今回当ててほしいのはこれ。葉っぱの中に住んでます。植物はセンニンソウだと思います。下に写真を何枚か貼ってから答えと探し方を書きます(貼った写真もヒントになると思いますたぶん)。
毎度のことですが、このゲームは知識を競うのではなくて、知らないことをどうやって調べるかの勝負なので、知ってる人も知らないことにして、どうすると調べられるか考えてください。だいたいネット上の情報で近いところまで行けると思います。
では答えを探す方法です。
まずはいつものようにストレートに見たまま検索してみましょうか。印象的なのは「黄色い」「葉にもぐって食い荒らす」なので、そのままのキーワードで画像検索してみるといいでしょう。
検索結果はその時々で変わってしまうと思いますが、わたしが今やると下のような検索結果が出ました。
関係ないものが沢山ヒットしますが、右下の黄色い芋虫があやしくないですか?(実際この写真を掲載しているページには正解がありました)
こんな感じで偶然みつかればいいですが、みつからない場合は、少し遠くから攻めてみる必要があります。
まず、芋虫は大人になると何になるか考えます。チョウかガになると思っている人は、「ハバチの幼虫」で検索してみてはどうでしょう。たぶんみなさん、ハバチ類の幼虫も「芋虫」だって言うと思いますけど。
それから、カブトムシやコガネムシのような、甲虫類の幼虫はどうです?こういうのも芋虫と言いませんか?
ほかに、ハエやアブの幼虫はどうでしょう。ふつう、ハエ・アブ類の幼虫は芋虫ではなくウジといいますが、体全体で這って歩く特徴は芋虫とかなり共通するイメージではないでしょうか。
そこで、問題です。今回のお題は、
チョウやガですか?
ハバチ類ですか?
甲虫類ですか?
ハエ・アブ類ですか?
ぱっと答えられない場合は、それぞれの見分け方を調べるところからです。ひとつひとつ、検索すればどこかに答えがあるとは思いますが、ここでは手っ取り早くお教えしましょう。芋虫は足の数を見て見分けます。
チョウとガの幼虫は、多少の例外はありますが、胸脚が3対(6本)、腹脚が4対(8本)+尾脚1対です。胸足というのは、成虫になっても残る足のことです。腹足と尾脚は、成虫になると消えてしまう吸盤みたいな足のことです。
ハバチ類は、一見するとチョウやガの幼虫に似ていますが、腹脚の数が8対もあり、チョウやガより多いので、よく見れば見分けられます。(ちなみに、ハバチ以外のハチの幼虫はウジ状で足がありません)
甲虫類の幼虫は、カブトムシなど飼ったことがある人なら常識でしょうが、胸脚だけで腹脚はありません。
ハエ・アブ類の幼虫は、一般にウジといいますが、胸脚も腹脚もありません。足がないのがウジです。
そこでもう一度、お題の写真を見直します。「腹側」に注目してください。 写真右側が頭です。足は何本ありますか? 頭に近いところに3対(6本)の胸脚がありますが、腹脚はどうでしょう。なさそうに見えませんか?
そうです。つまり、この虫は甲虫類の幼虫なんです。
ええ、ここらで、多くの人が脊髄反射で答えたであろう虫の名前をあげてみます。
字書き虫、絵描き虫、ハモグリガ、ハモグリバエ。
これら全部ハズレです。字書き虫と絵描き虫は通称なので、まずダメ。次に、ハモグリガ、ハモグリバエは、先に書いたとおり、足の数から考えて両方ともハズレです。お題の虫はウジじゃないし、腹脚と尾脚がまったくないのでガ類の可能性も薄いです。
なにくそ、0.01%の可能性に俺は賭ける!と息巻いたあなたには、【みんなで作る日本産蛾類図鑑V2】というサイトをおすすめします。このページから「ハモグリガ科」のリンクをクリック、「幼虫など縮小画像一覧」をクリックしてください。そこに似た形状の芋虫はいますか? 色も形も、だいぶ違うと思うのですが、いかがでしょう。ハモグリガ類には腹脚もあります。ほかに、ホソガ科などが幼虫時代に葉に潜りますが、とりあえず「わずかな可能性」は頭の片隅に残しておいて、甲虫類を攻めてみようじゃありませんか。
では、甲虫類で幼虫が葉にもぐる性質があるのは何でしょう。これもまずはストレートに検索してみましょうか。「葉にもぐる甲虫」で調べてみると、こんなページがありました。
◎葉に潜る甲虫
http://www.jppa.or.jp/kyokai/dr_takagi/029/hamushi.html
3種類ですが、画像つきでトゲハムシ、チビタマムシ、ノミゾウムシが紹介されています。残念ながらこの中に正解はありませんでした。
でも、性質が共通しているなら、もしかしたらこれらの仲間かもしれませんよね。というわけで「ハムシ」「タマムシ」「ゾウムシ」などの単語を抽出。これらにそれぞれ「葉にもぐる」「黄色」「芋虫」を追加して調べたらどうでしょうか。
わたしも全部やってみました。画像検索ではうまくいきませんでしたが、普通のワード検索だと「ハムシ」+「葉に潜る」「黄色い芋虫」の組み合わせが一番手応えありましたよ。やってみてください>ここをクリック
たとえば、こちらのサイト(ハンマー虫のページ2)など、大迫力の写真付きで、まさにこれ!!という感じでした。
というわけで、答えですが、ヘリグロテントウノミハムシの幼虫でした。
(ヘリグロではない)テントウノミハムシも似てるらしく、明確な見分け方をわたしも知らないので、もし知ってる方がいらっしゃったらコメント欄でお教えください。よろしくお願いします。
この芋虫、せっかくだから羽化させられないかと思って採取したんですが、葉が新鮮で地面から水を吸ってないと居心地が悪いらしく、持ち帰って数時間したら全部葉から出てしまい、そのまま餌を食べずに死んでしまいました。
この記事を書くのにあれこれ検索して、覚えておきたい言葉をみつけました。
潜葉性(せんようせい):葉に潜って食い荒らす性質のこと。そういう性質の虫のことは潜葉虫(せんようちゅう)と言う。
Leaf miner:英語で潜葉虫のこと。
芋虫が足の数で見分けられることも覚えておいてね。
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これはオオアカマルノミハムシかオオキイロマルノミハムシの幼虫です。ヘリグロテントウノミハムシの幼虫はもっと小さく形態も異なりますし、モクセイ科の植物しか食べません。
おっと、すみません、コメントに気付くのがものすごく遅れました。なるほど、たしかに食べてるものはモクセイ科じゃないです。御指摘ありがとうございます。