロペラ構造のなりたちが理解できるかっていうと、小衛星に氷の粒がまとわりついてるだけにしか見えず、何をどうしたくて作った絵なのか素人目にはサッパリだった。
見ているわたしたちのほとんどはど素人なので、難しい理屈まで正確に理解できるわけもないし、理解したいわけではないが、すとんと納得いくポイントというのは確実に存在すると思う。ひとつ前の「原始惑星の衝突」のシミュレーションは目で見て納得できる良い動画だった。それと同じようにプロペラ構造も目で見て納得したい。
たとえば、小衛星のない土星の輪を作っておいて、そこへ小衛星をポンと放り込んだ時に、氷の粒がどのように動いてプロペラ構造になるのか見ることができたら、引力がどうこういう理屈がわからないまでも視覚的に納得できそうな気がする(風洞実験みたいな絵を想定)。
が、これはプラネタリウム番組の出来不出来というよりも、もとのシミュレーション動画の出来が悪いのだと思う(素人が見てそう思うというだけであって、学術的な価値を論じているわけではない)。スパコンで氷の粒の動きを何十日だか計算させたというわりに、あの程度の絵しか作れないんだなあというガッカリ感があった。
3. ダークマター
ダークマターという未発見の物質の動きが銀河の群れと関係してると言われても、そもそも未発見なのになぜそんなシミュレートが可能なのかが理解できないし、シミュレートになんの意味があるのかもピンと来なかった。
仕方ないのでウィキペディア等を読んでみた。ダークマターという未知の物質について自分で納得できた説明は「銀河の動きを観察すると、光学的に観察できる物質の重力だけでは説明できない速さで動いている。つまり、目に見えない未知の物質が、このくらいの分量存在してるんじゃないか」というやつだった。
その前程がわかると、スパコンに何をやらせたのか納得がいった。「未知の物質がこのくらいの分量ある」というデータをスパコンに与えて、それがあった場合、なかった場合の宇宙の姿をシミュレートさせ、それが実際の姿と一致するかどうか比べれば、さまざまなことがわかるに違いない。なるほど。
ってことを、10分やそこらで説明するのはきっと難しいだろうな(察し)。
4. 中性子星の合体
KAGRAという重力波を観測するどえらい仕組みがスーパーカミオカンデの近くに作られるって話はわかった。重力波って何さそれ、とは思うけど、カミオカンデが捉えたっていうおニューなトリノちゃんの存在意義だってわたしたちにはよくわかってないわけだから、まあよしとする。
見ていて「ポカーン」なのはその次だ。重力波ってやつは中性子星が合体する時に発生すると考えられてるそうだ。
しかし、中性子星の合体なんて現象そのものが、まだ観測されてないっていうじゃないか。
は?
ここで思考が止まるって強烈に眠くなる。もしくは余計なことを考え始めて番組内容が頭に入らなくなる。
あるかどうかわからないようなものを観測するために、あのどえらい仕組みを作るのか。
いくらかかるんだ。
その金は誰が出すんだ。
税金か?
それとも大金持ちのスポンサーとかいるのか?
ってかKAGRAってやつ、なんで地中に作るん? 地上じゃだめなん?
だいたい、誰も確認したことのない中性子星の合体なんてものが、存在すると思い込めるんだ、そこからわかんないぞ。
ちなみにわたしは同じ番組を2度見たが、2度目は「アインシュタインが存在を予言してる」という説明があったので、「ああ、なるほど、理屈はよくわかんないけどダークマターみたいに計算上そういう現象があるにちがいないって予想がたってるわけね」みたいなことはうすらぼんやり理解した。
アインシュタインの相対性理論も、100%正しいかどうかは確認されていないわけで、確認は大事だ。話が高尚すぎてピンとこないが、エドモンド・ハレーが計算で予言した彗星の再来が確認されるような感動なんだろう、たぶん。
というわけで、KAGRAが学者のロマンなのは帰宅後に噛みしめることで納得できた気がするんだけど……あれ、テーマはKAGRAの存在意義じゃなくて電脳的宇宙だったような気が。結局この話は何をコンピューターでシミュレートしたんだっけ。
わたしやっぱり途中で寝たのかもしれない。
まとめ
どの話題も、面白くなりそうではあるが、面白いと感じるために必要な知識が見る側になさすぎたと思う。
特に「ダークマターハローの形成」と「中性子星の合体」は、主人公や世界観を説明せずいきなりラストシーンを読まされたようなおいてけぼり感があって、どこに興味を持てばいいのか悩んだ。
話題を減らしてでも説明を付け加えたほうが良さそう?
もしくはテーマを「スパコンを利用したシミュレーション天文学の紹介」にしぼって次から次へとシミュレーション動画を紹介しまくるのも手だと思う。その場合は、あまり背伸びせず、見てわかりやすい例を選ぶ必要があるが。
◎葛飾区郷土と天文の博物館
http://www.museum.city.katsushika.lg.jp/index.php
◎プラネタリウム番組「電脳的宇宙 2.0」の紹介ページ
http://www.museum.city.katsushika.lg.jp/planetarium/program/season/20151006/
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