新・珍獣様のいろいろ がぼちゃんねる

日記

病人日記:「あなたは癌、かもしれません」「がーん?」

 で、今日は検査の結果も出揃っていて治療方針も決まるようなことを言っていたからさ、聞きに出かけたわけだよ。昨日からまた腹水がたまっちゃってヒーヒー言いながら。

 そしたらー、今日はいつもの医師じゃなく別の人で、「腹水たまっているならまた抜きますか」とか核心から遠い話をぐだぐだするから、

「あのー、お話をさえぎって悪いんだけど、結局のところわたしは何なのですか。今日はそういうのがわかるというから来たんですけど?」

と、丁寧に「ふざけんな」ビームを送ってやったら、いつもの医師からそういう話を聞いていなかったので……ってしどろもどろになっちゃって、「卵巣癌の可能性が高くて、治療方針はこれから考える」みたいなことをホイホイしゃべってました。

 胃も腸も異常はなくて、子宮内膜にも癌細胞はなかったから、CTやMRIに写ってるとおり卵巣の腫瘍でしょうと。腹水をとって調べた結果では、五段階で三くらいの確率で「癌っぽい」という結果が出たそうです。

 今後としては手術で切って細胞の検査をしてから癌だと確定したら抗癌剤を投与、もしくはその逆で、抗がん剤で叩いてから手術するかのどっちかなんだけど、それはこれから決めるらしい。

 いやべつに、腹水たまってて卵巣悪いって言われたときから癌かもってのは思ってたから別に驚きゃしないんですけど、今日はいろいろ先のことが決まるからっていうので出かけたのに、なんだよそれ、これからかよ(怒)

 そんでもって腹水を一リットル抜きましょうってことになったんだけど、針の刺し方だって人それぞれクセが違うしさー、医者変わるとそのたびにドキドキするじゃないの。やだなーと思っていたら、案の定というか、なんというか、ごそごそ刺し始めた後に「針もう一本ある?」だと。お、おまえ、刺し直したのか!!!

 癌宣告の後のせいか、不機嫌光線乱射中のせいか、看護婦さんがやけに親切でした。右腕の内出血のあとを見て「どうしたのー」って言うから、

「大腸内視鏡検査の時に点滴針がうまく刺さらなかったんです。献血車に乗ってる看護婦さんとか外来で血を取ってる看護婦さんとかは見れば刺しにくいのをわかってくれるのに、検査系のお医者さんはまるで気にしないで刺してから漏れたっていうの。100%そんな人ばっか。MRIの造影剤も漏れたし」

「ああ、MRIのやつは針が太いのよ」

「えー、太い針だったのか。そんなのを無頓着にブスッとやったわけね。なんか、ものすごい自信で一発で刺すから、ひょっとしてこの医者は天才なのかもしれないと思ったら、漏れたっていうし」

隣で何かの処置を受けてた中国人の夫婦が一瞬ウケてました。

 そんなこんなで腹水を抜き始め、今日は「ヴィーンD注」とかいうリンゲル液を点滴しながらやったのでけっこう時間がかかって疲れました。

 治療方針は決めておくので明日また来てくださいだと。おいおい。

病人日記:もうニフレックだけは死んでも飲みたくない

 はいはい。お楽しみの大腸内視鏡検査の日がやってきました。前日からのわびしい検査食に加え、ラキソベロン一気飲みをしたおかげで朝の便はほとんど水。水に溶けた便が多少入っている程度。朝出かける段階で、腸の中はほとんど空じゃんじゃないかとすら思える状態です。

 それでも飲まなきゃならないニフレック。液体の下剤で「ポカリスエットに似た香りがしてまずい」と受付のお姉さんから説明されています。

 今日検査することになっている人たち七、八人がテレビとトイレのある部屋に集められ、ひとりひとりに二リットルずつのニフレックが配られました。麦茶でも作るようなボトルに入れられていて冷たく冷やしてあります。無色透明でパッと見は水にしか見えません。

 これを紙コップに注いで、最初の二杯までは十五分(計三十分)かけて飲み、次からは一杯十分のペースで飲むとだいたい二時間でのみきる計算になるそうです。ボトルの半分のところに赤いテープが張ってあって、そこまで飲むと一リットル。一リットル飲んでも便が出ない場合は申し出てくださいということでした。

 検査についての説明を軽く聞いて、飲み始めたのは午前十時。匂いをかいでみたら本当にポカリスエットみたいな良い匂いです。これなら大した苦痛はないのではと、油断してグイッとやったら……

 具謬ぎゅヴぇぐべぇがひゅうぅぅぅぅぅ

 な、なんじゃこの味は!!!

 しょっぱい、ような気がするけど完全な塩気を感じる直前で寸止めされたような味で神経を思い切り逆なでする不快感。苦い、ような気がするけど苦味をはっきり感じる直前でじらされているような苛立たしさ。そんなものがどことなく甘いような甘くないようなアイソトニック飲料っぽい顔をして「さあ飲め、死ぬまで飲め」と襲ってくる恐怖感。

 はっきり言ってこの世のものとは思えない不味さ。いまだかつてこんなに不味いものを飲んだことがあるだろうか。これなら苦丁茶かせんぶり茶の一気飲みを強要されたほうが何十倍もましだと思う。

 思わず咳き込んでしばらく止まりませんでした。これはキツイ。トラウマになる。色も映像もない不快感だけの悪夢を見そう。これを二リットルなんて絶対にいやだー!!!

 部屋にあるテレビはNHK総合なんて辛気臭いもの流しっぱなし。最初は高校野球で途中から長崎原爆忌の式典の中継でした。小泉純一郎の平和への決意なんか聞きながらじゃ不味いものが余計にまずくなる。一口のむごとに頭をかかえ、二口目には眉間やらこめかみやらを押さえて苦痛に耐える感じ。そのうち思考もおかしくなってきて、原爆で死んだ人たちは、「水、水」と言いながら亡くなったのだから、不味くてもニフレックを飲んでいる自分はひょっとしたら幸せなのか、いや、そうではない、やけどを負って瀕死の状態であっても、こんなもの飲まされたら末代まで祟ってやるという気持ちになるはずだ、などという不謹慎な想像までするようになってきました。

 しかもこれって、いわゆる下剤っていうのとイメージが違う感じ。ラキソベロンなんかは飲んでから一時間もするとお腹がゴロゴロいいはじめて「そろそろ下ってくるかな」って思うんだけれど、ニフレックは腹にたまっていくばかりで下る様子なし。飲み始めて一時間以上たってからやっと出るようになってきたけど、爽快に出るというより上からたまってきたから押し出されてきましたみたいな出方で不愉快きわまりなし。そのうち、胃にたまってる分がゲップをするたびに逆流しそうになってきました。

 先日の胃カメラで、胃には異常がないことはわかったので、たぶん腹圧のせいで胃腸の動きが鈍ってるんだと思うんです。便意もないのにトイレに行ってみたり、そこらを歩き回ってみたりいろいろするんだけれど、飲んだ分がうまく出てこなくて腹はへこまない。とてもこれ以上は飲めない、無理って感じになってしまいました。

 不味いので飴玉をなめて味を変えるといいですよと言われていたから、シークワーサー味のキャンディーなどを持参したのですが、そんなものなんの気休めにもなりません。もうだめ、無理、不可能。仮にあと一杯飲んだとして、そのあたりで物理的に腹に入らなくなると思う。

 まわりを見回すと、みんな黙々と飲んでます。おじいちゃんもいる。おばあちゃんもいる。そりゃ、他の人たちは腹水たまってたりしないと思うけれど、それ以前にこの不味いものをよくぞ……みんな偉い。全員に拍手をおくりたい。あなたたちは勇者だ。英雄だ!!

