花札の役で赤短ってあるじゃない? 赤い短冊に文字書いてある札で、花札でこれを集めると得点になります。
赤短は、松・梅・桜の札に一枚ずつあって、桜の短冊には みよしの(決してみなしのではない)と書いてある。これは奈良にある桜の名所だからわかります。
じゃあ、松と梅の短冊に書いてある あかよろし(決してあのよろしではない)は何??
というわけで調べたんですが、ざっと調べると次の三つくらいの説があるみたい。
1. 「まったくよろしい」の意味ではないか
2. 松・梅・桜の札についているので、歌舞伎「菅原伝授手習鑑」の登場人物・松王丸、梅王丸、桜丸に由来しているのではないか(「あかよろし」の説明にはなってない)
3. 「しかぞすむ」と書いてあるんじゃないか
っていうのがみつかった。
1の「まったくよろしい」は、梅と桜に対してならわかるけど、松なんだよねえ。松だってよろしいだろうけど、どうもピンとこない。
2は、松・梅・桜の札が「役」になるのはなぜか、という説明。これは納得できるけど、それなら短冊に何が書いてあったっていいはず。「あかよろし」と書く理由はこれじゃわからない。劇中で、登場人物が赤い舌をペロッと出すシーンがあるそうなので、そういうのが関係してる可能性はあるけど。
3の「しかぞすむ」は、都のたつみ鹿ぞすむ、よをうぢやまとひとはいふなりっていう、百人一首のアレですよね。それが「あかよろし」に? いくらなんでもありえないでしょ、と思って並べて書いてみた。
…えっ、確かに似てるかも。いや、似てるよこれ、もっとぐちゃっと書いたら読み間違えそう。
印刷というものは、ようするに版画なので、木版でも銅版でも、沢山刷ったら版がすり減ってしまう。そうなってもまだ売れそうなら新しい版を作らなきゃいけない。今と違ってコピーなどないから、同じものを作ろうとしたら、手で書き写していたはず。そのたびに変形して、次第にもとの意味がわからなくなり、ついに見た目がそっくりの別のフレーズになってしまったんじゃないか、と…
そんな馬鹿なと言いたいところだけど、そういうことは近代にもある。たとえば小学館のマークで、テーブルの下にある潜水艦のハッチみたいなやつが、実は真ん中に足のあるテーブルの土台だって、テレビで紹介されて有名になりましたよね。それを考えたら「しかぞすむ」が「あかよろし」になるくらい不思議でもなんでもないのかも。
いや、でも、ちょっと待て。あかよろしは松と梅でしょ。「鹿ぞすむ」なら紅葉の青短に書いてなきゃおかしい。
結局、よくわからないのでした。でも、しかぞすむ説はちょっと面白い。
カテゴリー: