常陸太田。無人駅じゃないというだけで都会っぽさを感じるぞ。 pic.twitter.com/3WyRkseE2u
posted at 15:11:02
玉川村も上小川も半無人駅だった。常陸太田には駅員がいるし、スイカをピピッとやる機械があった。でも自動改札じゃないので、わたしはときわ路パスを駅員に見せて改札を通った。
ここをこの日の最後に選んだのは、なんとなく楽そうだったからだ。常磐太田からの手紙は韓流歌手のポスターの独り言と、割烹旅館の女将さんの話だった。ポスターはきっと見るだけだし、割烹旅館のほうもビデオかなんか流れてるのをチラ見すれば終わると思っていたのだ。
地図をたよりに丘のほうへ歩いていく。ポスターはどこだろう。焼け落ちた家の二件先の駐車場って書いてあるけど… 帰りでもいいかと思い、あまり考えずに先に進んだ。
割烹旅館は鯨ヶ丘地区にある。名前のとおり丘の上だ。商店街がある。古くからの街らしく、土蔵を改造したような商店が沢山あった。営業している店もあれば、閉まっている店もある。田舎の古い商店街としてはちゃんとやってる方だと思うが、昔はもっと賑わっていたのだろう。
そんな田舎の商店街なのに、なぜか観光客が大勢いて、和菓子屋さんのような店に人だかりができていた。なんだろうと思ったけれど、のんびりしていると日が暮れてしまうので先を急いだ。
どの店にも蛍光ピンクの看板がかかっており、店主のこだわりや街の歴史が書かれていた。いつもこうなのか、芸術祭の間だけの演出なのかはわからない。空き店舗で地元の人の作品を展示していたり、何かイベントをやってる場所もあった。県北関係なのか、別のイベントなのか、それすらよくわからないまま横目で見て通る。
割烹旅館若柳は、細い路地を入ったところにあった。手紙にも古い旅館だと書いてあったけれど、本当に古そうだった。あまり整備もされておらず、営業してそうには見えなかった。仮に営業してるとしても、昔なじみでもなければ近づく人はいないだろうな。
玄関を入ると、自由に見てかまわないというメモが置いてあった。フロント(?)に人がいたので、見せてもらいますよと一言挨拶して奥に進んだ。
割烹旅館の若柳に来ている。なんの予備知識もなく来ているので詳細はわからないが、ここは取り壊し寸前なのかもしれない。建物が傾いてしまってるし、道具類が並べられて引っ越し前みたい。 pic.twitter.com/1lrSmTIis7
posted at 16:05:02
手紙にはここの息子さんが事故で体が動かなくなったと書いてあった。館内のあちこちに手紙の続きのようなメモが貼られている。写真は昔、花嫁さんが写真を撮る場所だった部屋で、奥に車椅子が置いてある。息子さんが店番をしてた部屋なのだろう。
posted at 16:07:34
若柳の物語は「イヤホーンのプロスト」というタイトルだ。昭和36年に嫁いできたという女将さんの思い出話だ。車好きの息子さんはフォーミュラーカーのレーサーになり、つくばのサーキットで走っていたこともある。好きなレーサーはプロスト。事故は公道で起こった。車が二つ折りになるような大事故で、意識が戻るまで2ヶ月半かかった。意識のない息子さんの耳にイヤホーンをさして、レースの音をずっと聞かせ続けたと書かれていた。
息子さんが集めたというビデオテープが納められた部屋。4000本あると書いてあった。
息子さんが電話版をしていた机のようだ。車椅子が置いてあり、机の上に「退院後、時々ここで過ごした」というメモがある。
建物は迷路みたいだった。1階から4階まであって、同じフロアでも段差があって、廊下の右の部屋と、左の部屋で高さがちがったりする。いろんなところに階段があった。探検しているうちに楽しくなった。昔の旅館はこんなところが多かったけれど、さすがに建物中を見て回るなんてことはしたことがないし。子供の頃にやってみたかったことを思い切りしているような気分になってきた。
ここは鯨ヶ丘という高台にあって、客室は見晴らしがいい。増築を繰り返した昔の旅館なので迷路みたい。子供の頃に泊まった温泉旅館はみんなこんなだったな。ここにも泊まってみたかった。 pic.twitter.com/4iDhJTMc68
posted at 16:10:43
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posted at 17:21:56
もともと古かった建物が震災で傷んだらしく、あちこち傾いて、床がゆるんでいる場所もある。手紙には「店をたたんだ」と書いてあったから、もう営業はしていないだろうけれど、客室とフロントをつなぐ電話機は、それほど古くはなかった。
わたし以外にも見学している人たちが何組かいた。わたしと同じ地図を持っている人がいた。迷っちゃうねと言いながら楽しそうに見て回るカップルがいた。丁寧に写真をとっている人もいた。
自分もシャッターを切りながら考えた。この建物がいつまでここにあるかわからないけれど、もし明日取り壊されたとしても、こうやって見に来た人が撮影したものが、すべてこの建物の記録になるんだなあと。
帰りしなにフロントにいた人に声をかけてみた。ここはいつまで営業していたのか、取り壊してしまうのか…など。