 でもね、誰も他人と口きいてないの。同じ部屋に七人とかいるのに、隣の人としゃべってる人とかひとりもいないのよ。たぶん口きいちゃったら「不味いですね」って話になるので何もいえないんだと思う。言葉にしたらもう終わり。自分をごまかして口に運んでいるから飲めるんだと思う。となりに座ってた女の人なんか、最初は女性週刊誌を見てたんだけど、もう読んでいるというよりイライラとめくっているだけで、その不快感が頂点に達していることが手に取るようにわかってしまう。

 わたしはというと、幸いその頃には便に固形物が混じらなくなり、黄色い透明な水しか出なくなっていたので、看護婦さんに見てもらったところ、もういいので午前中に検査してしまいましょうということになりました。消化器内科からまわっているカルテに腹水がたまっていると書いてあるので、検査の医師もそのへんを加味して手加減してくれたのだと思います。やったラッキー。みんなごめん、わたしはズルして先にすすませてもらうよ(T-T)/

 大腸内視鏡なんて初めてなので、検査そのものも不安だらけだったのですが、ここまで来るとニフレックの不快感から逃れられるというだけでもうどうなってもいいという気分になってきます。術衣に着替えてこっちへ来てくださいといわれた時は心の中で小躍りです。

 術衣はじんべえの上だけみたいなのを丈を長くしたもので、下は後ろに穴のあいた不織布のキュロットみたいなものをはくように指示されました。なるほど、これなら医者に見られるのはほとんど肛門だけですな。よく出来てる。

 検査の前に点滴針を刺されました。今回は会計にまわす明細書をメモってきたので何を使ったのかわかります。点滴されたのはソリタT3号という電解質の入った液体のようです。例によって針を刺すときにひと悶着ありました。右手出してというから素直に出したら、「刺さったけど液漏れしたから」とかいって「左にする」だって。

「左でいいなら最初から言ってよー。左のほうが刺しやすいんですよ」

と抗議したら医者が「ごめん」とかいって、他の医者にバトンタッチして逃げやがりました。これが内科や外科の外来やってる看護婦さんなら、見るだけでこの腕は刺しにくいって分かってくれるのに、検査系の医者ってほんっとダメ。MRIの造影剤を入れるときも、右腕に無頓着に針刺して漏れたっつって抜くし。おまいら何人に針さしたら刺しやすい腕とそうでないのを見分けられるようになるわけ? わたくし、献血マニアだったので針の刺し方には少々うるさいのよ。

 バトンタッチされたお医者さんは、どうも一昨日の胃カメラの人のようでした。今日も同じような鎮静剤をうちますからねーと点滴チューブの途中に注射器さして何か打ってた。メモによると、ロヒプノールという睡眠薬と、オピスタンという麻酔薬のようです。胃カメラの時の薬もほぼこんな感じでしょうね。明細にはアネキセートというロヒプノール(ベンゾジアゼピン系)の薬の効き目を解除する薬も書いてあったので、どっかのタイミングでそれも打たれたかも。

 ロヒプノールは前に錠剤で飲んだときは大した効き目を感じなかったけれど、さすがに静脈注射されると速攻ききます。「ああモウロウとしてきたわー」と思ったあとの記憶はほとんどないです。気づいたらしりからカメラが入った状態です。明細に「キシロカインゼリー」ってのがあるので、おそらく肛門にぬりたくって潤滑剤にしたもよう(検索するとSM用品として売られてたりして爆笑です)。

 内視鏡検査というのは、技師の腕次第で痛みがほとんどないそうですが、確かにぜんぜん痛みはなかったです。一度だけ急にお腹が張ったような痛みがあったので「いててて」と言ったら、検査するのに空気を送り込みながらやってるせいだということでした。

 そんなこんなで検査は滞りなく終わり、その場で「何か変なものは写ってましたか」と聞いたら「いや、大腸は大丈夫ですよ」との返事。大腸は大丈夫だけど直腸は……とかだったらイヤだけど、病変を削り取るような作業はしなかったみたいだから、本当に異常はなかったんだと思います。

 検査の後もしばらくベッドの上でうごけませんでした。ソリタT3号の点滴がまだ終わらないからです。途中で胃カメラの時の休憩所にストレッチャーごと移動されて、点滴が終わるまで居眠り。検査の時に空気を入れてるのでオナラが出そうなんだけど、出すと実も一緒に出てしまいそうだと看護婦さんに言ったら、中身は検査のときに吸い取っちゃったから何も残ってないと思いますよーといわれて安心してブリブリ。大きなオナラを遠慮なくするのって気持ちがいいわ。カーテンの向こうにこれから検査する男の人とかいるみたいだけど知ったこっちゃありません。

