http://www.chinjuh.mydns.jp/wp/20160725p5163
この記事の続き。
蝶や蛾の幼虫の飼い方は、基本、餌をやるだけです。問題は「何が餌になるか」です。虫により、幼虫時代に食べるものが違います。
虫の種類がわかっている場合は、図鑑などで何を食べるか調べることもできますが、わからない場合もありますから、捕まえる時に何を食べていたか見ておいて、同じ植物をやるのが基本です。
今回つかまえてきた芋虫は、ワルナスビというナス科の野草を食べていました。
▲これがワルナスビです。野菜のナスとは同じ科の仲間ですが、ナスのように大きな実はなりません。全体に刺があるので、悪い茄子→ワルナスビと呼ばれているようです。
野草は摘み取るとしおれやすいです。新鮮なまま持ち帰れるかすこし心配しましたが、根元からハサミで切って、ビニール袋に入れて口をしめてもちかえれば大丈夫でした。帰宅後はすぐに切り口を水に浸けます。水揚げがよくて3〜4日新鮮なまま保存できましたよ。
芋虫を飼う時は、餌を確保できるか考えてからつかまえましょう。
水槽を、こんな感じに縦置きにして、コップに活けたワルナスビを入れてやります。芋虫を葉っぱにつかまらせておけば勝手に餌を食べます。
コップは中に水を入れて、口をアルミ箔でふさいでおきましょう。アルミ箔に穴をあけ、そこにワルナスビをさしておきます。コップの口は閉じておかないと、芋虫が歩き回って水に落ちてしまうことがあるからです。芋虫や毛虫を飼う時は、だいたいこういうやり方をします。
上の写真に写っている、黒っぽい手りゅう弾みたいな形のものは芋虫の糞です。けっこう大きな糞をします。糞はときどき片づけましょう。餌は、しおれてきたときと、すっかり食べてなくなった時に交換します。
たいていの芋虫は、餌が充分にあって、気に入っている時は、逃げ出さずに同じ場所で食べつづけてます。でも、餌が気に入らない時と、蛹になる前は、歩き回って逃げてしまうことがありますので、長時間目を放す時は水槽の蓋を閉めたほうがいいです。
特に、土の中で蛹になる虫は、目を放すと歩いて行ってしまうことが多いので注意しましょう。
蛹になる場所も虫によって違います。蝶の仲間は餌になる植物の枝に体をくくりつけて蛹になることが多いですが、蛾の仲間は地上で蛹になるものと、土の上や、土の中で蛹になるものがいます。
今回のクロメンガタスズメは、たぶん土の中か、土の上で蛹になるはずなので、目を放す時はかならず水槽の蓋を閉めておきます。
捕まえてきて数日後に、色が変わってきました。捕まえてきた時の写真と見比べてください。赤茶けて来たのがわかると思います。これはもうすぐ蛹になる合図です。こうなると、もう餌を食べずに歩き回っているか、じっと動かなくなっていると思います。
芋虫は、蛹になる直前に色が変わることがあります。この変化には個体差があって、ほとんど変化が見られないうちに蛹になっちゃうこともあるし、劇的に変化することもあります。
クロメンガタスズメは土の上か、土の中で蛹になるはず、と書きました。自然な状態で蛹になるところを見たいならば、水槽に土を入れ、土の上に幼虫を置いておくのですが、新聞紙等をちぎって入れておくだけでも大丈夫ですよ。
体が縮んできました。大きさが分かるように1cm方眼のカッティングボードを一緒に写してみました。つかまえて来た時は7〜8cmくらいの体長でしたが、このとおり5〜6cmに縮んでしまいました。
これは前蛹(ぜんよう)という状態で、まだ蛹(さなぎ)ではありません。このあと脱皮すると蛹になります。この状態でも、指でつつくと体をブンブンふりまわして面白いですが、体が変化する途中なので、あまりやると虫によくないと思います。ほどほどにしておきましょう。
▲同じ蛹の腹側。かたわらに写っている黒いゴミのようなものは脱皮ガラです。
土の中で蛹になる芋虫は沢山います。虫により土の中での過ごし方も違います。糸をはいて土をつづりあわせて、土の繭を作って蛹になるものもいるし、ほとんど糸を吐かない種類もいます。クロメンガタスズメは、どうも糸を吐かないようですね。ちぎった新聞紙を糸でつづった様子がまったくありません。
この蛹は、いずれ成虫になりますが、いつ成虫になるかは、虫により、状況により違います。
たとえば、その虫が、一年に二度、三度と発生する虫ならば、今は季節が夏ですから、二週間後くらいに成虫になると思います。季節が秋で、もうすぐ冬という場合は、出てくるのは来年の春かもしれませんね。中には成虫のまま越冬する虫もいますから、11月ごろ羽化して飛んで行く場合もあります。
もし一年に一度しか発生しない虫ならば、冬の過ごし方で変わります。蛹で越冬する虫は、来年の春にならないと成虫になりません。成虫・卵・幼虫のどれかで越冬する場合は、案外すぐに成虫になるかもしれません。
そういうことも、名前がわかるなら図鑑やネットなどで調べることはできますが、わからない場合もありますから、長い時は半年近く付き合うことになります。虫の観察は気長な作業です。
今回のクロメンガタスズメは年に二度くらい発生するという情報がありますので、たぶん二週間後くらいに成虫になるんじゃないかなあ、と予想しています。
成虫になったらまた記事を書きますので、お楽しみに。
夏休み 自由研究 芋虫の飼い方 蛾の幼虫 スズメガ科 羊たちの沈黙(あれはクロじゃないメンガタスズメだったような気はするが)
カテゴリー: