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海辺の御馳走
アイヌの昔話 パナンペは川下に、ペナンぺは川上に住んでいた。 ある日パナンペは、おかみさんに言ってエゾエンゴサクとウバユリの根っこで料理をこさえてもらうと、ふたりして浜辺に出かけた。 浜辺につくと、おかみさんを素っ裸にして、砂の上に仰向けに寝るように言った。そうして頭と足のほうに砂をかけて、すっかり埋めてしまった。砂から出ているのは腰のあたり。つまり穴のあいたところだけになった。パナンペは用意した料理を穴に詰めて、そのまま家へ帰ってしまった。 しばらくすると小人のトンチトンチ(樺太のコロボックル)が船に宝をのせてやってきた。小人たちは浜に荷をおろすと、おいしそうな御馳走がたくさん盛られた穴を見つけて宴会を始めた。 トンチトンチが穴につまった料理をつつくたびに、おかみさんはくすぐったいのを必死で我慢していた。 けれど、小人たちが料理をすっかり平らげて、器をきれいにしようと、美味しい汁で濡れた穴を指でぬぐいとってなめ始めた。 すると、おかみさんの穴がひくひくと動いたので、
翌朝、パナンペはおかみさんを迎えに来て、トンチトンチが置いていった宝物の数々をすっかり手に入れたのだった。 こうしてパナンペはニシパ(長者)になったが、それを聞いて川上に住むぺナンペが真似をしようと、自分のおかみさんをつれて浜へでかけた。 その日もトンチトンチがやってきて浜辺の御馳走を見つけたが、昨日のこともあるので、
ペナンぺのおかみさんもくすぐったいのを必死で我慢していたが、トンチトンチが指で穴をぬぐいはじめると、やはり我慢できなくなってしまった。 ひくひくと動くおかみさんの穴を見て、小人たちは
こうしてペナンペは宝物を手に入れることはできず、次の朝おかみさんとさびしく家に帰ったということだ。 |
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