金町にジグソーパズル専門店がある。20年前にはもうあったし、30年近くさかのぼってもあったと思う、そのくらい古いお店だ(この店>かつしか商店街・カナイトーイ)。お店の人の作品なのか、外から見えるようにパズルの大作が飾られている。昔は時々増えたり入れ替わったりしていた。最近はさすがに動きが少ない、というかほとんどないように見える。
ジグソーパズルは時々やりたくなる。それこそ25年くらい前にはまって、連続して作ってたことがある。星図、名画、手塚キャラなどなど。ただ、ジグソーパズルはピースが増えると完成品も大きくて、作った後が大変だった。付属の接着剤でコーティングして、パネルに入れて…今も持ってはいるけど飾る場所がない。ほぼ粗大ごみ状態だ。それを思うと、やりたくなってもなかなか手が出ない。
久しぶりに思い出し、ふらっとお店に入ってみた。古いお店だし、惰性で続けているだけだろうと想像していたら、店番のおばあちゃんがいきなりハイテンションで語りかけてきた。それはもう、めまぐるしくいろんなことを言われたので目を丸くして聞くばかり。正確には思い出せないけれど「ジグソーパズルは年寄りお断りの趣味」「昔のと違って”時間をかければ作れる”時代は終わった」「そっちのは超達人向け。最近のをやったことがないならこっちから…」「完成しなければただのゴミ!」などと、難易度の高さを強調されたのだが、不思議なことに少しもいやみではない。むしろ「そこまで言われたらやっちゃうよ、見てろ三日で作ってやるから」くらいの気持ちになってきた。売り込みがうますぎる。おそるべき老婆パワーである。
なんでも、最近のは「世界極小シリーズ」とか言って、出来上がりの寸法が 38×26cm なのに 1000ピースなんだとか。これは B4版の紙とほぼ同じサイズだ(半紙を 2枚並べた感じだと思ってください)。これなら狭い机の上でも組み立てられる。飾るのも、保存するのも、場所をとらないので良さそうだなと思う。しかし、その分ピースが小さいので「年寄りには絶対に見えない」とおばあちゃんは強調する。わたしはまだ年寄りではないと思うけれど、ゲームのやりすぎで年齢以上に老化がすすんだこの目で見えるだろうか。やや心配になってきた。まあ、駄目なら虫眼鏡でも買ってこよう(おいおい)。
というわけで、買っちゃったんだね。1800円だった(パネルは買ってない)。昔からそうだけど、ジグソーパズルはちょっと高い。これがもうちょっと安かったらねえとは思うけど、安かったら年中やってしまい、粗大ごみを増やすだけなのでこれでいいのかもしれない。
これが「世界極小」のパズルピースだ。確かに小さい。なんでも「理科大の学生さんたちは『肉眼で見えるから大丈夫、いつも顕微鏡でしか見えないものを扱ってる』と言ってた」そうである。理科大は近年金町にできた大学で、ナノテクとか遺伝子工学とかを勉強しちゃってるらしいですよ、よくわかんないけど!
そして四日後…
あっさり完成。別にどうってことなかったわ。ブリューゲルのバベルの塔である。すーなのあらしにー、かくさーれたー(それはバビルの塔)。完成サイズが小さいのでむしろ全体が見やすいし、昔のより簡単っぽくない? 同じ極小シリーズでも、絵柄やなにかの関係で、簡単なのとすごく難しいのがあるそうだ。今回買ったのは難易度中くらいのやつだったので、もっと難しいの買ってもよかったかもしれないね。
なんにしても、久しぶりのジグソーパズルはおもしろかった。アナログな遊びも悪くないね。