 そんなこんなで一時間くらい休んで帰っていいよって許可が出ました。起きたら突然便意がおそってきてトイレに行ったら黄色い液体がジャーでした。今頃かよ。一リットルは飲んでるはずだから、全部出るまでこの調子でトイレとおともだち状態だと思います。

 幸か不幸か紙おむつは必要なさそうです。でも、かるく肛門が痛いんです。アナルプレイをした後ってこんな感じになるんでしょうか。思わぬところで疑似体験をしたような気分。


教訓
 大腸内視鏡検査は恐くない
 でもニフレックは死ぬほどこわい

病人日記:ラキソベロン一気飲み

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 これがラキソベロン(下剤)。中身は無色透明の液体です。小さいし、こんな程度のものなら簡単に一気飲みできるって思うでしょ。

 たしかに飲むのは簡単。でもさ、これって普通はコップ一杯の水に二、三滴落として飲むものなんだよ。それでちゃんと下る薬なのー!

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 一緒に入ってた注意書き。全部飲めって書いてある。マジで?

 飲んでみた。コップ一杯の水に混ぜて。

 匂いはなく、味は甘いので簡単に飲めました。明日飲まされるやつもこういうのだといいのに。

 でも、便秘症でもなんでもないのに、こんなの丸ごと一本飲んじゃって明日の朝どうなっちゃうんだろう。トイレから離れられなくなったら検査にも行けないんじゃない?

 今日は大事をとって早く寝ることにします。下痢で睡眠不足なんて嫌だしねー。

病人日記:検査食のはじまりはじまり

●朝食

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 明日は肛門から内視鏡を入れて大腸を見る、大腸内視鏡検査というグロ系検査を受けるので今朝から食事は検査食です。昨日の日記の最後にチラッと書いたグリコのエニマクリンという検査食を買いました。朝と昼はお粥+汁物で、夜はポタージュスープです。お粥はレトルトパックなのでお湯で温めるか皿にあけてレンジでチンすれば食べられます。

 寝ぼけながら適当にやってたら、うっかり昼用の粥と澄まし汁をあけてしまいました(上の写真)。朝も粥なので大した違いはないと思われます。味はー、うーん、まあお粥さんだし、こんなもんじゃないですかね。味が薄いような気がするけど、醤油をかけるくらいなら問題ないはずなので適当に味付けしちゃえばよいし。

●昼食と間食

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 昼です。間違えて朝食に昼のお粥を食べちゃったので写真のものは朝用の白粥です。軽く塩味がついてます。鰹節のふりかけがついてましたが朝ものたりなくてかけて食べてしまいました。汁は豆腐とお麩の味噌汁です。貝汁を思わせる出汁がきいてます。

 さすがに味もそっけもないお粥が二食つづくと嫌になってきます。これが中華粥だったりすれば苦痛じゃないのですが。お粥ならなんでもいいというわけではなくて、種とか皮とか、腸に残りやすいものを使わずに作らなくてはならないようです。そうすると病人食みたいなものになってしまいます。お味噌汁をすすりながら食べましたが二割くらい残しました。

 下の写真は間食用のビスケットとキャンディー。ビスケットは口の中で溶けてしまうようなウエットなタイプでバターのいい香りがしてとても美味しいです。さすがはお菓子メーカー。グリコの面目躍如といったところでしょうか。お茶やジュースなどは夜まで自由に飲んでいいようです。ただし、果肉などが含まれていないもののみ。

 このほかに間食用としてエネルギー補助ドリンクなるものがついているのですが、得体の知れない不気味さがあって封を切れません。お湯か水で溶かしてのめって書いてあるんですけど、水でもいいってことはスポーツドリンク系なんでしょうか。でもシャンピニオンエキスが入ってるって書いてあるのよねー。

●間食

 昼食を八分目でやめているので空腹感があります。ビスケットとキャンディーで紛らわしていましたが、ネタなのでエネルギー補助用ドリンクに手を出してみました。

 封を切ってみると、中身は白い顆粒で、いわゆるスープのようなものではなさそうでした。水で溶かしてみたところ、面白くもなんともないアイソトニック飲料のようなものが出来上がってしまい、なんのネタにもなりませんでした。この世のものとは思えないような不味いものを期待していたのに。

