打出の小槌 |
働き者の嫁さんがいて、朝から晩までくるくると働いておったと。 ところが夫のほうはどうしようもないグズで、朝から酒ばかり飲んで寝ていたんだと。 「あんたも男だったらちっとは稼いできておくれよ」 嫁さんがそういうと、男は決まってこう言った。 「なあに、もうちょっとしたら、がっぽり儲けてやるからさ」 けど、寝てたんじゃ儲かるわきゃないわいな。 そうやって夫がいつまでもぐうたらしてるから、嫁さんはとうとう怒って家から追い出してしまったんだと。 家を出されては昼寝もできやしない。
ぐうたら夫はびっくりして、
こりゃ本物の小槌だっていうんで、夫はかけって家に帰った。
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◆こぼれ話◆
打出の小槌というのは、念じながら打ち下ろすと願いがかなう不思議なトンカチのこと。木製の木槌だったり、鉄製の金槌だったり、はっきり定まった形はなさそうだ。 大工さんは木槌や金槌を使って何もないところに大きなお城を作るし、鍛冶屋さんは金槌で熱い鉄を打って刀やハサミを自由自在に作り出す。魔法のように何でもかなうとはいかないまでも、槌というのは現実に不思議な道具なのだ。 打出の小槌についてはこちらもどうぞ。 お道具図鑑・打出の小槌 |
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