なんらかの繭をぶち壊すと、出てきたのはこれでした。
がーん、これって思いっきり「なんとかイラガ」の幼虫じゃない! おそらく繭を作って間もないものです。黄色っぽい毒針が倒れて体に貼り付いてますが、まだ充分に幼虫の形をしています。この状態だと背中の模様がつぶれてしまって見分けにくいですが、よく見るとオレンジ色の毛の束のようなものが残っています。ヒロヘリアオイラガには体の一部分にオレンジの房毛があるのが特徴ですから、おそらくヒロヘリアオイラガだと思います。
でも、なんてことでしょう。アオイラガの繭は、もっと丸くて固いものじゃないですか。図鑑にもそう書いてあるし、そこらの木に、すでに中の虫が出て行ったあとのものならたくさんくっついてます。ヒロヘリアオイラガのほうは、繭の形について説明した図鑑がほとんどないのではっきりしないんですが、ごく近い虫なのでアオイラガと同じ繭を作るものだと思いこんでいました。 でも、上の写真の幼虫は、一番それらしくないものから出てきてしまったんです。繭の写真をもう一度貼り付けてみましょう。これを見て誰がイラガの繭だなんて思うでしょうか。 ↓ |
2003年8月18日撮影 こんなのイラガの繭じゃな〜い!!
そこで仮説をたてました。 仮説その1もし1が正解なら、アオイラガとヒロヘリアオイラガは繭を見て見分けられるということです。 2は、自分で仮説をたてといてなんですが、自分でも信じられません。でも、この後の繭ぶち壊し実験によって、もしかしてと思うフシもあります。 3は、かなりイイカゲンなようですが、自然のものなので、出来損ないの存在も否定しきれません。ただ、出来損ないで片づけるには多すぎるんですが。 |
こうなったら、もっとたくさんの繭をぶち壊してみようと思うんです。
イラガの繭は石のようにカチカチだと思いこんでいましたが(実際、並イラガの繭はすっごく固いですよ)、この日、珍獣様が破壊した繭は、そこいらに落ちている細い木の枝でほじくり返すと簡単に壊れました。比較的丸みのあるものも、思ったより固くはなく、棒でつついているうちに何度か失敗して中の虫をぶちゅっとやってしまいました。 失敗を乗り越えて、最後に取り出したのが下の物体です。
蛹(さなぎ)であることは間違いありません。でも、なんの蛹でしょうか? |
2003年8月18日撮影 背中がずいぶんカッチリしてますよね。それに太い腹。蝶や蛾がこんなに太い腹をしているものかと、この時は思いました。でも、少し前にお見せしたように、ヒロヘリアオイラガはかなりの太っ腹なんです。ひょっとして…?? |
2003年8月18日撮影 背中がわからではわかりにくかったのですが、できかけの翅が腹側にたたまれていました。翅の縁(へり)に黒い帯があります。
問題は、仮説1〜3のどれが正解かってことですが、これはアオイラガ、ヒロヘリアオイラガを幼虫のうちから沢山育ててみるしかありません。今は幼虫の季節ではないので実行できませんが、いずれ挑戦してみようと思います。いつになるかわからないけど、乞うご期待! |
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