 お湯で溶かせと書いてあるのは水だと溶けにくいからでした。溶かしてから冷やして飲めということみたいです。味はポカリかアクエリアスかといったところ。それなりに美味しいです。キノコの味はしませんでした。

●夕食

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 そしてこれが夕食のポタージュスープ。クルトンらしきものがちょっぴり入ってます。味はフツーです。こんなものが不味くなりようがありません。

 夕食もとったので、次は八時過ぎごろにラキソベロン一気飲みに挑戦したいと思います。

病人日記:今日は胃カメラを飲んだ

 腹水の穿刺のあとは期待(?)された液漏れもなくネタにもなりませんでした。腹水が減ったせいで軽く腹が垂れ気味ですが、これといって支障はないです。でも、スイカを食べたあとに腹がパンパンになったときは焦りました。早くも元にもどったかしらと思ったけれど、でっかいゲップが出たらへこんだようです。まあ、完全に水が抜けちゃったわけじゃないので、食事は普段の八分目くらいでお腹いっぱいになっちゃうんですけど。

 そんでもって今日は胃カメラを飲んできました。昨日の夜八時から絶食して準備します。胃カメラも初体験です。喉に麻酔しててもゲロゲロってなるイメージがあるのでちょっと逃げ腰でしたが、最近は軽く睡眠薬を注射して半眠りの状態でやるから苦痛はほとんどないそうです。

 検査室に入る前にメガネや時計をはずしてくれと言われたのですが、メガネをはずしちゃうと何も見えなくなって判断力が落ちるので、何を指示されても「はあ、で、今何言いました?」「あっち? あっちってどっちですか」って感じになってしまうのでカメラを飲む直前までかけさせてもらうことにしました。

 まずは胃の中をきれいにする薬とかいうものを飲まされました。ぐい飲みサイズの小さな紙コップに入った液体です。カルピスを薄くしたみたいな色がついてたような気がします。これといってにおいもなく、味もあるような、ないようなという感じで、飲むのに苦痛はありませんでした。

 それから喉の麻酔。看護婦さん(どっちかっていうと看護師と呼んだほうがぴったり来る愛想のないタイプで)が注射器を持ち出して、
「これから喉に麻酔をします」
と言ったときは、注射器使うなんて聞いてないってびびったのですが、よく見たら針はついてませんでした。スポイト代わりです。これもメガネを外してたらパニックを起こしていたかも。はめててよかった。

 麻酔薬はジェル状で、冷たくて(冷たいと感じるだけかも)、苦いとか甘いとかの味はないのですが、やけに刺激的で喉にちくちくする感じでした。喉のおくのほうでしばらく含んでいなくてはならないそうです。アラームが鳴ったら飲み込んでくださいと言って看護婦さんは去ってしまいました。

 えー、アラームって何分ったったら鳴るんですかー。これ、いつまで含んでなくちゃいけないのー。げー、なんか喉がおかしくなってきた(麻酔だからな)。っていうかこれ飲み込めるんだろうか、わたし。そんなこと考えてるうちにアラームが鳴りました。含んでる時間は30秒くらいだったか、1分くらいだったか、そんな程度でした。すでに喉の感覚が鈍くなっているので飲み込むのに若干の勇気がいります。うー、ぐぐぐ、ごくん。たとえていうなら冷たくて刺激的な味のする痰を大量に飲みこんだみたいな感じ。激しくキモチワルイ。

 それから検査台に移動。胃カメラは左側を下にして横向きで寝て飲むそうです。横になったら今度は別の看護婦さん(こっちは愛想のいい感じの人でした)がやってきて
「もう一種類、喉に麻酔薬をつけます。今度のやつはちょっと苦いけど我慢してくださいねー」
という感じで、機械に油をさすやつをもうちょっとスマートにしたみたいなボトルで喉に液をぷしゅっと。ジェルじゃなくて液でした。苦いかどうかはよくわからないけれど、これもかなり刺激的な感触です。こっちはすぐに飲みこんでよいとのこと。

