今年飼ってたのは春嶺鐘月という一代交雑品種です。二代目は親と同じ性質にはなりません。が、楽しみで飼う分には問題ないし、わたしはお蚕の交尾が好きなので今年も産ませてみました。
お蚕の卵は、生まれたばかりと時はミルク色というか、象牙色というか、少し黄色がかった白です。
もしその卵が10日後くらいに孵化(ふか)する卵ならば、すぐに色が変わることはありません。一週間くらい白いままで、ある日突然フッと青黒くなって、それから間もなく孵化します。こういう卵を非休眠卵とか言って、産卵から孵化まで8〜10日くらいです。
しかし、もしその卵が冬を越さないと孵化しない卵ならば(そういうのを休眠卵とか越年卵とかいうのですが)、産卵から半日もすると赤茶色になって、翌日には黒っぽく変化します。
春嶺鐘月に産ませた卵は、どれもみんな休眠卵でした。冬を経験して、春にならないと孵化しません。
こういうのを、人工的に孵化を早める(好きな時に孵化させる)こともできるんですが、その方法はけっこう複雑で、産卵後何時間で何度で冷蔵し、何パーセントの塩酸溶液を何度に保って何分浸し、水につけて酸を抜いてから、何度で保温してどうのこうの…と、色々複雑でハードルが高いんです。
まあ、それはプロが確実に孵化させるための方法ですから、成功率が低くていいので、もうちょっとお手軽にやれないかなあって、思いますよねえ。
【冷蔵してから室温で放置→孵化せず】
それで、去年は(小石丸と琉球多産蚕を飼ってました)産卵後に冷蔵庫に保存して冬の寒さを体験させてから、1週間後、2週間後、1ヶ月後、3ヶ月後…と段階的に出してみました。夏で暑かったので保温はせず、室温で放置しただけです。しかし、どれも孵化しませんでした。
【3ヶ月間冷蔵してから25度くらいで保温→孵化した】
卵は沢山あります。今年も何かやってみることにしました。ただ夏が厳しすぎて何もする気にならず、手をつけたのは10月に入ってからです(つまり産卵後3ヶ月以上たってしまってる)。
やはり酸で刺激する必要があるのかなあと思うんですけど、プロがやるみたいに塩酸溶液を使うのは、趣味でちょっとやるレベルを越えるんですよねえ。そりゃ薬局で名前書いてくれば塩酸は手に入りますが。
それで、馬鹿みたいな話ですけど、とりあえず酢を使ってみました。食用の醸造酢です。
卵A:冷蔵3ヶ月後に人肌くらいに温めた酢に数10分浸し、水につけて酸を抜いた後に、保温する。
卵B:冷蔵3ヶ月後に、何もせず保温する。
AとBを、もう秋で気温が下がっていたので、今回は保温してみることにしました。
これは水槽の下にいれるヒーターで、ベタとかウーパールーパーとかを飼うのに使うみたいです。わたしはサカサクラゲを飼うのに使ってました。このヒーターを卵といっしょに発泡スチロールの箱に入れておいたらどうでしょう。
事前に温度計をつっこんで実験してみたところ、箱の中は22〜25度くらいで、それ以上には上がらないみたいでした。これなら箱が溶けたりもしないでしょうし、卵には適温かなあと。
すると、10日後に…
でもちょっと待って。酢に浸してないのも孵化しちゃってる。酢は関係なかった(爆死)
ずぼらな実験なので、ツッコミどころがありすぎるんですが、とりあえず次の3点は気になります。
1. 去年の失敗は、加温しなかったせいでは?
2. 冷蔵は3ヶ月も必要なのか? 1ヶ月や1週間ではだめなのか?
3. 品種により孵化しやすさは違うのだろうか?
3を確かめるのは難しいですが、1と2ならば来年また実験できそうです。
我ながら、小学校の夏休みかって感じの実験ですが、まあこんなもんでしょう。
今回孵化させたお蚕は、もう餌の桑が手に入らない季節なので、残念ですがカエルにやったりして処分しました。
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