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右の写真はチコリである。ヨーロッパ原産といわれている。
これをエンダイヴ(またはフランス風にアンディーヴ)と呼ぶ人がいるが、最近ではチコリという呼び名が定着している。和名はキクニガナ。 |
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大きさはこのくらい。形は白菜に似ているけれど、白菜はアブラナ科でチコリはキク科。まったく別のものだ。歯触りはレタスのようで味はほろ苦く、生でサラダにしてもクリーム煮などにしても美味しい。 |
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上の写真はおともだちに送ってもらったもの。庭で野生化しているチコリだという。この葉っぱを刈り取って土をかぶせて育てると、小型の白菜のような見なれたチコリになるというが、あまりにも雰囲気が違うので書いてる本人が半信半疑である。
小学館『食材図典』によれば、根株を掘り出して軟化床に並べて貯蔵し、上から土をかけておくと出てきた芽が白くなるという。この栽培法はベルギーで考え出されたものだという。ただし、芽を白化させて食用にすることそのものは、ローマ時代にすでに行われていたようである。 |
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葉はこんな感じ。タンポポに似たのこぎりのような葉を持っている。この葉も食用にする。店で売っている若い芽にくらべると苦みが強いがサラダにちょっと混ぜると美味しい。豚肉や鶏肉と一緒に炒めるのもいい。 |
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これは根っこ。根は長く伸びて地面に食い込む。この根を干してから炒って粉にしたものをコーヒーの代用にする。戦争などでものが不足してくると必ずといっていいほど話題になるそうで、コーヒーの専門書にもとりあげられるという。
現在でもカフェインレスコーヒーの原料として使われ、健康志向の人たちには知られているかもしれない。タンポポの根も同じようにコーヒーの代用に使う。 この根っこ、土に植えたらどうなるか?
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2007年、園芸店でチコリの苗と称するものを買ってみた。それでやっとわかったのだが、おともだちが送ってくれたチコリの苗は結球しないタイプらしい。
上の写真はだいぶ育ってしまったので玉にはなっていないが、苗として売られていたものは葉が白菜のように寄り集まってロケットがほどけたような形になっていた。そうなる前に土をかけて軟化させると八百屋さんの店先にあるチコリになるのだと思う。葉の形もこのとおり広く、お友だちがくれたタンポポみたいなのとはだいぶ違っている。ちなみに、この葉はひどく苦い。苦いのを承知で豚肉といためたりするのもおつなものだが(豚好き)、食用にするなら新芽のうちに土をかけて軟化させるべき。
真ん中からにょきにょき薹(とう)が立って…… 人の背丈くらいになる。これでも一番伸びそうなところを摘芯してあるので、そうでなければもっと成長したかもしれない。茎は親指くらいの太さがある。おともだちがくれたチコリの苗は、花軸がこんなに太くなりそうもなかった。
そんでもって、こんな青い花を咲かせる。
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正確なところがよくわからないのだが、たぶんCichorium intybus(エンダイヴじゃない方)の仲間で、アスパラガスのように新芽の部分を食べる。プンタレラはイタリア語で生えてくるとか、外に出るとかいう意味のスプンターレ
spuntare が語源になっている。土から頭を出したばかりの新芽を食べるからだ。同じく新芽を食べるアスパラガスに似ているから、アスパラガスチコリとも呼ばれている。
2007年、苗を買ったが、食べ方も何もわからないのでとりあえず植えた。後に、食べるのは新芽で育ってしまったらダメなのだと知ったが、多年草とのことなので「じゃあ来年」とあっさりあきらめて株を太らせる作戦を実行。肥料をかかさず、日に当てて育てている。 結球するタイプのチコリとは違い花軸は細くて繊細。おともだちがくれたチコリの苗は、どちらかというとプンタレラに近い育ち方をした。花は観賞用にしてもよいほど美しい。 |
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トレビスは葉の赤いチコリで、チコリのように円錐形になるもの、キャベツのように結球するものがある。写真は結球タイプのトレビス。赤キャベツにそっくりだが、キャベツよりも小さいし葉脈の入り方などが違うので見分けはつく。トレビスのうち円錐形のものは産地名でヴェローナと呼ぶことがある。日本には1980年代に輸入され、国産のものもいくらはあるが、イタリアからの輸入品のほうが主流で質もよいとのことである(輸入情報は数年前のものなので今は変わっているかもしれない……2007年追記)。写真のものは少々痛んでいて、一部茶色くなってしまっている。 |
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裏側はこんな感じ。キャベツ(アブラナ科)ではなくレタス(キク科)の仲間。味は普通のチコリと同じくほろ苦い。刻んでサラダに、あるいは豪快に炒めちゃってもよいと思う。豚肉は苦みのある野菜と似合うよ。 |
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このチリチリした物体こそがエンダイブ。チコリとは同属の別種で、レタスとは同科の別属で別種。何が言いたいかというと、エンダイブ、チコリ、レタスはみなキク科の仲間だが、エンダイブとチコリは近く、レタスはちょっぴり遠い仲間だということ。
プリニウスによれば、インティブム(エンダイブやチコリの仲間)は冬レタスと同じく冬に作り、育成を始めたら土をかけ、葉が出てきたら絡げておくと白くなるという。現在でもエンダイブはこれに近い方法で育てられている。上の写真のように葉が広がってきたら、外側の葉で新芽をくるむようにして縛っておくと、中心部が白くやわらかいまま残るのだそうだ。 日本では上の写真のように丸ごと売られているケースは少ない。かなり大きくて食べでがありそうだが、
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レストランでサラダを注文すると、葉がチリチリしたレタスのようなものがあしらわれていることがある。あれがエンダイブである。苦みが強いせいかエンダイブ中心のサラダというのはあまり見かけない。 |
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それでもエンダイブの食べ方はサラダが中心である。苦みのある野菜が嫌いでなければ、上のようなエンダイブだけのサラダも悪くない。
中心のやわらかい部分をちぎって、塩と黒胡椒をふりかけて軽くもみ、あとから黒酢とごま油を少量加えてあえてみたもの(奥に見えているのはアスパラのサラダ。今回はただの引き立て役なので無視)。彩りにプチトマトなどを加えてみてもいいと思う。 |
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エンダイブの品種で、葉が広く切れ込みのないもの。食ったことないので写真は準備中。 |
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