だんご汁、えびりつけだんご、やきびん、文化フライ… 葛飾育ちの昭和世代だと懐かしいものばかりなのでしょうか。群馬育ちのわたしにとっては珍しいものばかり。
文化フライは衣だけのフライだそうで、前に足立区の郷土博物館で展示を見て面白いので自作してみたことがあります。>ここをクリック。
今回は「やきびん」というものに注目!
やきびん
農家ではコジハンといって、朝食と昼食の間、昼食と夕食の間に軽食をとる週間があった。夏の代表的なコジハンはやきびんである。
みょうがの葉や大場の葉の間に、小麦粉と水と味噌と砂糖を入れて練ったものをはさんで、ほうろくで焼いたものを言う。作ったら農地まで持って行き、手軽に食べることができた。
コジハン…どんな字を書くんだろう。もうそこから興味しんしんです。ミョウガの葉は手に入らないので大葉で作ってみました。
中身の配合がわからないので完全に想像で作りました。
【やきびん:材料】 ペースト |小麦粉 大さじ4 |水 大さじ4 |味噌 大さじ1杯弱 |砂糖 大さじ半分 大葉 12〜14枚(6〜7個分) 油(フライパンにひく)
ペーストの材料を混ぜます。このバランスだとスプーンからボタボタっと落ちるくらいの緩さです。フライパンを熱して油を薄く引き、火を弱めて、大葉を一枚フライパンに敷きます。ペーストをスプーンで大葉の上に落とし、1分くらい焼いて、完全に火が通る前にもう一枚大葉をのっけて裏返して焼きました。
作り方は想像なのでオリジナルとは違うものが出来たかもしれないけれど、ちょっとしたおやつにいい感じです。お茶とたくあんでも添えれば充分に小腹が満たせると思います。あ、そういえば作りたてを食べてしまいました。農地に持って行くんだから冷ましてから食べてみるべきだったかも。
「やきびん」で検索すると、いろんな人が自作した写真がみつかります。群馬では聞いたことのない料理名ですが、けっこうあっちこっちにやきびん文化があるみたい。作り方も地方ごとに違い、ご飯を入れて焼きおにぎりみたいな状態になったものもあるし、ふくらし粉を入れて作る人もいるし、中にあんこを入れてお菓子みたいになってるものもあるようです。
▲郷土と天文の博物館に展示されている「やきびん」は、厚みのない平べったいものです。
▲小正月(1月15日)に神様におそなえする小豆がゆには神様専用の箸をそえる
神様の箸にも興味しんしんです。柳の枝を削って作るそうんだんですが、先だけ樹皮をむいて、小さな削りかけを作ってあります。
削りかけについては、前にこんな記事を書いたことがあるんですけど
◎不確かな記憶を確かめるべく群馬県中之条町まで行っちゃった話
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=1566
◎中之条(群馬県)の削り花をいただきました
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=1752
中之条でもこういうけずりかけを「小正月」に神棚におそなえするんだそうです。葛飾区の神様の箸も、形はだいぶ違うけど、意味は似てるような気がします。
北海道アイヌもイナウと呼ばれる削りかけを神様に捧げるのですが、削りかけとは別にイクバスィという神様専用の箸(というか、へら?)があって「イクパスィの先は神様の舌と繋がってて、ここにお酒をつけると神様にとどくんだよ」と聞いたことがあります(うろおぼえですが)。
葛飾区の削りかけ付きの神様の箸は、イナウとイクパスィを足して割ったみたいで興味深いと思いました。
郷土料理の展示は常設みたいなので、しばらくあると思います。興味のある方は葛飾区郷土と天文の博物館へどうぞ。
◎葛飾区郷土と天文の博物館
http://www.museum.city.katsushika.lg.jp/
郷土資料もですが、プラネタリウムもかなりおすすめです。ぜひ見てってください。すべての番組がここのオリジナルで生解説付きです。