上品寺の閻魔堂(付・閻魔様の帽子の話)

IMG_5708s 7月16日は新暦の閻魔詣で(えんまもうで)だということで、地元のお寺の閻魔堂を見に行きました。

IMG_5707s ▲葛飾区東新小岩・上品寺(じょうぼんじ)

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▲平和橋通り沿いにあって、こんな看板が道からよく見えます。

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IMG_5701s ▲これが閻魔堂。中には高さ2mほどの閻魔大王坐像が安置されています。

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▲撮影していいかわからないのでイラストで。こんな感じの閻魔様です。左側の柱にかけてある巨大なやっとこが恐いです。あれで嘘つきの舌を抜くのでしょうね…いひひひ。

 この閻魔様は、作成年代はわからないそうですが、かなり古いものであることは確かです。一説によれば洪水で中川上流から流れ着いたものとも言われているそうです。かつては江戸十六閻魔に数えられる名所でしたが、安政二年の大地震で閻魔堂が倒れ、以来ずっと、本堂の片隅に安置されていたのを、昭和四十八年に閻魔堂を建て直し、閻魔様も大改修されたということです(堂内にかつての姿を伝える古い写真があります)。

 一般に1月16日と7月16日は地獄の釜の蓋が開く日だと言われ(たぶん盂蘭盆とも関係がある)、閻魔様をお参りする日ってことになってます。地方によっては旧暦でやるお寺もあるでしょう。こちらのお寺では閻魔もうでの日には特別何も行われていないようですが、10月の第三日曜日に大ゑんままつりが執り行われるそうです。

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IMG_5712s ▲境内にある八幡神社の狛犬。吽形さん(口をとじてるほう)に角がある。


IMG_5740bs  おともだちに「閻魔さんや鍾馗さんの帽子の横に出てるものは何?」と聞かれました。

 そもそもこの帽子は中国の古いかぶり物で幞頭(ぼくとう)と言うものの一種じゃないかと思います。もともとはただの布をまきつけて縛っただけで、後ろに出てるヒラヒラは布の端だったみたい。

 その後、帽子(冠)+リボンがついた形に変化して、リボンがだんだん長くなったらしいです。その頃に日本にも導入されて、旧一万円札の聖徳太子も幞頭をかぶってます。太子のはひらひらを後ろで丸めて飾りにするスタイル。なんにせよこの頃はまだリボンが垂れてる。

 さらに時代が下り唐の終わりくらいになると、リボンに針金を入れるなどして横に広げて垂れないようにするのがトレンドになり、リボンの幅も広がってヘチマみたいな形になったりしました。

 閻魔さんのは唐の終わりくらいのスタイルを木造で表現しようとして、平たいリボンではなく紡錘型になってるんだと思いますたぶん。

 鍾馗さんの場合、リボンが長くて、途中で折れ曲がってることが多いですね(そのせいでゴキブリみたいと言われる)。これも唐の終わりの流行を取り入れてると思われます。ある時期には、横に張り出したリボンを途中で曲げ、皇帝は上向きに、家来は下向きにしてたそうです。鍾馗さんの場合はポーズに動きを出すためか、左右で曲げる向きを変えてあったりしますけどね。

 というわけで、閻魔さん・鍾馗さんの頭から出てる棒みたいなものは、帽子の飾りです。


 ところで、ものすごくうろ覚えなんですが、葛飾区か江戸川区のどこかに、お賽銭を入れてボタンかなんか押すと、閻魔様がしゃべり出すお寺がありませんでしたっけ? 上品寺のがそうかと思ってたんですが、少なくとも今はそういう仕掛けにはなっていないようです。

 ちなみに深川(江東区)にもしゃべる閻魔様がいるってことなんですが、そっちじゃなかったと思うのですよね。江戸川区か葛飾区のどっかだったような気がします。あまりにもうろ覚えなので、単なる思い違いかもしれませんが。

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珍獣ららむ〜 の紹介

特技はおりがみとお蚕の飼育と世の中の役にたたないこと全般です。養蚕が普通の仕事だったらニートでヒキコモリの体質から脱出できそうな悪寒がします。DQ10はほぼ引退しました…だってストーリーが完全にソロゲーなんだもの。/ちなみにわたしが珍獣を名乗っているのは1999年からで、イモトよりも古いです。ワンピースは知らん。イモトですねって聞かれるとあっちがマネだと答えたくなる。 twitter などでは chinjuh です。

上品寺の閻魔堂(付・閻魔様の帽子の話) への6件のフィードバック

  1. 一円 のコメント:

     こんにちは。
     深川の閻魔堂のページを見ると縁日は毎月1;16日。加えて別のページには年中無休とあります。地獄はやっぱり忙しいみたいです。
    http://www.enma.or.jp/hojyoin.html
     でも賽銭を上げると仏様の言葉を聞けると書いてあるから、違うかもしれません。以前テレビで見たのは、もっと怖いお叱りの言葉だったような気がしたんですが。

    • 珍獣ららむ〜 のコメント:

      こんにちは。
      ほんとにうろ覚えなので、深川の話と混ざってる可能性は高いんですが、
      葛飾区か江戸川区のどこかにある閻魔堂で、
      やっぱり閻魔様が何か喋るお寺があったと思うのですよねー。
      内容は、そうそう、お叱りの言葉だったと思うんです。
      あれー、やっぱり深川なのかなあ。
      でも深川の法乗院には行ったことないんです。
      実際に行って聞いた記憶があるような、ないような(笑)

  2. 珍獣ららむ〜 のコメント:

    そういえば上品寺の近くにもうひとつ閻魔堂があったはず、と思い調べました。
    http://www.tesshow.jp/katsushika/temple_etateishi_shinzen.shtml
    葛飾区東立石の眞禅寺でした。
    ここは確かにお参りしたことがあります。
    でも、閻魔様が喋ったりしない感じですね。
    やはり深川の話と記憶が混ざってるのかもしれないなあ。

  3. 一円 のコメント:

     とあるブログには平井の安養寺もゑんま様を祀っていると書いてありますが、こちらではまるで気配がありません。
    http://www.tesshow.jp/edogawa/temple_hirai_anyo.shtml
     代わりに富士山が出てきました。此花咲耶媛と閻羅王では天と地ほども違いますよ。でも写真を見てもちっとも富士塚には見えないな。

     お喋り大王は今のところ深川にしかおいででないようです。

    • 珍獣ららむ〜 のコメント:

      ありがとうございます。
      街の中の富士塚は小さいのが多いですね。富士塚は周囲が開発されると案外取り壊されますから。
      平井の安養寺は行った事ないです。チャンスがあったらお参りしてみます。

  4. ピンバック: 深川ゑんま堂・曽我五郎の足跡 #神社仏閣 | 超・珍獣様のいろいろ

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