わざわざ聞いたわりに記憶が曖昧なのだが、お店として営業していたのは十年前だったか、震災の頃までだったか、そんな返事だった。営業をやめてからもイベント用に貸したり、お花の教室を開いたりしていたそうだ。女将さんはご高齢ではあるがお元気で、今も近くに住んでいるので、ときおり空気の入れ替えなどに来るという。取り壊しの予定などは今のところないということだった。話しているうちに、フロントにいる人たちは芸術祭の世話人で、この旅館の関係者ではなさそうだとわかった。
もうひとつだけ聞いてみた。「息子さんはお元気なんですか?」
しつこいようだけど「何処からの手紙」に書いてあることは、どこまでが実話なのかよくわからない。実際にそこにいくと手紙に書いてある通りの風景があったりするが、ストーリーはフィクションかもしれないし、それでいいとも思ってる。
ただ、ここには車椅子の息子さんの写真が沢山あったし、4000本ものビデオテープは作ったように見えなかった。
聞かれた人は一瞬の口ごもってから、にっこり笑って「お元気だって聞いてますよ」と答えてくれた。
ちょっと見れば終わるだろうと思っていたのに、結局1時間近く若柳にいたと思う。
若柳を出て、商店街の歩いていないところを歩き回って、どこかで食事できないかと思ったけれど、どこに入っていいかよくわからない。そうしているうちに空には細い月と金星が輝き始めた。
鯨ヶ丘は土蔵を改造した古い商店がたくさんあった。でも川越みたいに江戸時代っぽくなくて昭和懐かしい町だった。なんとなくまた来てみたい。 pic.twitter.com/CYEjzVnhcE
posted at 17:31:27
そういえば韓流歌手のポスターを見ていないと思い、駅までの道を探して歩く。奥にサウナだった建物があると書いてあるから… ああ、ここか。確かに駐車場みたいになっていて、奥には昔の映画館みたいなちょっと変わった建物がある。
暗くてよく見えないが、たしかにポスターがある。これは写真…? イラストのようにも見える。手紙にこのポスターの写真が同封されていたが、古っぽく見えるようなエフェクトがかかっていて、その写真ごと絵のようだ。
手紙ではこれが韓国人の歌手で、ポスターのサインには2007年とあるらしい。暗いし、手前に茂みがあってよくわからない。
この歌手はサインの翌年に徴兵されたそうだ。韓国では兵役の義務があるので特別なことじゃないけれど、このポスターの頃の彼と、今の彼とは同じじゃない、というような物語だった。
彼の名前はアン・チルヒョン。これこそ絶対にフィクションだと思っていたけれど、ふと検索してみたら、90年代の韓国アイドルグループのメンバーで、カンタ(강타)という芸名の歌手が本当にいるそうだ。アイドルグループは解散したようだけど、カンタは芸能活動を続けていて、twitterアカウントまであった。それで「駅前のカンタ」なのか。歌手だからcanta(歌う)とかじゃないのね。
常陸太田駅に戻ってきた。ちょうど電車来たからこれで帰ります。すっかり夜です。昼からご飯食べそびれてます。鯨ヶ丘で蕎麦屋さんを見たけど入りにくくて無理だった。どう見ても八百屋さんっぽいデイリーヤマザキがあったので入ってみたけどオニギリすらなかったwでも食用の菊が美味しそうなので購入
posted at 17:27:43
水戸駅でチーズカツバーガー食べてる。マクドか!!と私も思うけど、ここ電源あるんだよ。電源大事でしょ。 pic.twitter.com/fhXzjuyVDD
posted at 18:49:37
例の巨大生物はゴジラと命名されたそうだ。では鯨ヶ丘にいるこの小さいのはコジラとでも呼ぶことにしよう。 #シンゴジ実況 #ミニラ pic.twitter.com/ZTzmM3WaKK
posted at 19:49:53
けっこう前に帰宅している。鯨ヶ丘のデイリーヤマザキに偽装した八百屋っぽい何かで買った食用菊をほぐしまくるのにけっこう時間がかかった。150円だったのにこんなに入っていたとは…まあ、茹でたら一掴みになっちゃうんだけどね。 #食材 pic.twitter.com/qxPOLUvOWs
posted at 22:53:56
マクドナルドでチーズカツバーガー食べながらいろいろ検討した結果、明日も今日回れなかったところに行くことにした。時間に余裕があると思うので、虎塚古墳の内部一般公開と、横穴墳墓をもうひとつ見に行く予定。なんでこのへん横穴多いんだろ。川尻のほうにもあるよね。まだ見に行ってないけど。
posted at 22:59:10
というわけで、旅は翌日も続く。次は日立駅に行く予定(その前に横穴墓を見に中根ってところに向かうけど)。 #常陸太田のストーリーは、ぱっと見短時間で楽しめそうに見えるけど、旅館探検は面白いし、昭和懐かしい商店街も楽しいです。わたしは夕方だったので旅館しか見られなかったのですが、梅津会館という建物が今は資料館になっていて、そこも見学するとけっこう時間がかかります。
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