柴又駅前に、寅さんの妹さくらの像ができるんだそうです。
▲さくらの像ができるって書いてあります。除幕式は今年3月25日だそうです。
柴又の駅前には、もうずいぶん前から寅さんの像があります。柴又の駅前で淋しそうな顔をして、帝釈天の参道をふりかえって見てる姿です。
ここの銅像を立てることが決まった時、最初は旅行かばんに越しかけて、片手をあげて「ようっ」と笑いかける寅さんの像ができるはずだったんです。それ自体はよくできた図案でした。
ところが映画会社のほうから待ったがかかったらしいです。監督が「寅はそういう男ではない」と言ったと、テレビで（報道系のワイドショーのなんかだったと思いますが）報じられました。コメンテーターが複雑な顔をして「映画会社がそんなこと言うの？」みたいな、ちょっと不機嫌そうなコメントをしてたと思います。実際わたしも「え、何がいけないの？」と腹を立てたのを覚えてます。
それからしばらくして、監督が納得して作られたデザインを見て、わたしは心の中であっ！と叫びました。それが今、柴又駅前に立ってる寅さんなのですが、それはもう、映画の一場面みたいで、まさに寅さんそのものでした。
寅さんは、平たくいうとはみ出し者なんです。口がうまく、みんなから好かれ、すごくいい人ではありますが、だらしなくて、まともな職業についてもやっていけないんです。地元では寅はしょうがねぇやつだとみんな思ってる。故郷柴又に帰ってきて調子のいいこと言いまくって、そのうちいづらくなってふいっと旅に出てしまう。でも、心のどこかで「誰か引き止めにこねぇかな」とか思ってるんですよ。それで、駅前で家（おじさんの団子屋）をふりかえる。
その一瞬、寅さんは他人に見せるのと違う顔をするわけです。しょうがねぇヤツなのは、寅さん本人が一番知ってる。それでもこういう生き方しかできない、そういう男の素の顔が見えるシーンだと思います。
もうすぐここに、妹のさくらの像ができるそうなんですが、どんなものができるんでしょうね。映画では、ときおりさくらが追いかけてきて、これ使ってって、五千円くらい持たせて送り出したりすることがあるので、きっとそいう場面になるんだろうとは思うんですが…
個人的には、そういうのは映画を見てれば自然と想像できることなので、「さくらの銅像、必要かな？」って、首をひねってます。除幕式は今月25日。見に行くのが恐いような、楽しみなような（笑）
完成したので見てきたよ
除幕式の翌日、3月26日は雨でした。柴又の駅を出ると寅さん像の前に傘をさした人たちがたくさんいます。
これがさくら（寅さんの妹）の像です。寅さんは映画の中でも、団子屋のおじさんと喧嘩したりして、ふいっと旅に出ちゃうんですが、誰も追いかけてこないこともあれば、さくらが負いかけてくることもありました。そんなシーンを再現しているのでしょうが、寅さんに比べると、ただ立ってるだけに見えてしまって、ちょっとヒネリがなかったかなって、思わなくもないです（笑）でも、倍賞千恵子さんの雰囲気は出てますね。
除幕式の当日は、山田洋次監督も来ていたし、見物人の数が半端じゃなかったようです。駅前に地元の物産を売る店があるのですが、そこの人は「あー、昨日（除幕式当日 ）は来なくて良かったですよ」とか言ってて内心爆笑でした。来ても何も見られないくらい人がいたんでしょうねー。