 それから医者がやってきて、カルテをチラッと見てから「お腹張ってるの? いつごろから?」「食欲は?」とか「痛いとか何かあるの?」とか聞いてくるんだけど、こちとら喉に変な薬をつけられてるので丁寧に答えているような余裕なし。あやうく「カルテ見ろよ若造が」と言いそうになったけどぐっとこらえる。喉は感覚が鈍っているけどしゃべるのに支障があるような状態ではなかったです。

 そんでもって、睡眠薬を注射するからとか言われて、肘の裏がいいか、手首がいいかって医者が迷って「肘を曲げずにいられますか」とか言うんだけど、曲げずにって検査中ずっとだったらイヤだし、そもそもそこは数日前に採血やら造影剤注射やらで何度も刺されてるのでもうさされたくないから「えー、やだ」とか投げやりに言ったら手首の太い血管に刺してました。手首の血管は痛いので普通の人はいやがるらしいです。昔そんな話を別の病院で聞きました。が、しかし、日本の注射針は良く出来ているので、一発で刺してくれればスーッと入っちゃって大した痛みじゃないんです。どっちかっていうと、何度も刺された場所に無理に刺されるほうが痛い。

 睡眠薬は注射してる最中にもう眠くなります。なんという薬ですかと聞いたんだけど、医者がなんて答えたかは覚えてない。気が付いたらもう胃カメラが口から入ってて、何をしてるのかわかんないけど大きなゲップがゲロゲロ出たので目が覚めた。看護婦さんが「ゲップは我慢してねー」とか言ってるけど、出来るわけないじゃない。喉に管入ってて、口にはマウスピースはめられてんのよ。どうやって止めろと言うのだ。ためしにお前やってみろ(怒)と、しゃべれないので無言で青筋たててたら、医者が「いいよ」って言ってたような気がする。

 そんなこんなで胃カメラは喉の麻酔が不味いこと以外になんら苦痛もなく終わりました。検査にあたってる医者が言うには「胃はなんともない」だそうです。そうだろうな。圧迫感で食欲が落ちてる以外にこれといって自覚症状もないし。

 睡眠薬を打たれているので少し休んでから帰ってくださいといわれて、検査台(ストレッチャーになってる)ごと移動させられ、休憩所になってるところに並べられてしまいました。でも、かなり弱い睡眠薬らしく、このあたりで既に薬は抜け始めてた。5分か10分か、そのくらい我慢してから「あのー、これいつまで寝てなきゃいけませんかー」と聞いたら、「薬切れました? そろそろいいかもしれませんね」と許可が出たので会計をして帰ることにしました。検査をはじめてから休憩が終わるまで一時間くらいだと思う。

 喉に麻酔をしたあとなので、誤嚥下を防ぐために飲食は30分以上たってからにしてくださいということでした。睡眠薬を打ったあとなので、車や自転車の運転はやめてくださいとも言われた。高速で抜けちゃう薬みたいだったけど、確かに直後の運転は危険かもね。普通に歩いたりするのに支障がないとはいえ、軽く判断力が鈍った感じになります。

 さて、明後日は恐怖の大腸内視鏡検査です。こっちは大変なのです。前日(明日)から、検査のために特別な食事をしなくてはなりません。レシピどおりに自作する方法もありますが、めんどくさいのでグリコのエニマクリンとかいう検査食を買いました。朝粥からはじまって夜はスープのみで終わるという、だんだんさびしくなる食事です。そんでもって寝る前にラキソベロン(下剤)一気飲み。当日はナントカいう液体下剤を二リットル飲まされるそうです。こんな検査を病人にさせていいのかというキビシイ検査らしいです。うげえ、もういやだー。

●グリコのエニマクリン(大腸検査食)
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 こんな感じの箱に一日分の食事が入ってる。税込み1554円ナリ。

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 中はこんな感じで、朝・昼&間食・夜と別の箱に入ってます。妙に過剰包装です。

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 箱の中はレトルトの粥とフリーズドライのスープ類。

 いっちょまえに間食がついてたりするんだけど、内容はビスケットとキャンディー、エネルギー補給ドリンクの粉。スポーツドリンクみたいなのだったらいいんだけど、シャンピニオンエキス入りって書いてあるからスープかもしれない。